高精度制御を極める技術と手厚い育成環境──オムロン コントローラ事業部で挑む「上流からのモノづくり」

高精度制御を極める技術と手厚い育成環境──オムロン コントローラ事業部で挑む「上流からのモノづくり」

左から
オムロン株式会社 システム事業本部 コントローラ事業部 ハードウェア開発部 部長 中西 英治様
オムロン株式会社 システム事業本部 コントローラ事業部 情報ソフトウェア開発部 部長 佐藤 岳宏様

世界中のモノづくり現場を最前線で支え続けるオムロン。そのファクトリーオートメーション(FA)領域の心臓部である、システム事業本部 コントローラ事業部では、現場の課題を解決する高精度な制御技術を追求しています。現在、現場データとITをつなぎ、工場のデジタル化を極大化する次世代コントローラ開発に挑んでいます。

本記事では、1998年入社以来ハードウェア設計を究めてきた中西様と、2004年に工作機械メーカーから中途入社した佐藤様が登場。比類なき技術的強みや独自の学びのインフラ、そして上流から開発に携わるやりがいについて、お二人に伺いました。

01. 主力コントローラの歴史を支えるお二方が辿ってきた、エンジニアとしての歩み

――まずは、お二人のこれまでのご経歴と、現在の部署での役割について教えてください。

中西様:私は1998年に新卒入社し、今年で28年目になります。入社当初から開発一筋で、ハードウェア設計を担当しています。
これまでにプログラマブルコントローラの「CJシリーズ」や現行の主力製品である「NXシリーズ」のハードウェア開発全般に携わってきました。2019年からはマネージャーとして、新商品の開発マネジメントだけでなく、既存商品のメンテナンスや不具合対応、機能改善の推進などを担当しています。また近年では、部品調達の状況に応じ、内部構造をリニューアルして製品供給を継続させるための対応も行っており、ハードウェア領域全般のマネジメントを統括しています。

佐藤様:私は2004年に転職エージェント経由でオムロンへ中途入社しました。前職の工作機械メーカーではユーザーとしてPLCを使っており、「自分ならこうしたい」という現場目線の想いが転職のきっかけです。
入社後10年間はネットワーク開発を中心に、子機側のリモートターミナルやコネクタの開発、プロジェクトリーダーなどを経験。2015年頃からはコントローラ開発へ移って親機側の開発に携わるようになり、「i-Automation!」を掲げた統合コントローラやAI内蔵モデル、ロボット制御とPLCを一体化したロボット統合コントローラの開発に携わりました。

最近はデータフローコントローラ「DX1」などの登場もあり、情報系・IoT領域に注力しています。IPC(産業用PC)などのオープンなプラットフォームやOSを活用し、顧客ニーズに合わせてソフトウェアを柔軟に出し入れ・運用できる環境づくりを推進しています。

※DX1 データフローコントローラ/商品の特長 | オムロン制御機器

――佐藤様はユーザーから開発者への転身ですが、数あるメーカーの中からオムロンを選ばれた決め手は何だったのでしょうか?

佐藤様:前職の工作機械メーカーではハードを担当し機器選定も行う中、オムロンは他社と比べて、現場に寄り添う姿勢が際立っていました。
単に機器を売るだけでなく、製造現場の課題解決に向けて営業やセールスエンジニアが密に対話してくれました。最適な選定から立ち上げ、保守まで真剣に向き合ってくれるきめ細かなサポート体制が、オムロンを選んだ一番の決め手です。

02. 「高精度な制御」と「揺らがない再現性」──技術者が語るオムロン製品の技術的な強み

「高精度な制御」と「揺らがない再現性」──技術者が語るオムロン製品の技術的な強み

――競合他社と比較した際、オムロン製品の最大の強みはどこにあるのでしょうか?

中西様:当社が強みとしているのは「高精度な制御」にあります。処理速度を高めるだけであれば他社製品でも可能ですが、末端のセンサや機器に起こった事象の時刻情報を微細なレベルで同期・管理する精度において、当社には明確な優位性があります。

現場から再現性の高い「質の高いデータ」を収集することが、結果として、上位のITシステムやデジタルツイン上で正確な現場再現を可能にする大きな強みとなっています。

佐藤様:他社製品もCPUの進化により処理速度は向上していますが、「高精度」を実現するのは容易ではありません。一般的には、別のソフトウェアやサービス処理を同時に動かすと、処理時間が伸びたり、制御に「揺らぎ」が生じたりします。

オムロンでは、ハードウェア内部の専用IC(半導体)や時刻同期を工夫することで、厳密な時刻管理を可能にしています。さらにソフトウェア面でも、EtherCAT(産業用オープンネットワーク)の通信・制御タスクを厳密にスケジューリングするモデルを採用しており、他の処理が入ってきても制御が揺らがない仕組みを構築しています。

ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアで「高精度」にこだわっているからこそ、お客様の生産性を支える軸制御を一切ぶらすことなく、データ収集や解析を安定して行うことができる。これが当社の大きな強みです。

――FA(ファクトリーオートメーション)業界全体の今後の動向や技術的なトレンドについて、どのように分析されていますか?

