組み込み言語の種類|おすすめのOSや勉強方法について紹介

システムの開発には「組み込み系」というジャンルがあります。一般的なシステム開発と比べて、主流となるプログラミング言語やOS、求められるスキルが異なるのが特徴です。 今回は、組み込み系エンジニアではどのような言語が使われ、組み込み系エンジニアになるためには何が必要なのかについて紹介します。

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組み込み言語とは?

まずは、組み込み言語を使う環境について知っておきましょう。

組み込み言語の基本的知識

組み込み言語とは、ハードに組み込む制御ソフトウェアを開発するための言語を指します。

具体的には、炊飯器を動かすには、内釡を加熱する機能が必要であり、炊飯ボタンを押したときに作動しなければいけません。ほかにも、米や料理の種類によって炊き加減を調整したり、タイマーで希望の時間に炊き上がったりする機能も必要です。このような組み込み系システムを開発するためのプログラミング言語が組み込み言語といわれます。

そして、このような組み込み系システムを開発するのが、組み込み系エンジニアの仕事です。厳密にいえば、機械を動かす本来の組み込み系と、機械を制御する制御開発系のエンジニアに分かれます。

開発では、要件定義から設計、実装、テストまで行うのはもちろん、ハードウェアの開発まで携わる機会も少なくありません。

組み込み系エンジニアの仕事内容については、以下の記事でも詳しく説明されています。

組み込み系エンジニアの仕事内容|活かせるスキルや平均年収は?

組み込み言語の勉強方法

続いて、組み込み系システムの開発では、どのような言語が使われるのか見てみましょう。

組み込み言語の種類

プログラミング言語の中で、組み込み系システムに最も使われているのは「C言語」です。組み込み系システムに使う上で、以下のメリットがあります。

・動作が速い
・ファイルサイズがコンパクト
・動作するハードウェアが多い
・コーディングしやすい
・互換性が高い

機械に組み込まれ、システムが保存されているマイコン(マイクロコントローラー)は、パソコンやスマートフォンと違って、CPUもメモリも高性能ではありません。コストを抑えるために、最小限のものが使われています。

限られた環境の中で必要とされる機能を実現するには、C言語の動作が速くて、ファイルサイズがコンパクトなところが大きな利点となるわけです。

また、組み込み系システムではハードウェアを動かすための命令を出さなければいけません。C言語は、ハードウェアの動作と直結するコードが多いため、ほかの言語と比べるとコーディングしやすくなります。

こうして作成されたプログラムは、似た機能を持つほかの機械のシステムを作るときも再利用が可能です。次に紹介するC++との互換性もあります。

C言語を習得する方法は、独学や大学の授業、メーカーや派遣会社での研修などです。仕組みこそ単純ではありますが、コードを簡略化する仕様が無く、ポインタなど理解するのが難しい概念も多いため、挫折しやすいといわれています。独学で習得するなら、理解しやすいWebサイトや書籍を参考にすると良いでしょう。

最近では「C++」も、組み込み系システムのプログラミング言語として使われています。C言語を元に、「オブジェクト指向」という概念を加えた言語です。「オブジェクト指向」とは、プログラムの設計や実装に関する手法の1つです。オブジェクトとはデータと処理の集まりを指し、それらを組み合わせてシステムを構築することをいいます。

C言語の良さはそのままに、より規模の大きいシステムを開発できます。それでいて、C言語よりもコーディングの量を少なくできるのが、メリットといえるでしょう。また、Visual StudioやAndroid Studioといった有名な統合開発環境(IDE)に対応しており、新たに開発するときの言語として選択される機会も多くなっています。

ただし、ただでさえ難解なC言語に「オブジェクト指向」というさらに難解な概念が加わっているため、仕様が複雑であり、習得するのは容易ではありません。

一方で、C言語よりも活用範囲が広く、組み込み系システムにおいても、AIやIoTを搭載するなら、C++での開発が有利です。習得しておくと、後々役に立つでしょう。

Javaは、特定のOSに依存しないため、ほかのプログラミング言語と比べて移植しやすいのがメリットです。セキュリティを強化したシステムも作成できます。

ただし、動作速度が遅くて多くのメモリを消費するため、組み込み系システムには、あまり使われてきませんでした。近年では低コストでも高性能なマイコンが普及しているため、使われる機会も多くなってきましたが、それでも異なるOSでの移植を想定しているなど、用途は限定されます。

