2019.11.21【連載企画】転職活動にともなう10の不安との付き合い方 第2回

カテゴリ:専門家コラム

さて、今回の記事は連載企画「転職活動にともなう10の不安との付き合い方」の第2回となります。


<細井智彦> 細井智彦事務所代表 転職コンサルタント 大手人材紹介会社にて20年以上転職相談や模擬面接などの面接指導に取り組む。企画し立ち上げた面接力向上セミナーは12万名以上が受講する人気セミナーとして現在も実施中。採用企業の面接官向けにも研修・講義を開発し、人事担当から経営者まで、360社、面接官4000人以上にアドバイスをしている。2016年3月に独立し、フリーな立場から、引き続き個人と企業の面接での機会創出に取り組んでいる。著書『転職面接必勝法(講談社)』ほか多数

「もし自分が想像していた転職先と違ったら・・・」不安の和らげ方

転職活動にともなう10の不安

転職活動にともなう以下の10の不安との付き合い方(詳しくは第1回の記事をご覧ください)について、今回は1〜4までをまとめました。

転職活動にともなう10の不安

  1. 騙される不安
    「聞いていた話と違った」(仕事内容/教育体制/設備/残業・休日/反社会/倒産危険 など)
  2. 居場所があるか不安
    「周りの人が受け入れてくれるか」「馴染むことができるか」
  3. 不適合不安
    「価値観や方針がなじめるか」「社長のキャラクターが合わない」
  4. いじめ・ハラスメント不安
    「セクハラ」「パワハラ」の可能性に対する不安
  5. 通用するか不安
    「自分の経験・能力でついていけるか」不安
  6. メンタル不全になる不安
    「孤独な転職活動」「書類・面接での不採用つづき」など
  7. 他にないか不安
    「スカウトメールですぐに内定したけど本当にこの企業でいいのか」「他にもっと良い企業があるのではないか」
  8. 合意してもらえるか、退職交渉不安
    「退職交渉への不安」「家族の合意が得られるか不安」
  9. 背徳不安
    「お世話になった上司や会社に隠しながらの活動」「現職の競合会社への転職」
  10. モラル低下不安
    「やる気がなくゆるすぎる職場」「危機感ない組織・メンバー」

これらに共通しているのは、「話と違った」「想像と違った」「騙されたらどうしよう」など「もし思っていた状況と違い、悪かったらどうしよう」という類の、失敗を恐れることで生まれてくる不安です。

リスクマネジメントとしてとらえると転職の不安を減らすアプローチがわかる

転職活動と不安について

転職後の失敗を考えることは、一種のリスクマネジメントとしてとらえることができます。「想像していた転職先と違った!」となってしまうリスクへの不安をどう低減させるか、ここではリスクマネジメント的にとらえてみましょう。

1.リスクマネジメントの基本的な捉え方

まずリスク(危機)をマネジメント(やりくり)するうえでの捉え方の基本があります。それは、発生するリスクをビフォア・アフターにわけ「予防」と「対処」の2つの場面で方策を考える、というやり方です。

「予防」と「対処」とは?

例えば、風邪。ひどい風邪移されてえらい目にあったとしたらかかりにくくするために、どんなことをするべきかを考える、これが「予防」。かかったときに症状を最小限にするためにどんなことをするべきかを考える、これが「対処」。

つまり、起こらないようにするために、そして起こってしまったらリスクを最小に抑えるために、それぞれどんなことをすればよいのか、「予防」と「対処」を考えるということです。

「転職で失敗しないためにはどうすればいいだろう」というのは「予防」手段について考えることになります。

 

2.「主観的」「客観的」2つの視点で転職リスクを分析する

さらに、もうひとつリスクを分析するうえで大事なことがあります。

それは「情報を主観と客観にしっかり分けてとらえる」ということです。

リスクを分析する上で大切な2つの視点「主観」「客観」

例えば火事。

発見者から「ちょっと燃えていますが、きっと自然に消えてしまうと思われ大丈夫だと思います」という報告があったとします。そうか、と鵜呑みにしちゃって、あとで全焼してしまい責任を問われたら「だって部下が大丈夫だと言ったもんで・・・信用しちゃいました」なんてことになってはダメなわけです。この主観と事実とをきちんと聞きわけながら意思決定をする、ということがとても大事なことなのです。

行動し準備することで転職活動における不安を低減させる

転職活動における不安との向き合い方

ここでいったん、そもそものはなしに立ち戻りますが、転職活動における不安との向き合い方についておさえておきましょう。

例えば、あなたは今「なにかの発表会に向けての不安」を抱えているとします。この場合、不安の主な原因は「失敗したら、うまく行かなかったら、どうしよう!!」というものですよね。そしてこんなときには、

「練習」とそれによって「自信をもつ」ことが解決につながります

転職活動にともなう不安のなかでも、「失敗することへの不安」の場合は、上記と同様に行動し準備することで低減できます。

 

では、実際に転職してから「入社前に思っていたのと違う!」となってしまうのにはどのようなケースがあって、それを予防するためにどんな行動をとればよいのかを見て行きましょう!

