「金型設計」の仕事内容とは?業務内容と将来性まで詳しく解説

製造業は日々進化を続けており、近年では3Dプリンタを用いた生産も注目されています。しかし、コストや耐久性を考慮すると、日本のモノづくりを支えるためにはやはり金型が必要不可欠です。 そして精度の高い製品をつくるためには金型設計が重要となるでしょう。 今回は、高品質で知られる日本の商品の土台となる金型設計の仕事について解説し、業界の将来性にも触れたいと思います。

この記事は約7分で読み終わります。

メーカー専門の転職エージェントである弊社「タイズ」は無料の合格相談を実施しております。大手メーカーとの太いパイプと、技術職への深い知見には自信があります。あなたが、今すぐ転職を考えていなくても構いません。メーカーへの転職に興味があれば、お気軽にご相談(無料)ください。

金型設計の仕事内容

具体的な金型設計の仕事について解説します。

金型設計の仕事内容

そもそも「金型」とは、製品を量産するときに必要となる型のことで、その設計を担当するのが金型設計の仕事です。

取引先から依頼を受け、注文内容に合わせて作業を行う必要があります。

製品の素材はプラスチックや金属、ゴム、ガラスなどさまざまなものがあり、原料を型に入れることで生産する仕組みのため、商品の形状によっては金型で作れないものもあるでしょう。物理的に金型で対応ができない場合には、取引先に提案や相談、アドバイスなども行う必要があります。設計時には、金型の強度やコスト、求められる機能性を考慮し要望に応えるようにしなければなりません。

金型設計のポイントとしては6つあります。以下の通りです。

①抜き勾配
②肉厚
③パーティングライン
④アンダーカット
⑤角R
⑥公差

それぞれについて詳しく説明していきます。

まずは金型から製品を取り出しやすくするための傾斜である「抜き勾配」への配慮です。勾配がなければ、負担がかかり傷や摩耗の原因になるでしょう。次に、温度変化で膨張・収縮が起こる樹脂の厚み「肉厚」を事前に計算した設計も大切です。考慮できていないと、製品のへこみや気泡の原因にもなります。「パーティングライン」と呼ばれる金型の分割部分は、できる限り平らにして製品の最も外側に合わせるのが一般的です。

また製品の一部に凹凸や横穴がある場合は、パーティングライン以外の「アンダーカット」と呼ばれる開き口を設定する必要があります。製品によっては、安全性と強度を高めるために「角R」といわれる角の丸みを考慮しなければなりません。そして許容できる誤差である「公差」の範囲を指定しておくことが、精度の高い製品をつくり出す金型設計には重要なのです。最終的に完成した設計図は、技術者に渡り実際に製作されることとなります。

求められるスキル

金型設計で必要とされるスキルは、設計に直接関係している専門的な技術や知識だけではありません。中でもコミュニケーション能力は、取引先や実際に製造する技術者とのやり取りが欠かせないため重視されることが多いでしょう。精密でスピーディな設計業務が求められ、調整作業や議論を重ねて製品完成につなげていかなければならないため、適切に意図を汲み取り、見解を的確に相手に伝える力が大切です。加えて英語力も身につけておくと、海外での製造にも関わることができ、活躍の場が広がります。

ほかの設計でも必要とされる2D、3DCADに関しては当然使えた方がよいでしょう。特に3Dのスキルは、金型が立体構造ということもあり、高い精度と時間短縮のためにも役立ちます。また、取引先の製品や要望に合わせて金型を設計するため、素材の知識は重要です。製品の材質によって金型をつくるときのポイントはまったく違うため、どんな素材にも対応できるよう知識を深めておくと良いでしょう。

金型設計のやりがい

設計に関する仕事はさまざまですが、金型設計にはどのような魅力があるのか見ていきましょう。

多くのモノづくりに関われる

世の中の量産品は金型からできており、プラスチックやゴム、金属などの幅広い素材に対応していることもあって、ジャンルを問わず多くのモノづくりに関わることができます。新機種のスマートフォンや新型パソコン、新しい自動車など、あらゆる企業から次々と新製品が製造される現代において、必要不可欠な仕事といえるでしょう。また、自身が製作に関わった商品を目にする機会も多く、自分の行った仕事が社会の役に立っていると実感しやすいのも金型設計の魅力です。

