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2019.07.10パワハラ被害の実態と転職活動。

<細井智彦> 細井智彦事務所代表 転職コンサルタント 大手人材紹介会社にて20年以上転職相談や模擬面接などの面接指導に取り組む。企画し立ち上げた面接力向上セミナーは12万名以上が受講する人気セミナーとして現在も実施中。採用企業の面接官向けにも研修・講義を開発し、人事担当から経営者まで、260社、面接官3000人以上にアドバイスをしている。2016年3月に独立し、フリーな立場から、引き続き個人と企業の面接での機会創出に取り組んでいる。著書『転職面接必勝法(講談社)』ほか多数

パワハラ被害の実態と転職活動。

パワハラが理由で転職する人が知りたいのは、「応募先企業でのハラスメントの可能性」です。
何がパワハラと捉えられてしまうか分からないミドル世代の社員、パワハラ行為者を見抜く必要がある人事、

企業とパワハラ問題についてカリスマコンサルタントの細井智彦が迫ります!

1.「今はパワハラになってしまう」昭和世代の苦悩

今回はパワハラについて

パワハラが理由で会社を辞めました。

という方の相談は以前から少なくありませんが
最近は、

パワハラしそうな人を見抜きたい・・・・・・

という相談を採用企業から受けます。

そして…ちょうど、このコラムを書いているいま、
テレビから、ある会社の社長が懇親会終了後に
部下に話してたことがパワハラだと、
録音された声が再生されてます。

「自分がどんだけもらってんのか、わかってんかよ、仕事しろよ、この給与泥棒!」

みたいなことを言ってます。

高齢の司会者Oさんは
「昔はこんな会話は珍しくなかった、けどいまは、
これはパワハラになってしまうのでしょうね」
とコメントしていましたが、この「なってしまう」
ってところが、まさに多くの管理職の本音を
代弁しているように聞こえました。

「ハラスメント」について語られるとき、
された側の受けとめ方次第で変わる要素があり判断が難しい、ということを述べる人が必ずいます。
昔はあたりまえのように言われていたことが、
いまではパワハラになってしまう。
「受け止める側が変化したからしかたがないけど、
どんどんやりにくくなっていくなぁ」
そう思っている昭和なミドルは少なくないのではないでしょうか。

2.ハラスメント規正法案とパワハラの定義

そんななかで、この5月に女性活躍・ハラスメント規制法案が国会で承認され、
これまで明確な定義がなかったものに、
これはパワハラ!という指針が明確化され、それをなくすために相談窓口の設置など
新たな防止措置が企業に義務付けられます。

これは、けっこう大きなことで、
昔は普通に行われていた、とか、
相手によって問題にならないだろう、
というような言動が、具体的な基準ができることで相手にかかわらず、
これを言ったりやったら一発でアウト!
となってしまうわけです。
相手次第という考え方自体を変えないとダメだと認識しないと、対応できなくなるのです。
だから、悪気なくパワハラになることを
やってしまいそうな昭和世代の管理職を沢山抱えている大手各社は、
本気でパワハラ撲滅に動きだしたってことかもしれません。

3.パワハラの実態調査「パワハラを受けたことがある人は何%?」

ところで、みなさんは職場で、パワハラを受けたと感じたことはありますか?

私は、といえば「いまの感覚だと絶対アカンやつ
なんてことは昔はフツーにあった」という感じでしょうか。
会社に行くのがイヤになることなんかしょっちゅうでした。
しかしその上司は自分だけじゃなく、周りにも同じように接しており、
自分だけが嫌がらせを受けているとは感じてなかったからかもしれませんが、
そもそもパワハラという言葉がなかった時代で、
それ自体を問題視する視点そのものがなかったかもしれません。
自分だけが特別扱いされる、というところに、
良くも悪くも心に大きな影響を与えるのかもしれないと、
いま振り返ってみてあらためて思いました。

実際パワハラはどのくらい行われているのか。
厚生労働省の調査では32.5%がパワハラを受けたことがあるそうです。

4.パワハラを受けた人のその後の行動

そして、パワハラのあととった行動については、
厚労省のデータではなにもしなかったが一番多く40%以上なのに対し、
転職サイトの利用者は「退職した」がTOPになり
3人にひとりはパワハラを機に会社を辞めています。

そして、労働紛争関係の相談での、ハラスメントが占める比率と件数は年々増加の一途です。

 民事上の個別労働紛争|主な相談内容別の件数推移(10年間)
出展:厚生労働省「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」

5.面接では言えない、「パワハラ被害で転職」。応募先企業のハラスメントの可能性は大丈夫?

