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2018.10.11株式会社ダイセル・特機・MSDカンパニーの火工品事業の歴史やエアバッグのインフレータについて、播磨工場で働く社員様にお話を伺いました。

(2018.10.11更新)
株式会社ダイセル 特機・MSDカンパニー 播磨工場 総務部長 梅園健治様
同上                   MSD技術開発センター 商品開発室 主席部員 宮地克人様

株式会社ダイセル・特機・MSDカンパニーの播磨工場 総務部長の梅園健治様、MSD技術開発センター 商品開発室 主席部員の宮地克人様に、特機・MSDカンパニーの火工品事業の歴史やエアバッグ用のインフレータについて、コンサルタントがインタビューさせていただきました。

インタビュー

まず初めに、特機・MSDカンパニーの“特機・MSD”についてご説明いただけませんでしょうか。

「特機」は火薬技術をベースとした防衛関係の事業の総称で、「MSD」は、その技術の応用から参入した自動車用の安全装置(Motor vehicle Safety Device)の事業のことを言います。インフレータは後者の事業の主力製品です。対外的に、セグメントで事業説明を行う場合などは「火工品事業」という言い方をすることもあります。

火工品の事業は御社の他の事業とは異質な印象を受けるのですが、系譜が異なるのでしょうか。

ダイセルは1919年に創立し、硝酸セルロースを原料とした合成樹脂、セルロイドの製造からスタートしています。このセルロイドの原料の硝酸セルロースですが、燃えやすい特性を持つため、ダイセルは不燃化を目指して研究を行い、難燃性に優れた酢酸セルロースを原料とする合成樹脂の工業化に成功しました。以来、ダイセルは酢酸セルロースを主力として、事業展開をしてきました。一方、火工品は、燃えやすいという硝酸セルロースの性質を生かし、「火薬」として利用することで事業を展開させてきました。火薬というのは、化学の分野の中でも特殊な領域で、扱っている企業も限定的です。

梅園様が御社にご入社されてから現在までで、火工品の事業にどのような変化がありましたか。

私が入社した頃、32年前の火工品は、防衛産業向けの特機事業のみで売上高が100億円にも満たない状態でした。しかしその後、民間需要向けのMSD事業に参入し、1989年に前突用パイロインフレータの生産開始しから90年代末には生産累計1,000万個突破、現在では海外も含めると売上高は1,000億円以上と、事業として大きく成長していきました。

火薬事業となると、生産工場などの規制も厳しいのではないでしょうか。

この播磨工場は327万m2、甲子園球場約80個分の広大な敷地を有しますが、これはインフレータも含め、火薬を製造するには「火薬類取締法」による厳しい法的規制があり、民家や公共施設などからの一定の距離「保有空地」を確保することが義務づけられているためです。この「火薬類取締法」に基づき、他にも工場内の様々なルールが定められています。

最近は車内のあらゆるところにエアバッグが搭載されているとお伺いしました。

エアバッグは運転席で発動している映像が使われますが、事故の際に膝の骨を折る方も多く、現在は助手席やドアにも搭載されています。また、側面衝突の際の頭部保護や、乗員の車室外への飛び出しを防止するカーテンエアバッグも使われています。合計すると、乗用車で7個ほど、高級車で十数個が搭載されています。最近はぶつかってきた側も保護できるよう、車の外側に付いている車もあります。

エアバッグインフレータについて詳しく教えてください。

自動車のエアバッグそのものではなく、エアバッグを膨らませるための、ガス発生装置がインフレータです。動作の仕組みとしては2種類、「パイロ方式」と、「ハイブリッド方式」です。パイロ方式は火薬の連続燃焼だけで動作します。イニシエータ(点火具)に電気信号が流れて着火し、発生した燃焼ガスがエンハンサー(火炎増幅薬)に火をつけ、その熱がガス発生剤を着火し、大量のガスを発生させることでエアバッグが膨らむ仕組みです。ハイブリッド方式は、パイロ方式と途中の段階までは同じですが、発生させた燃焼ガスが高圧ガスのボンベに流入して、その圧力を開放することで、燃焼ガスの圧力と高圧ガスの圧力2つが合わさり、エアバッグが膨らむ仕組みです。どちらのタイプも、高圧ガスに耐えうる、高圧ガス容器を作る技術が必要です。

車体ごとにサイズや特性が違いますよね。車体に合わせてインフレータを調整するのは難しいのではないでしょうか。

まず、ガスが出るスピードを上手くコントロールする必要があります。信号が来たらすぐにガスが出なければなりませんが、一気に出してしまうとぶつかる前に膨らみ切ってしまったり、ぶつかった時に人体を跳ね返してしまったりします。人体を優しく受け止められるよう、自動車会社や車体ごとに、膨らまし方を微調整しています。車体構成が違うと、ぶつける試験を行う時のサクセスクライテリア(成功要件)が微妙に違ってきますね。

