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2019.07.29【企業インタビュー】フジ矢 ペンチ・ニッパでシェアNo.1への道のり

フジ矢株式会社 代表取締役 野﨑恭伸社長

フジ矢株式会社 代表取締役 野﨑恭伸社長

大正12年創業、ペンチ・ニッパで国内シェアNO.1の作業工具メーカー フジ矢株式会社 野崎社長にインタビュー!トップメーカーに至るまでの道のりや製品の強み、海外進出や採用に成功している秘訣など、同社の魅力に迫ります!

当時のフジ矢株式会社について

野崎社長は約20年前、29歳のときに社長にご就任されたということですが、当時の会社についてお伺いしたいです。

20年前は、ITバブルが崩壊した時代でした。バブル最盛期に約13憶円あった売り上げは、半分ほどに下落、私はそのタイミングで社長に就任しました。また、ITバブル崩壊による不景気に加え、中国や台湾からの輸入工具が市場に流入、日本製品は市場シェアが減少しまして、当社は創業以来、初めての2期連続赤字に陥りました。

私が社長に就任して、最初に行ったのがリストラです。一番辛かった出来事であり、「もう絶対リストラしない会社にしよう」と固く決意しました。そのために、現状に甘んじることなく常に挑戦し続ける姿勢、「もう赤字はださない」という強いを持って仕事に取り組んできました。その後、リーマンショックで日本は不況に陥りますが、当時の経験を活かして、当社は赤字を出すことはありませんでした。

不況が続く中、野崎社長はどのような戦略を実行されたのでしょうか?

まずは、ホームセンターへの営業を強化しました。当初、ホームセンターは安い製品が並んでいるイメージを持っていましたので、当社の職人向けの製品が並ぶ場所ではないと思っていたんですね。しかし、近年ホームセンターの数は増えていますし、既存の販売ルートに依存するのではなく、ホームセンターなど量販店での売り上げも伸ばしていきたいと考えて営業した結果、この領域での売り上げは10年間で約5倍に伸びています。

 

国内シェアNO.1フジ矢株式会社のニッパ

国内シェアNO.1フジ矢株式会社のニッパ

次に、国内シェア拡大のために生産量を増やしていきたいと考えましたが、国内は職人不足だったので、技能実習制度を活用して2002年にベトナムから実習生の受入れを実施。来日した実習生は非常に優秀でして、教育すると高い技術レベルを身に付けた職人に成長してくれました。

実習生ですので、教育後は母国に帰ってしまうのですが、現地には習得した技術を活かす場所がなく、「母国に工場を建設してほしい」という希望があがってきたんです。当社としても国内市場が縮小する中、海外市場開拓の必要性を感じていたため、ベトナムに工場を建てることを決意しました。今は、現地の若い世代を採用して、職人として育成できています。

フジ矢株式会社のベトナム工場

ベトナム工場(100%製造子会社 FUJIYA MANUFACTURING VETNAM)

フジ矢株式会社の現状やグローバル戦略について

当時と比較して、現在は会社規模もかなり拡大されたと思います。

そうですね。リーマンショック時と比較すると、売り上げも社員数も3倍近くになりました。

御社のペンチ・ニッパは現在、国内シェア40%以上を占め、業界をリードするNO.1企業としての地位を確立されていますが、近年はシェア拡大のために、どのような戦略を実行されていますか?

当社はここ5年で2社M&Aを行っています。うち1社は、同業のペンチ・ニッパメーカーでして、ペンチ・ニッパのシェア向上と、生産効率を上げることを目的に、M&Aを実行しました。もう1社は、ドライバー・ボールポイントのメーカーでして、当社がまだ取り扱っていない工具製品を増やすことが目的でしたね。

今後は国内シェアのさらなる拡大を図りつつ、品揃えを増やして、ペンチ・ニッパメーカーから、総合工具メーカーへの転身を目指していきたいですね。

フジ矢株式会社 代表取締役 野﨑恭伸社長

ペンチ・ニッパメーカーから、総合工具メーカーへ。

グローバル戦略も精力的に展開されていますよね

当社は全世界をターゲットに、今後は海外への輸出先を広げていきたいと考えています。現状、ヨーロッパ、アジア、オーストラリア、ASEAN、アメリカにも少しずつ輸出はしていますが、いま一番多いのは韓国、台湾、ベトナムです。また、現在主力の生産拠点の1つとなっているベトナムには、これから新工場を建設します。来年に完成予定でして、工場完成が生産拡大に向けての大きな一歩だと考えています。

―海外では競合他社とどのように差別化を図っているのでしょうか?