実際に転職の相談を受けていても、かなりの確率でパワハラが引き金になっていると感じます。

年々増加して法律も整備されてきた「パワハラ」ですが、転職面接ではなかなか表にはでてきませんでした。
被害を受けている側なのに、素直に話すと、そもそも相手をイラつかせるような人じゃないか、とか
耐性が弱くて些細なことでもハラスメントだと思われてしまうのじゃないか、
どうしても懐疑的になり、心配されてしまうからです。
そして、パワハラを受けている被害者が会社を去り、加害者はのほほんと辞めずに働いているということも普通にあります。
つまり、パワハラは実行者よりも被害者のほうが不利な状況が長らく続いてきたようなもんです。

だから、パワハラの被害を受けた人達が
転職活動する際にとても気になるのは、

応募する会社でのハラスメントの可能性

です。転職先でパワハラされてしまい、居場所が悪くなってしまったら、意味がありません。
しかしながら、御社ではパワハラはありますか?と聞いても、
まともに答えてもらえるわけがありません。

企業が、面接でパワハラしそうな人を見抜きたい、と思う裏側で
転職する側も、面接でパワハラ上司を見抜きたいと思うことは自然なことです。

 

6.採用担当者必見、パワハラ行為者を見抜くチェックリスト

そこで、目の前の人がパワハラしそうか、を推測できればお互いの判断に役立てられるのではないか、ということで、パワハラしがちな人や、パワハラが起こりがちな職場にはどんな特徴があるのか調べてみると、これも厚生労働省のサイトにチェックリストがありました。ちなみに厚労省のパワハラサイトはとても充実しており本気を感じます。

パワハラの行為者になる可能性チェックリスト
□ 部下や年下の人から意見を言われたり、口答えをされたりするとイラッとする。
□ 自分が間違っていたとしても、部下に対して謝ることはない。
□ 自分は短気で怒りっぽいと思う。
□ 感情的になって、すぐその場で叱っている。
□ 厳しく指導をしないと、人は育たないと思っている。
□ なんとなく気に入らない部下や目障りと感じる部下がいる。
□ 仕事のできない部下には、仕事を与えないほうが良いと思う。
□ 業績を上げるためには終業時刻間近であっても残業を要請するのは当然だ。
□ 部下が自分の顔色を窺っているような雰囲気がある。
□ できる上司は部下の家庭環境などプライベートな詳細情報まで把握している。
□ 学校やスポーツで体罰をする指導者の気持ちは理解できる。

パワハラの起こる職場の可能性チェックリスト
□ 朝夕の出退社のとき、挨拶をする人がほとんどいない。
□ トップや管理職は、自分の職場にはパワハラは存在しないと考えている。
□ 人は厳しく指導することで育つという意識が強い職場だ。
□ 今の職場には失敗やミスが許されない雰囲気がある。
□ 業務上のノルマが厳しく求められ、目標が達成できなかった時のペナルティが大きい。
□ 上司に対して、意見や反論は言えない雰囲気だ。
□ 職場の誰かが困っていても、助け合える雰囲気ではない。
□ 職場内での問題について、職場内で話し合って解決しようと雰囲気がない。
□ 正社員やパート、派遣社員等、様々な立場の人が一緒に働いているが、上下関係が絶対的で、立場を意識した発言が散見される。
□ 人の陰口や噂を耳にすることが多い。
出展:厚生労働省 監修: 臨床心理士・社会保険労務士 涌井美和子

さらに、このチェックリストの項目を参考に、細井が感じていることを重ねて
パワハラの行為者になる可能性のある人の行動特徴と環境についてまとめてみました。

パワハラしそうな人の特徴
(あくまでも細井の推測です)
・怒りの沸点が低い
・厳しくしないと人は成長しない、という信念がある
・ハードワークが好き
・自分軸の価値観でものごとを考える
・周囲に自分と同じレベルを要望する
・傾聴しない、共感レベルが低い
・人の弱さや痛みを認めようとしない
・学生時代きびしい体育会系でしごかれている
・仕事でも感情的な判断基準になりがち

いかがでしょうか・・・・。

面接に臨むみなさんは、面接官の様子を観察し、
上の要件にあてはまりそうか、面接するみなさんは、マネジャー候補を採用する際にも同様に、
それぞれの目線で、ハラスメント要件を備えていそうな面接官や候補者だと思ったら、その自覚が本人にあるかを確認するなど、ちょっと気にしたほうがいいかもしれませんね。

例えば、
管理職を面接するのであれば
「メンバーからあがっている不満」や
「メンバーそれぞれの持ち味と接し方」
を聞いてみる、とか
応募する側の人からは
面接官の様子を注意深く観察して
「飲み会の頻度や会話」や
「仕事の指示や、業績の評価やフィードバック面談の頻度や内容」など
マネジャーとメンバーの普段の関わり合いについて聞いてみるとか
企業、個人、お互いに
ハラスメントに対しては、今後関心が高まることは間違いありません。
管理職として転職する人は、ハラスメントを起こさないために、どんな取り組みをしてきたかを話せるように整理しておくことが望まれ、採用する側もハラスメント問題に対する会社としての取り組みを話せるようにしていくことが求められると思います。

7.これから転職活動をされる方へアドバイス

最後に、転職されるみなさんが、こういった転職理由を整理する場面で、何度もお伝えてしていることですが、パワハラは理由ではなく、あくまで転職を考える機会としてとらえ、その機会を得たことで、どんなところでどんなキャリアをつくっていきたいかを考える、ということをしっかり自覚しましょうね。