設計図ができたときの達成感

依頼を受けた後は、取引先のニーズに応じてやり取りしながら、設計に関するあらゆるポイントやコスト、効率性を意識して設計図をつくらなければなりません。この単純ではない作業をとおして、最終的に完成までたどり着いたときには、金型設計でなければ得られない達成感があるでしょう。

金型が製品の品質に大きく関わる

金型の品質によって、完成する製品には大きな差が生まれるため、よりよいモノづくりのためには精度の高い設計技術が求められています。前述したように、現在の量産品は金型を土台につくられており、日本製品の「高品質」を支える仕事としても重要なのです。

日本は金型をつくる技術が高く、海外製品よりも長持ちすることや不良品の少なさに高い評価を得ています。これからはより軽く、より小さい金型を目指すことによって、大量生産できる製品の幅も広がり、多くの需要に応えることができるでしょう。今後も日本の良質なモノづくりを支える職業として、金型設計は大きなやりがいを感じることのできる仕事といえます。

金型設計の将来性

近年、環境や経済状況が変化し続けていますが、金型設計にはどのような将来性があるのか解説します。

金型業界の将来性

日本は「金型大国」と呼ばれた時代もあるほど金型産業が栄え、生産額が世界一に輝いたこともあります。

しかし2000年以降、自動車や電機メーカーの海外移転や海外企業の台頭で、金型生産額は大幅減少しました。海外の中でも、特に中国の生産額が大幅に伸び、2009年に日本は追い抜かれています。近年ではコロナ禍であらゆる産業の生産性が減り、金型需要も打撃を受けてさらに減少することとなりました。それにともなって従業員数も減少することになり、生産・製造業全般の経済状況が低迷したといえるでしょう。しかしその中でも、金属用のプレス型や鋳造型などの減少幅は小さく、不況時にこそ高い技術力が必要な製品に関しては日本製が求められていると思われます。

世の中の製品の根幹を担う金型は、これからも間違いなく必要とされるため、設計の仕事がなくなることはありません。一時期に比べると生産額は低下しているものの、コロナ禍においても日本の製品は高く評価されていることから、経済状況の変化にも強く将来性のある仕事だといえるでしょう。特に樹脂製品は今後も需要がありますので、樹脂系の金型づくりは将来性に期待がもてます。

より詳しくはこちらの記事で解説しています。

【実は転職しやすい!】金型設計の将来性とキャリアアップの方法とは?

金型設計の技術者は需要が高い

金型設計には高度な技術が必要で、技術者の人数も少ないため会社からの需要が高い職業です。

知識や経験があるにも関わらず、現職でキャリアアップや年収アップが期待できない場合は、将来性のある企業への転職を選択肢に入れても良いでしょう。

多くの会社で求められているスキルですので、職場が変わることでキャリアや待遇が改善する可能性は十分にあります。

金型設計の転職をお考えの方は、関西メーカー専門の転職エージェントタイズがおすすめです。

金型設計の業務内容や業界でのニーズを理解しているため、条件などの把握がスムーズに行え、求人票だけでは分からない企業情報も熟知しています。タイズ独自のアナログマッチング®によって、給与面や地域などの一般的な条件だけではなく、求職者の価値観も加味したマッチングが実施しており、納得できる転職に近づけられることでしょう。サービスは無料でご利用できますのでお悩みの方はお気軽にコンサルタントへご相談ください。

お問い合わせはこちら(無料)

まとめ

今回は、金型設計の仕事について解説しました。現代のモノづくりの土台を支え、製品の大量生産を実現するために欠かせない金型を設計し、専門技術だけではなくコミュニケーションスキルまで求められる仕事です。

国内の高い技術力は世界的にも評価され将来性もありますが、現在は経験豊富な技術者が少なく需要の高い職業でもあります。転職によってキャリアアップや待遇改善を目指せますが、より効率的に希望に合った企業を探したい場合は転職エージェントを活用するとよいでしょう。

SNSでシェア

この記事を書いた人

プロフィール写真

安達 篤史

株式会社タイズ

これまで17年間、転職エージェントのコンサルタントとして従事し、これまで1,000名以上の転職支援を実施。
技術系を中心に幅広い知識・経験があり、納得感のある転職を実現している。

安達篤史のプロフィールはこちら

送信中です