国によって様々ですが、共通して価格勝負ではなく、質を重視しています。例えば、ベトナムでは中国製の安い製品が流通していますが、当社は高級品を販売していますのでターゲット層が異なります。競合という意味では、当社と同じように高級品を販売している台湾製の製品などになってきますが、そこでも「切れ味」や「耐久性」といった当社製品の強みをいかして勝負しています。また、欧米市場でも中国製の安価な製品が流通していますが、ベトナム工場で生産している製品を直接輸出することで、ベトナム製の製品販売を拡大していきたいと考えています。

競合他社との比較優位性について、御社製品の強みは何ですか?

当社のコア技術は、職人の手作業によって行われる”刃付け”と呼ばれる職人技術です。もっとも大事な「切れ味」「耐久性」を決める工程でして、一丁一丁職人が手作業で刃付けを行っています。他社でも最終仕上げは職人が手作業でされることが多いのですが、当社はレベルの高い職人技術により、他社には負けない「切れ味」と「耐久性」を意識して、製品をつくっています。また、当社は機械加工や組立、刃付けや研磨など、全工程を自社で一貫生産することにより、品質の高い製品を提供することにこだわっています。

海外製の安価な製品に対しても、レベルの高い職人技術と高品質により、日本製の優位性を図っています。

―量産品でありながら、製品の品質にこだわり続けているのですね

そうですね。機能面はもちろんのこと、当社の製品はBtoBのようでBtoCですので、製品自体の見た目や、パッケージのデザインにも非常にこだわっています。

フジ矢株式会社の製品

製品やパッケージのデザインにもこだわり。

 

刃を付ける作業“刃付け”

刃を付ける作業“刃付け”の図。機械化が進む中、フジ矢株式会社では、組み立て、焼入れ、刃付け、研磨といった重要な作業は、一丁一丁職人が手作業で実施。

高い職人技術の提供や製品の内製化には、早くから取り組まれていたのでしょうか?

そうですね。背景として、日本では職人の採用、教育が非常に難しくなってきていまして、製品を量産することができず、生産能力が落ち、外注先も廃業するなど、業界全体で生産能力が衰えていました。そんな中当社は早期から、「製品の内製化」「若い世代の積極的採用と職人技術の継承」などを対応しており、それが強みになったと思います。

「元気なモノ作り中小企業300社」に選定

「元気なモノ作り中小企業300社」に選定。フジ矢株式会社のモノ作りに懸ける想いの熱意、技術力、実績が評価される。

採用や人材育成について

採用について、新卒採用に成功されていますが、御社に応募者が集まる理由は何だと思われますか?

同業他社は「部品」をつくる企業が多い中、当社は「最終製品」をつくるメーカーである、というのが大きなポイントの1つになっています。自身が関わった製品が成果として目に見えやすいですし、実際に製品を店頭や街角で見ることができますので、やりがいを感じていただけると思います。

最終製品をつくるメーカーとして、成果が目で見えやすいのは1つの魅力ですね。若手がどんどんチャレンジできる職場環境があるなど、やりがいに感じるポイントが多いと思います。

ありがとうございます。当社は年齢関係なく、能力とマインド次第で若手に大きな裁量をお任せします。実際、当社には22歳の課長がいますし、私自身、若くして社長になった経験があります。

また、当社の規模感は、個人の頑張りが会社の業績に直結しやすい、というのも1つのポイントだと思います。例えば新たな製品を開発すれば会社の売り上げ、業績に影響がでますし、製造現場でも大きな改善や設備導入がコスト削減等に直結します。このように、自身の仕事が会社の業績にどのように反映しているか、非常に見えやすい環境で働くことができますので、単なる会社の歯車として働くのではなく、会社のエンジンとしてやりがいを持って働いていただけると思います。実際、社員の方に成果を感じていただきやすいように、会社の数字は基本的にオープンにしています。

人材育成や採用で課題に感じている部分はありますか?

組織が大きくなるに伴い、現在はリーダーになれる、マネジメント力のある人材が必要になっていますが、まだそのポジションを担える人材が少ないのは課題ですね。

―御社の社員は比較的若い方が多いのでしょうか?