実際にあった転職希望者からの相談・転職理由「入社前に思っていた職場と違いました。」

エージェントをやっていると、転職希望者の方から「今の会社は入社前に思っていた職場と違った。我慢して働いていたが、そろそろ職して理想の職場で働きたい」という相談を受けることがあります。入社前に思っていたのとなにが違っていたのか、転職希望者の相談内容からピックアップしてみると実に様々です。

転職希望者から実際にいただいた相談内容

  • 「週休二日だと思ったら、休日出勤はあたりまえの環境だった」
  • 「仕事そのものが違っていた。設計がしたくて入社をしたのにメンテナンス部門に異動させられた」
  • 「仕事内容が想像よりも難しすぎる/楽すぎる」
  • 「会社の方針が代わり担当するプロダクツが開発中止になってしまった」
  • 「自部門が他社に統合されてしまうことになった」
  • 「実際は休みの融通がほとんど利かない職場だった」
  • 「面接してくれた直属の上司が入社前に辞めていた」
  • 「思っていたより製品チェックがあまくクオリティレベルが低かった」
  • 「製品のクオリティよりもコストだけしかみない職場で倫理観に乏しい」
  • 「上層部が社長の腰巾着ばかりで危機感がない」
  • 「ハラスメント上司だった」
  • 「部門長の仲が険悪で派閥争いに巻き込まれる」
  • 「すぐ社長が二代目になり方針が変わり社内が混乱している」
  • 「社長の公私混同が激しく、休日も社長の趣味につきあわされる」
  • 「飲み会が多く半ば強制させられる」
  • 「採用自体が社長が無理やり行ったみたいで部門では歓迎されず、なじめない。

などなど、挙げればきりがありません。メーカー転職の場合だと「もっと自由に開発ができると思って入ったら、制約がとても多く実際にはすでにあるモジュールをただ組み合わせるだけだった」とか「設計に集中できるかとおもいきやほとんど外注先と打ち合わせばかりしており、自分でものを作れない」というような相談内容もあります。

このように、労働条件や仕事内容にとどまらず、人や風土、カルチャーなど「職場選びを失敗した」と感じる原因・理由は人によって様々。

ところが「人」や「カルチャー」に関する情報はなかなか入社前には得にくいのが実情です。
ここをいかに入社前に確認できるようにするか、が今回の大きなポイントになります。

「転職先に失敗したらどうしよう・・・」不安を低減させるためにできる3つのこと

入社前と入社後のギャップ

1.入社前と入社後のギャップを少なくする方法を知る

こういった “違った系”の相談の場合、◯◯が▲▲と違っていた、の▲▲がとても重要で、ここに入る言葉が「予想」と「話」では全く意味が異なります。

「予想と違った」

「予想と違う」というのは相手に確認せずに周辺情報できっとこうだろうと、いうことも含まれます。それは時として、思い込みが入ってしまうこともあります。例えば働き方改革に熱心だと聞いたから残業対策もとっているだろう、と思ったら20時にオフィスの照明をいったん落とすだけで根本的なことはなにも手を打ってなかった、とか、外資系企業だから英語は活かせるだろうと思ってたら実はほとんど使わないですむ、というようなケースです。

「聞いていた話と違った」

一方、話が違う、というのは聞いていたことと実際が違っていることを指します。例えば「ほぼ毎日定時で帰れると聞いていたのに、実際は配属部門では定時で帰れることはめったになく退職社員の補充もなく業務量がオーバーフローしていた」とか「英語力が活かせると聞いたが、使うのは年に数回あるかないか、だった」というようなケースです。ここで、意識したいことは「きっと◯◯だろう」と思って確認をしないで進めてしまうことは避け、できる限り確認したほうがよい、ということです。あと、更にちょっとやっかいなのが「話と違っていた」という場面での「言った言わない」トラブルです。この言った言わないトラブルは転職場面に限らず人と人が介在するあらゆることがらに当てはまります。

 