エアバッグの性能の検証はどのように行うのでしょうか。

当社はインフレータを生産するメーカーです。モジュールメーカーがエアバッグを生産する時に当社のインフレータが組み込まれます。エアバッグの性能試験はモジュールメーカーの仕事ですが、数年前に、エアバッグの衝撃吸収能を検証する実験設備を社内に導入しました。製品の性能を見る上では、単にガスの発生の試験だけではなく、それが組み込まれたエアバッグを展開させる試験も必要だと考えたためです。100倍のスロー再生をして、衝突から展開まで0.03~0.06秒ほどなのですが、この時間単位のコントロールが難しいです。膨らみ切るまでの時間は短く、膨らみ切った後、ガスがエアバッグから抜けていく過程で人体を受け止めるという、細かいコントロールが必要です。

競合他社と比較して御社のインフレータにはどのような優位性があるのでしょうか。

海外展開の規模から見て、私たちの事業規模は非常に大きいです。米国法規に対応したエアバッグの展開速度を自由に変更できるインフレータなど、ラインナップの多さが強みです。国内の競合他社は、米国の市場で流通するラインナップは保有していません。

また、GMやフォードなど各自動車メーカーは、インフレータの中のガス発生装置のデザインレビューを自分達で行っており、お墨付きをもらったメーカーのインフレータが採用されます。当社はモジュールメーカーを通すことなく、自動車メーカーの技術者と直接ディスカッションしており、Tier2メーカー(Tier1メーカーに納品する2次サプライヤー)でありながら、技術的にはTier1メーカー(1次サプライヤー)のポジションで開発に参画することもあります。

今後のインフレータの製品開発に求められるものは何でしょうか。

昔から、「軽量小型化」が重要なテーマです。インフレータの軽量小型化はそのまま自動車の軽量小型化に繋がりますし、それは燃費の向上に結びつきます。重量的には、昔の運転席用インフレータは 800gありましたが、今は200gで同じ性能を発揮しています。

特機・MSDカンパニーの製品の生産体制について教えてください。

播磨工場には1600名が在籍しており、特機・MSDカンパニーに約7000名が関わっています。ダイセルの社員は全世界で約1万2000人ですので、6割近くがこの事業に関わっていることになります。当社は「ダイセル式生産革新」で有名で、プロセス型事業に於いては、最新のIT技術と当社で長年培った製造技術の融合から生まれた「知的統合生産システム」を導入し、プラントオペレーションにおける人の生産性を各段に向上させましたが、私たちのような組立加工型の事業では、生産工程にある程度、多くの人が介在する方が効率的と言う前提で、その作業者の人材育成、技能開発に注力しています。この工場内だけでなく、グローバルでの作業標準化や技能認定の仕組みの導入などにも取り組んでいます。

インフレータの品質管理において、何か取り組まれていることはありますか。

日立製作所との協働で開発された、製造現場における作業員の逸脱動作やライン設備の動作不具合などの予兆を検出し、品質改善や生産性向上を支援する画像解析システムを活用した品質管理を導入しています。品質保証をロット単位での代表点管理から、製品シリアル単位での全点管理(人、設備、材料の状態を連続的に監視する)へ移行でき、製品の工程内保証率を格段に向上できる見通しです。さらに、現場管理監督者の役割を、事後処置中心の対応から、得られた画像データを活用した傾向監視や予防処置に移行することで、不具合の未然防止にも貢献できます。製造現場における作業者の動作や設備・材料の状態を定量的に把握することが、製品の品質改善や生産性の向上、トレーサビリティの精度向上を図るうえで有効と考えています。

インフレータが役目を終えた後はどうなるのでしょうか。

この事業の理想像は、インフレータが一度も作動しない、交通事故が発生しないことです。実際には、インフレータのうちごく一部が作動し、大部分のインフレータが十数年車に載って、廃車と共に性能を発揮せずに役目を終えます。当社は廃車になった車のインフレータを回収し、火薬を専用の設備で燃焼させて排ガス処理を行い、再利用可能な金属部品は再利用する、という環境に配慮したビジネスも始めています。このビジネスは海外でも展開しています。

様々な火薬事業を展開していく中で、事業規模に変化はありましたか。

今ではダイセルの事業全体の約25%の売上で、1,000億円以上の売上を出す事業に発展しました。ダイセル全体の売上高は30年間で倍以上に成長していますが、その1番の理由として火工品事業が各段に拡大したことが挙げられます。以前は「ダイセル化学工業株式会社」という社名でしたが、当事業の成長から、お客様もまた我々自身も、「化学」だけを行っている会社ではないと言うイメージを持つ人も増えて来たので、2011年10月に社名を「株式会社ダイセル」に変更しました。

本⽇は、貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。

 

―担当コンサルタントより―
今回、ダイセル社の中でも異色を放つ、特機・MSDカンパニーのお話をお伺いしました。化学をベースに化学の枠を超え、今やダイセル社の柱となる事業へ成長を遂げ、更に今後も新しいことにチャレンジし続けるカンパニーで、スピード感と成長性が非常に魅力的だと感じました。何よりお話をお伺いした皆様が、命を守るモノを作っていることに、大きな責任と誇りを感じておられ、その姿が非常に印象的でした。一人でも多くの方にダイセル社の魅力が伝わればと思います。貴重なお時間をありがとうございました。

この取材は私が担当致しました
株式会社タイズ コンサルタント 丹田 真寿美

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