古野電気株式会社の三木工場の役割や生産技術部について、舶用機器事業部の部長様・課長様お話をお伺いしました。

(2018.9.28更新)
舶用機器事業部 三木工場 生産技術部 部長 影山智一様 担当課長 原田豊様
舶用機器事業部 三木工場 生産技術部 工法開発課 課長 濵田久希様 担当課長 鈴木克宏様

メーカー専門の転職サイト「タイズ」に求人を掲載している古野電気株式会社の三木工場・生産技術部の部長様、課長様に、三木工場の役割や生産技術部の業務内容、仕事のやりがいなどについて、コンサルタントがインタビューさせていただきました。

インタビュー

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三木工場 生産技術部 部長 影山智一様(右) 担当課長 原田豊様(中左)
三木工場 生産技術部 工法開発課 課長 濵田久希様(中右) 担当課長 鈴木克宏様(左)

影山様にお伺いします。影山様のご経歴について教えてください。

2006年に中途採用で古野電気に入社しました。古野電気に入社後は品質保証とサービス(少し)を経験し、2015年に生産技術部の部長となりました。ここにいる4名のうち3名、原田も鈴木も中途入社ですし、工場の幹部社員の半数は中途入社です。

濵田様にお伺いします。濵田様は新卒でご入社されたのでしょうか。

新卒で古野電気に入社し、はじめに品質部門を経験しました。7年ほど品質管理業務を担当し、生産技術部門に異動しました。その後フルノデバイス株式会社に出向して水中音響センサーに20年ほど携わっています。生産技術の業務の傍ら、研究部・開発部から試作依頼が来て、研究部・開発部が考えている製品が作れるかどうかを検討する業務を長年経験した後、古野電気との合併後、この度工法開発課に異動ました。

古野電気社_取材中2

御社の舶用機器の強みは何でしょうか。

当社は1948年に世界で初めて魚群探知機の実用化に成功した会社です。そこからセンシング(Sensing)、情報処理(Processing)、情報通信(Communication)という3つの技術を武器に、事業活動で培った知識、経験、スキル、ノウハウを統合(Integration)させることで、無線機やレーダー、プロッタ、ナビゲーションシステムなど漁船だけではなく、商船、ワークボート、プレジャーボート向け製品を展開してきました。舶用電子機器の総合メーカーとして、海洋に関わる顧客の安全・安心な航海を実現しています。

御社の製品の生産体制はどのようになっているのでしょうか。

舶用機器事業部で生産する製品のうち70%をここ三木工場(協力企業含む)で生産しています。残りの半分は海外の子会社や協力会社(中国東莞市、大連、韓国など)が生産しています。三木工場は主に大型で少量多品種の製品を、海外の子会社・協力会社では小型で生産数の多いものを作っています。システム機器事業部の製品は主にEMS生産※による生産です。
※Electronics Manufacturing Service:電子機器の受託生産。契約をもとに量産規模でロット生産を担う生産方式。

三木工場はどれほどの人数規模で、どのような特徴があるのでしょうか。

三木工場は1979年に設立されました。合計500名ほどが働いており、そのうち正社員は150名です。古野電気の漁撈機器、航海電子機器をはじめとする舶用機器生産の主力工場で、源泉から組立検査、梱包、修理の全工程を担う多品種少量生産が特徴の工場です。当社は舶用製品を生産する会社ですが、工場は山の中にあるんです(笑)。でも三木工場には送受波器に水圧をかける為のタンクや大型の水槽があり、製品の特性に応じた設備を使用して全数検査をしています。機種数は150種類ほどですが、その中にユニットが2~3個あり、仕様で数えると1500ほどあります。1つの製品でも、年間に1台しか作らないものや、数千台必要なものなど様々です。舶用製品は海上、海中で使いますので、防湿・防水のチェックが欠かせません。また船となると人々の命を預かっているので、安全基準も厳しいです。

生産技術部について教えてください。

生産技術部には工法開発課と工場技術課があります。本社の開発課は音響、通信、レーダーなどの機種群よって各課に分かれていますが、工場技術課はそれら機種群の生産移管を一手に引き受けており、数10KHz(魚群探知機)から数GHz(レーダー、通信)のあらゆる周波数帯を取り扱っています。また工場の合理化を進めるだけでなく、作った製品の情報やお客様からの修理や苦情に関する情報などを、開発部隊に届けることも私たちの任務です。源泉工程から組立、配線、検査、梱包全ての工程設計に対応できる人財が集結しています。業界No.1企業の生産技術部門、つまりは業界No.1の生産技術部門としての誇りと気概を持って業務に取り組んでいます。

