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2018.10.01誰も書いていない転職ノウハウ(その2)「働き心地」の視点での接点の探り方

<細井智彦> 細井智彦事務所代表 転職コンサルタント 大手人材紹介会社にて20年以上転職相談や模擬面接などの面接指導に取り組む。企画し立ち上げた面接力向上セミナーは12万名以上が受講する人気セミナーとして現在も実施中。採用企業の面接官向けにも研修・講義を開発し、人事担当から経営者まで、260社、面接官3000人以上にアドバイスをしている。2016年3月に独立し、フリーな立場から、引き続き個人と企業の面接での機会創出に取り組んでいる。著書『転職面接必勝法(講談社)』ほか多数


今回も前回に続き、企業を選ぶためのノウハウ。前回は、いい会社選びのための「働きやすさ」「働きがい」に続く3つめのキーワードとして、「働き心地」を挙げました。二回目の今回はその「働き心地」の視点からの企業選びのポイントについて、です。

■目次

1.働き心地 = かかわる人 ✕ 組織風土 ⇒ 好みの「居場所」が作れるか
2.社風は擬人化してキャラクターを考える
3.働き心地は「居場所が作れそうか」で考える
4.理念は素晴らしくて当たり前、ポイントは実践されているか
5.会社を面接する、という視点でとらえてみる
6.素晴らしい理念でも強制されると居心地的にはムズムズする
7.文句がでそうか、より文句を言えるかを考える
8.まとめ

 

働き心地 = かかわる人 ✕ 組織風土 ⇒ 好みの「居場所」が作れるか

働き心地に大きな影響を与えるのは、そこでかかわる人たち、なかでも直属の上司です。大きなメーカーだったら、他の部門のメンバーともコミュニケーションをとる機会もあり、逃げ道もまだあるのですが、中堅どころだとオーナー社長や上司と合わなかったら逃げ場がなく、居心地は最悪になってしまいます。では、働き心地を左右する上司との相性はどうやってチェックするのか。これは、正直なところ入社前にはなかなかわかりません。風呂敷を広げるだけ広げて、すぐたたむようなことでごめんなさい。ただ、いまの転職活動では応募者が上司を面接で審査することは現実的には無理ですが、面接で直接会っていろいろと感じることはできます。上司も面接用に作ったり盛ったりしていることも考えられるので、圧迫するような人はむしろ、素で臨んできてくれている、わかりやすい人なのかもしれませんね。実際、工場なんかでは、面接ではとても威圧感のある強面の人が、実は社内ではとてもメンバーの面倒見がよく信頼も厚く、その部門の定着率が社内でいちばんよい、ということも珍しくありません。ということで、働き心地がよさそうかを探るために、かかわる人たちとの相性、そしてその人たちに影響を与えている、あるいは逆にその人たちからの影響も受けているかもしれない、母体となる会社の社風や風土について考えてみましょう。

社風は擬人化してキャラクターを考える

いい社風の会社で働きたい、こう思う人は少なくないと思います。しかし、ここでの「いい社風」って、意外に具体化しようと思っても語彙はとても少なく、「風通しがよい」「透明度が高い」「失敗を容認しチャレンジさせてくれる」などくらいしか出てこなくないですか。そして、つまるところ従業員の満足度や幸福度を高めようとしている、ってところに収束されがちです。つまり社風のいい会社とは、社会倫理的に正しく、公明正大で顧客満足度や従業員の幸福度も高く、かつ儲かっている会社。実に素晴らしいです。しかしこれって、人材要件でいえば、どんな組織にもなじめるコミュニケーションスキルと柔軟性があって、かつ能動的に自走し、周囲に働きかけ、行動力と知力の高い人材、みたいな「神」スペックのようなもの。実際のところ、私を含めて多くの人が、神とは遠く離れているけど、かといって真っ黒でもない、いわばグレーな部分をしょいこんで日々精進しているように、多くの企業も目指したい姿を描きながら日々の現実と向き合っているのです。

ということで、ここで言いたいことは「いい社風」の会社を選ぼう、っていう理想論で、社風が合うか、ということを追いかけてしまったら現実的な選択は難しくなるということであり、そしていい社風の会社を探すことよりも、働き心地の接点を見つけるために大事なことがあるということです。そのために私が社風を理解する際にオススメする手法は、企業も法人という人格があることから、社風も擬人化して、人でいうとどんな性格、キャラクターなのか、という見方で「らしさ」をつかむというアプローチです。