そうですね。社内の平均年齢は38.5歳、私自身も49歳です。

よく当社の工場にいらしたお客様は、「フジ矢さんは若い方が多いですね」と驚かれます。

―リーダーのようなポジションでも、若手にチャンスはあるのでしょうか?

もちろんです。リーダーポジションでも、適正があればお任せします。

採用ではどのような人材を求めていますか?

新しいことを考えられる、クリエイティブな発想をお持ちの方やリーダーポジションを担っていただけるような方を求めています。当社は、チャレンジ精神旺盛で、前向きに発案ができる方、さらにそれを行動に移していける方、そういった方が年齢関係なく活躍できる会社です。

特に現在は、当社の新製品開発部門をより強化していきたいと思っています。スキル面ではマーケティングができる方や、図面を書ける方、機能を考えられる方などを求めています。

また「海外で働きたい」と考えている方にも、是非来ていただきたいですね。現在はベトナムに生産拠点を置いていますので、ベトナム工場で働ける方、海外営業ができる方も求めています。今後はベトナムにとどまらずASEAN方面に拡大していく方針です。

―これからますます国内・海外展開をされていく中で、「新製品開発部門」「海外拠点」ここで活躍できる人材が1つのポイントなんですね。

そうですね。他にも、生産技術や製品開発など技術的な分野に長けた人材も求めています。今後は、職人を育てていくことを大切にしつつ、職人技術を機械に任せていけるような体制にしていくことも重要です。そのために現在は、機械メーカーに外注して作ってもらっていますが、将来的には汎用機を自社用カスタマイズしたいと思っていますので、生産技術の強化を目指しています。また、生産管理や品質管理などの管理能力も強化したいと考えていまして、実際に今年の7月からシステム部を創設しています。

採用において、どのような点を重視されていますか。

まずは人物ですね。人物を重視しつつ、スキルや専門性をみていきます。やはり年齢問わず、気持ちがある方に来ていただきたいという思いがありまして、スキルがあっても、我々の考えに同感していただき一緒に走って行ける方でないと難しいと考えています。

フジ矢株式会社 代表取締役 野﨑恭伸社長

人物を重視しつつ、スキル・専門性をみています。

御社は社員満足度向上にも非常に力を入れていますよね。

社員同士が切磋琢磨しながら、楽しんで仕事に取り組んでいただきたいですし、アットホームな雰囲気を大事にしたいと思っています。当社は社内行事も多く、ボーリング大会や社員旅行、餅つき大会など様々なイベントを開催し、60歳以上のベテラン社員から若手まで幅広い世代が参加して楽しんでいます。

―そういった社内行事は社員の方からのリクエストもあるのでしょうか?

そうですね。例えば、ボーリング大会は若手の社員達が発案したもので、毎年恒例で開催される定番行事となっています。

社内の教育体制についてお伺いしたいです。

会社の目標達成や個人の能力開発のため、通常の社内研修や新しい技術を学ぶため社外のセミナーに積極的に参加してもらっています。加えて、営業のスキルアップ講習や、税理士の方をお招きして、管理職向けに決算書の読み方などの専門講習を開催しています。昔ながらの根性論で仕事をするような感覚的なものは排除して、戦略的に組織を強化したいと思っています。そのためには外部の力を借りることも必要と考えてまして、人事の即戦力ポジションで1名中途入社いただきましたが、これも人を育てるには人事のプロが社内に必要と感じたからです。

事業を展開するにあたり、社員教育は最重要と考えていますので、かなり力を入れています。

最後に、求職者に向けてメッセージをお願いします。

今までならば、終身雇用・年功序列企業が多かったので、転職・就職の軸は「どこの会社に入るか」が非常に重要だったと思います。ただこれからの時代は、「どこの会社に入れば自分のスキルを磨けるか」を考えることが重要になってきます。どんな会社に勤めていても、スキルが身に付かなければ自分の市場価値を上げることはできません。ですから、「どれだけスキルを磨けるか」が大事だと思います。

当社には、スキルを磨ける環境が多くあります。中小企業のメーカーではありますが、営業、マーケティング、製品開発、海外など多種多様な場面で活躍いただける環境が整っています。当社の考えを理解していただき、一緒に会社を担っていただける方のご応募をお待ちしています。

本日は、貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございました。

この取材は「竹内 源」が担当致しました。