多品種少量生産だからこそ、生産技術の方々の苦労が想像されます。

アナログな工程ばかりですので、計画通り、数値通りに進むことの方が稀です。当社の製品は通常のプリント基板やアッセンブリのように基本形がありません。例えば水中音響センサーは、組立の精度が求められる割には、精度のある筐体に組み込むことができませんし、難しいロジックさえ覚えればできる仕事、という訳ではありません。ひとつひとつ問題を解決していけば、それが技術、ノウハウになります。苦労する面も多いですが、それが逆におもしろいですよね。

御社の製品の生産においては、特許に関わるような技術もたくさんあるのではないでしょうか。

設計部門は設計の特許、実用新案などをよく取得していますが、製造でもそのような技術になりうる技術は現場にいくらでも転がっています。開発に近い仕事が製造でたくさんできます。私(濵田)も3つの特許を取得しています。特許を取得しようと思えばいくらでも取得できるノウハウを保有していますが、特許公開してしまうと会社が損をするので申請を控えています。私がやったからこの世にこの製品が提供できているという達成感、満足感を得ることができます。

生産技術のお仕事のやりがいについて、どのように感じていらっしゃいますか。

私たちは中長期のロードマップを描き、生産工程の自働化や合理化、製品設計へのフィードバックを進めています。研修や自己啓発で学んだ知識・技術を、工法・手法として実現し、古野電気の経営に貢献しています。生産現場のメンバーの困り事を解決して喜んでもらえるのもやりがいの1つです。

鈴木様にお伺いします。鈴木様は工法開発課の所属ですが、どのような業務を担当されているのでしょうか。

既存技術ではなく、市場最新技術動向や製品及び工法を調査し、自社へ応用展開する仕事です。世の中に存在しない場合は、論文や学会、他社特許の調査を行い、情報を集めてヒントを得ながら、自社にて独自開発展開を模索しています。社内にいると得られる情報が限定されてしまいますので、積極的に社外に情報を取りにいっています。また、研究部、開発部とも連携を密にし、モノづくりサイドからの意見出し、製品開発と工法開発のロードマップの連携を取って進めております。

古野電気社_取材中3

三木工場における特徴的な取り組みがあればご紹介いただきたいです。

FPS(Furuno Product System)活動を2012年から行っており、自動化、省力化のロードマップを描き、工法や技術の獲得、工程内の効率化に努めています。また、IoTを活用して機器製造情報を営業やサービス技術員へ提供することで、販売サービスに貢献できる工場への変革を目指します。

また、「1/2ものづくり活動」という活動を進めています。リードタイムやコストを1/2にして、それでいて品質は2倍に、という改善提案活動です。

今後の課題と考えていらっしゃることがありましたら教えてください。

多品種少量生産だからこそ難しいのですが、生産の自働化が課題です。生産の過程で手作業による部分がまだまだ多いです。実装基板のファンクションチェッカーや完成製品の自動検査設備、市販設備やロボットのカスタム設計などにより、多品種少量生産に適した自働化、合理化策を進めたいと考えています。一方で、このような設備やシステムを導入して、どうやって投資効果を出すかというところも難しいです。こういったことに取り組み、設備やシステムの条件提示や評価方法を含めて自身で計画でき、自ら出した課題に対して解決策を見いだせる方に来ていただきたいですね。

影山様がこれまで経験された業務中で印象に残っているエピソードはありますか。

まずは楽しかった話から。当社に入社後、欧米やアジアの8カ国の仕入れ先や協力工場を訪問する機会がありました。他国の人の人柄や食文化を体験し、周りの景色を楽しむことができたのが鮮明に残っています。また、漁師さんの船に乗せてもらい乗船調査をしたり、家に泊めてもらって機器の不具合の調査することもありました。一緒に食事をしたり温泉に連れて行って下さったり、魚をいただいたり…エンドユーザーと直接関わることができたのはとても良い経験でした。カツオの一本釣りをさせてもらったり、艫の箱に座って用を足すなど陸上ではできない体験ができました。工場内だけでなく本社や協力企業など多くの関係者と会って、知識や風土、国民性に触れることのできる職種だと思います。