働き心地は「居場所が作れそうか」で考える

最近よく「居場所」ということばを耳にします。メンタルヘルス不調で離職や休職する人たちが少なからず生まれている、いまの働き心地を司るキーワードのように聞こえてきます。働き心地にはメンバーや上司、組織との相性が大きく影響を与えるわけですが、ここでの相性を居場所ととらえると、「自分の好みや価値観に合うかどうか」というよりも、いまは、「自分の価値観を受け入れてもらえるかどうか」のニュアンスに近くなっていると感じています。働き心地のいい状態とは「その会社のなかにちゃんと自分の居場所がある状態」とも言えます。つまり、働き心地のいい会社選びとは、社風がいい会社を見つける、という短絡的なものではなく、自分の価値観や行動が受け入れられ、逆に自分もメンバーや組織から刺激を受けることができる、相互受容がある状態の職場の可能性を探ること、とも言えます。

理念は素晴らしくて当たり前、ポイントは実践されているか

この「居場所」やモラルとの相性を推し量るための社風情報の参考になるのが、各社が掲げる理念、行動規範、ビジョン、ミッションです。私達はこうなりたい、これを目指す!という宣言のようなものです。

関西の会社は創業者の理念が綿々と息づいて活かされているいわゆる理念経営を謳っている企業が多く、それらのメッセージはどこもとても倫理的に正しくて、素晴らしい考え方だといつも関心します。ただ、よく考えてみたら理念を全面に出す会社の「理念」が悪いものであるはずがありません。人として正しく生きたいと考えるなら、ほとんどの会社の理念に共感できると思います。だから、暴論を吐くと、理念に共感できるか、はあまり意味がないことです。

多くの人には、こうありたい、こうなりたい、といった自分のイメージがあると思います。しかし現実の自分とはギャップがあり、それにさいなまれながら、現実の自分と向き合いながら人は日々生きている。企業も同じで、理念やビジョンやミッションは、いわばなりたい自分であり、大切にしたい自分。いまの自分が本当にそうなっているか、中の社員はみなそれを完璧に実践できているか、ということとは違います。顧客至上主義を謳っていても、実際は時として顧客に不利益になることがあっても自社の利益を守る取引きをすることはあり得ます。だから、企業を選ぶ際には、どんな理念を掲げているか、よりもその理念がどこまで根付いているか、という目線を持つことのほうが大事なわけです。

会社を面接する、という視点でとらえてみる

理念や社風がどこまで浸透し実践されているかを図るには、面接で個人の資質を見極めるのと同じ手法が使えます。それは知見や理想を語る候補者の本質を探るべく、過去や現在の行動や習慣を聞き出す、という手法です。会社を見抜くには、理念や考えではなく、実際の行動を確認することが肝要なのです。

素晴らしい理念でも強制されると居心地的にはムズムズする

あと、居場所の居心地を推し量るうえでとても大事なことは、「理念の名のもとでの強制や強要」つまり、押し付けや理念に合わない人たちを排除しようとする動きがあるか、です。どんなに素晴らしい考えでも、それを押し付けられて強制されてしまうとその場はその会社の求める姿になりきらないと、窮屈で居心地は悪くなります。だから理念が実践されているかだけではなく、そのなかで個はどう活かされているか、という視点をもつことも大切です。

文句がでそうか、より文句を言えるかを考える

いい社風を表す代表的な表現が「風通しがよい」です。社長室の扉がいつも開いている、社長が社員食堂でうろうろしている、というようなエピソードとともに語られることが多いのですが、ここは一歩踏み込んで、「上司にあだ名はあるか、それを上司にも話しているか」といった生のコミュニケーションの状況を確認したり、「普段から仕事の上で文句を言い合っているか」を引き出すために「飲み会の話題」や「仕事のうえで最近上司に伝えた不満」を面接などの場での質問の機会に聞くのもありだと思います。

まとめ

・社風がいいか、合うかよりも、居場所が作れそうかどうか「マッチングではなくシミュレーションで考える」

・理念やビジョン、ミッションに共感できるか、だけでなく、どこまで実践できているか強制されることはないか、という目線を持つ。自分のなかの理念に共感する部分が化学反応を起こし、自分が進化できそうか、という進行形で考えてみる

 

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