2.「聞いていた話と違った」を防ぐために。発言された言葉と意味を正しくとらえる力を身に付ける

例えば、エージェントとして一番言葉に神経を使うのが採否を決める内容を、求職者の方に伝える場面なのですが、「採用の方向で検討中だそうです」と伝えた結果、求職者側が内々定と受け止めてしまい退職交渉をはじめてしまったのちに、結局不採用になってしまった、というようなケースはお互い避けたい所です。

前述のケースだと、「採用内定を取り消された」という求職者側の申し出に対し、企業側は「内定とは一言も発してない」という「言った・言わない問題」になるわけで、こういったときには「言質をとる」、いわば「証拠」をしっかり握っておくことが必要になります。

言葉の意味をしっかり理解する

「聞いていた話と違う」というのは単純なものではなく「残業はほとんどなく定時で帰れる」と聞いて労働時間が少ない職場だと思ったら、実際は会社としての残業規制が厳しく定時で帰らされるだけで、本当は多忙な職場で仕事を家に持ち帰ってやらないとまわらない」というようなケースなんかもあり、なかなか微妙です。

確認したつもりでも言葉そのものとその意味を正しく理解して考えておかないと、あとで認識のズレが生じてしまい、「言った」「言わない」という揉め事のタネが残ります。

 

3.「言った言わない」をへらすためにやることは確認力を鍛える

ということで、「入社前に思っていた会社と違った」系のリスクを予防するための行動としては、思い込みを排除し、事前にしっかり事実を確認をすること。その際、どんなことをどう聞けばよいのか「確認力」を高めておくとよいというわけです。では選考場面でどうやって確認していけばよいのかについて話を進めましょう。

風土やカルチャーや労働環境を確認するコツは「問いかけ力」を高めること

徒然と書いてきてしまいましたが、入社後あれ?と思わないためには事前に相手に確認することが大事、なんてことは、みなさんもわかってましたよね。「そりゃ何でも聞けるなら聞くよ。けど

『御社にはハラスメントで問題起こした人や起こしそうな人は私の配属先にはおられそうですか?』なんて聞いてもはぐらかされそうだし・・・・」あと答えてくれたものにかぶせて聞いたら、細かいやっちゃなぁ、そんなにそれが気になるのか、と思われ印象下げたくもないし、とはいえ、実態は気になるし・・・・」とか、言うは易し行うは難し、で終わってしまいます。正論だけど抽象的な理想のべき論を並べたてるだけというのは私は絶対避けたいことなので、面接選考時の質問のコツについて記します。

 

面接選考時の質問のしかた、3つのコツ

1.権利ではなく義務を確認するのスタイルで聞くのが基本。

  • 残業は多いですか?⇒残業は概ね何時間程度だと思っておけばよいでしょうか?
  • 土日はお休みをいただけるのでしょうか?⇒土日はどのくらい出勤すると思っておけばよろしいでしょうか。

2.5W1Hのディテールを(できれば仮説をもって)引き出す。

  • おそらく顧客訪問先が点在しているように思うのですが、例えば出先の喫茶店でも社内DBへのアクセスの可否など、外での事務処理はどこまで可能でしょうか。
  • 多くの部門との打ち合わせする場合、かなり日程がタイトになり、自分の都合で動かせないと思うのですが、自宅や外からSkypeなどで参加することは可能でしょうか。
  • Tier2の立場からも完成車メーカーに提案しリードすることが増えているとのことですが、完成車メーカーでも同じテーマで研究をされているようです。どんな協力体制で仕事を進めていくのか、できるだけ具体的に教えていただけますでしょうか。

3.発せられた言葉そのものをメモしておき、自分の解釈を伝え確認と言質を得ておく。

  • 家族の事情や希望は考慮する、と、お話しいただけたのですが、状況を話せば異動する可能性は低いと思ってよいのでしょうか。例えば私が配属される部門で、お子さんが小さく、子育て中でも異動した人はおられますか。

働き心地や残業削減など働き方改革への取り組み状況を確認する方法は過去のコラムに詳しく記してあるのでぜひお読みください。

不安をへらすもうひとつの方法「誰かに話す」

転職活動における不安

さて、確認するだけでなく、不安をへらすためにおすすめなことがあります。それは、誰かに話すこと。相談でなくてもかまいません。話すこと、これがとても大事なことで、話すだけでも、整理ができて、気持ちも楽になるはずです。話す相手は、家族や友人のような身近な人はもちろん、タイズのような転職エージェントのアドバイザーもオススメです。家族や友人よりもちょっと距離があって客観的な意見が聞けること、あとは意外に家族にはなんでも話せないようなことはありませんか。かえって知らない人のほうが照れくさくなくいろんな本音が話せるというメリットがあります。

次回は、5番目以降の不安について、主に活動そのものに内在する不安との付き合い方について書きます。

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