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逆に、苦い思いをされたエピソードはありますか。

当社の製品の品質問題の収束が遅く、現地調査に行った時に、代理店の社長様に真っ赤な顔で怒られたことがあります。必死になってエンドユーザーへの保守・サービスをして下さっている方がいる、そういった方々に支えられて当社が成り立っている、ということを実感した経験でしたし、もっと私たちが頑張らなければならないと反省しましたね。

三木工場の教育体制について、何か特徴はありますか。

三木工場では特に人財教育に力を入れています。本社主体の研修には、入社時の研修、職能や資格等級に応じた研修がありますが、三木工場ではそれに加えてリーダー研修やIE(Industrial Engineering)研修、中堅社員研修などを行っています。また、国家資格、技能検定など自己啓発のサポートにも力を入れています。

三木工場にお勤めの方々はどのように通勤されているのでしょうか。

車通勤が主流です。駐車場も完備されています。また、会社が運行しているバスを利用する社員もいます。バスはJR・明石駅、神戸市営地下鉄・西神中央駅、神戸電鉄・志染駅と工場の間を運行しています。三田市、明石市、神戸市の西神に住んでいる社員が多いです。

三木市周辺での生活はいかがでしょうか。生活しやすい場所でしょうか。

公共交通機関が神戸電鉄やバスになりますので車が無いと若干不便ですが、姫路と神戸の中間あたりに位置しますのでどちらにも買い物に行けます。温泉やゴルフ場、防災公園、森林公園などたくさんの公園などがあり暮らしやすいところだと思います。酒米として有名な山田錦や包丁や鋏などの金物、そろばんの産地としても有名です。

三木工場で特徴的なイベントなどはありますか。

魚群探知機メーカーだからではないのですが、11月3日にさんまを漁港から取り寄せて、家族子供連れの秋祭りをしています。同時に芋掘りをしたり、BBQをしたりしました。この行事は伝道師会や三木工場長、幹部が率先して行っています。また、年末には正月前の魚、お菓子、日用品の販売もあります。年末の抽選会ではお歳暮でいただいたものをくじ引きで、各家庭に持って帰っていただいています。

御社の社風についてどのように感じておられますか。

やりたいことをやらせてもらえる会社だと感じます。当然、やりたいと思っているだけではダメで、自分でプランを立てて提案書にまとめる必要がありますし、自分自身が汗をかく覚悟が必要です。その他には、“さん”付け運動を展開している成果かどうかはわかりませんが、比較的上下間の敷居は低く、話しやすい環境が整っていると思いますね。土地柄もあるかと思いますが、おとなしく素直な人が多いです。

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中途採用へのご応募を検討される方へメッセージをお願いします。

「未来に向かう」、「最良に挑む」、「独創を貫く」、「率直を好む」、古野電気の行動指針です。これらの意識を持った方の応募をお待ちしています。人物像としては、探究心旺盛で、明るく元気な方、誠実で嘘をつかない方。また、PDCAサイクルを自ら回すことのできる方。技術の面では周りの人間がサポートしながら進めていきますので、気難しく考えずに挑戦していただきたいですね。

本⽇は、貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。

 

―担当コンサルタントより―
古野電気社を担当させて頂いてから、本社・INTセンターにはお伺いさせて頂いたことはあったのですが、今回初めて三木工場を訪問させて頂きました。当日は、お忙しい中工場見学もさせて頂き、舶用機器(レーダーや魚群探知機など)の製造工程を拝見させて頂きました。工場内は整理整頓が行き届いており、製造やテスト環境にも工夫を随所に感じることが出来ました。詳細は非公開の点も多いということでしたが、三木工場から世界に誇る製品を作っているプライドと感じると共に、逆にローカルで穏やかな雰囲気も感じました。

インタビューをさせて頂いた皆さまや、工場でお仕事をされている方々から、製品だけでなく人の魅力も感じることが出来、改めて採用のお手伝いをさせて頂きたいと感じました。忙しいところお時間をいただき、貴重なお話を聞かせて頂き本当にありがとうございました。

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この記事を書いた人

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安部 弘樹

株式会社タイズ

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