アセンブラは、C言語の前から使われてきたプログラミング言語です。C言語以降のプログラミング言語が「高水準言語」と呼ばれるのに対して、アセンブラは「低水準言語(マシン語)」と呼ばれています。

高水準言語は私たち人間が理解しやすく、低水準言語は機械が理解しやすいというのが大きな違いです。アセンブラでプログラミングすると、どの命令に対して機械がどのように動くか理解できるため、ほかの言語で組み込み系システムを開発するときも役に立ちます。

ただし、アセンブラにはいくつかの種類があり、それぞれが特定のCPU(x86系など)でしか動作しません。移植性が低いため、開発の現場ではあまり使われなくなっています。

おすすめの組み込みOS

組み込み系システムを開発するなら、OSについても知っておいたほうが良いでしょう。OSにはシステムを動かしたり、システムの命令をハードウェアに伝えたり、プロセスや目盛りを管理したりする役割があります。ネットワークへの接続やセキュリティ対策、ユーザーインターフェイスもOSの役割です。

組み込み系システムでは、ITRONやVxWorks、OS-9といった専用のOSが採用されています。これらは「リアルタイムOS」とも呼ばれており、反応が速く優先順位を考慮して命令を実行できるのが強みです。

最近はUbuntuなどのLinux系OSが使われる組み込み系システムも増えています。従来のリアルタイムOSと比べて、ネットワーク接続やユーザーインターフェイス(特にGUI)の実装が簡単です。

組み込み系エンジニアは将来性のある仕事

最後に、組み込み系エンジニアになったり、転職したりするには、どうすれば良いのか紹介します。

組み込みエンジニアは転職市場での需要が高い

組み込み系システムは多くの機械を動かす上で不可欠です。今後はAIの搭載やIoT化など、さらなる進化が期待されます。一方で、仕事量の増加に対して、組み込み系エンジニアの数が不足しているのが実状です。

そのため、転職においては売り手市場であり、組み込み系言語を使いこなせて実務経験があると有利になるでしょう。今後も長期にわたって需要が見込める仕事です。

特に、ものを作って動かすのが好きであり、協調性がある人材は企業に求められます。

前者であれば、ロボットコンテストに出場したり、パソコンを自作した経験があったりすると良いでしょう。開発の現場でも応用できます。

後者が求められるのは、開発の現場がチームプレーであり、共同作業も多いからです。転職においては、後輩を指導したり、リーダーの経験があったりすると、なお良いでしょう。

仕事の種類

先述のとおり、組み込み系システムは家電や自動車、通信機器、産業機械など多くの機械に搭載されています。つまり、家電メーカーや自動車メーカー、通信機器のメーカー、プラントや関連企業での需要があるわけです。

ただし、それぞれの企業で求められるスキルや知識は異なり、使われるプログラミング言語やOSも同じではありません。どのような人材を求めているのか、細かいところまで自分で調べるのは難しいでしょう。

タイズはメーカーに特化した転職エージェントです。企業の内部事情を熟知しており、どのような人材を求めているか把握しているので、転職におけるミスマッチを防げます。

さらに、アナログマッチング®を導入しており、年収や勤務地といった表向きの希望だけでなく、やりがいや働きごこちなど個人の価値観に合った企業の紹介が可能です。組み込み系エンジニアへの転職をお考えの際は、ぜひご相談ください。以下の転職支援実績も参考になるでしょう。

「会計知識と開発スキルを活かして、新しいことにチャレンジしたい」株式会社MonotaROのシステム開発に転職成功したストーリー

まとめ

組み込み系システムの開発には、主にC言語が使われています。使いこなせて実務経験もあれば、転職でも有利です。さらに、C++を習得しておくとAIやIoTを搭載するときなど、役立つ機会も多くなります。ほかにも、ものづくりの経験があったり、協調性があったりする人も、転職では有利です。

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この記事を書いた人

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安達 篤史

株式会社タイズ

これまで17年間、転職エージェントのコンサルタントとして従事し、これまで1,000名以上の転職支援を実施。
技術系を中心に幅広い知識・経験があり、納得感のある転職を実現している。

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