中西様:今後もハードウェアが核であり続けることに変わりはありませんが、工場の現場データをIT側へ集約・活用する動きはますます加速していくと考えています。デジタルツインなど仮想空間での制御が進むからこそ、仮想モデルを現場で精度高く動かすための「情報連携のつなぎ」が非常に重要になります。

その点、当社には数万点に及ぶ機器群から得られる、時間同期の取れた「質の高い現場データ」という強力な資産があります。これをIT側と高精度に連携させることで、より価値の高いソリューションを提供していきたいと考えています。

佐藤様:これまではハードウェア単体の制御性能によってお客様の生産性を高めるアプローチが中心でした。しかし今後は、AIの活用や「ソフトウェア・デファインド」へのシフトが不可欠です。

現場で得たデータをどう加工し、お客様の課題解決につなげるか。今後はソフトウェア販売やサービス事業はもちろん、それらを成り立たせるプラットフォームの提供へと事業軸をシフトしていく見込みです。

――そうした市場の変化を踏まえ、オムロンの制御機器事業(IAB)として今後どのような業界やエリアに注力されていくのでしょうか?

佐藤様:当社では中期ロードマップや事業ポートフォリオにおいて、「成長業界 × 成長エリア」を軸とした成長戦略を定めています。

成長業界として注力しているのは、二次電池(車載用バッテリー)やEV(電気自動車)関連の分野、成長エリアとしては、中国・欧州・日本を最重点地域として設定しています。これらの成長業界と重点エリアに対して、事業開発と投資を加速させていく方針です。

03. 「与えられた仕様」を超えていく──納期・コスト・品質の最適解に挑むオムロンの開発思想

「与えられた仕様」を超えていく──納期・コスト・品質の最適解に挑むオムロンの開発思想

――開発現場で、意欲や工夫の姿勢を感じたエピソードをお聞かせください。

中西様:与えられた仕様をそのまま作るのではなく、上流段階から「より良い仕様」を追求しています。ハードウェアは一度作ると簡単には変更できないため、「使い勝手を良くするにはどうすべきか」「コストを抑えつつ品質を上げる代替案はないか」と、全員がこだわり抜いて知恵を出し合います。

印象的だったのは、厳しい納期の中で世界的な部品供給の逼迫時期と重なってしまったことです。キーパーツが半年以上手に入らない状況で、別の部品への変更や代替部品での先行検証など、調達部門とも頻繁にやり取りを重ねて進めました。さらに、高性能CPU採用による発熱対策も大きな課題でした。時間をかけて排熱構造を設計するのが理想ですが、納期を死守するため、メンバーが「コストを多少かけてでも最短で熱を逃がすアイデア」を提案してくれました。

単に理想の設計を追求するだけでなく、納期・コスト・市場の状況を総合的に捉え、現実的な最適解をリードしていく――。これこそがオムロンの開発者に求められる姿勢だと感じました。

――お二人の部門間で、ぶつかり合いやすり合わせはあるのでしょうか?

中西様:少なからずありますね。良いものを作る上では必要ですし、一つの機能をハードウェアとファームウェアのどちらで実現するか、かなり議論しています。
以前、タッチパネルの感度調整が必要になったことがありました。開発最終盤だったため、ハード側の金型変更は間に合わず、ファームウェア側で対応するという判断になりました。
本来は上流の要件定義を固めることが重要ですが、万が一起こった場合は現場で折り合いをつけて対応しています。

――技術者自身が営業やマーケティングに同行し、お客様を訪問する機会が増えていると伺いました。具体的にどのような役割を担われているのでしょうか?

佐藤様:「顧客に近い商品開発」が非常に増えています。AI活用やデータ可視化といった漠然としたご要望に対し、徹底的に対話することで真の課題を紐解き、あるべき要件へ落とし込むのが開発者の仕事です。上流から直接関わるからこそ、価値ある製品が作れると考えています。

04. 学び続ける文化と選べるキャリアパス。エンジニアの可能性を広げるオムロンの育成環境

学び続ける文化と選べるキャリアパス。エンジニアの可能性を広げるオムロンの育成環境

――入社後に幅広い技術やドメイン知識を学べる教育制度やサポート環境はあるのでしょうか?

佐藤様:配属時には、「Sysmac」などのアーキテクチャやソフト・ハードの相互関係、インターフェース構造を一通り学ぶ研修があります。

さらにシステム事業本部・センサ&コンポ事業本部全体で横串を通したスキルアップ制度があり、専門分野ごとに塾のような講座が設けられています。レベルに合わせて手挙げ制で受講でき、上海などの海外開発拠点でも講義動画を活用するなど、継続的に学べる学習基盤となっています。

中西様:講師は各分野に強みを持つ技術者が担当し、年間プログラムとして運用されています。この制度は社内のスペシャリスト認定やキャリア開発にも紐づいているため、教える側にとっても実績になります。

――そうした取り組みは、部署を超えた技術連携やノウハウ継承にもつながっているのでしょうか?

中西様:間違いなくプラスになっています。例えば、コントローラ部門とセンサ部門の技術者が同じテーマを学ぶ中でつながりが生まれます。FPGA(集積回路)などの専門技術を持つ講師を通じて、部署を超えた技術相談が行われるケースも少なくありません。

中途入社の方は「誰に何を聞けばいいか分からない」と迷いがちですが、塾の講師がその領域のキーマンだと分かりやすいため、社内ネットワークを広げる大きなきっかけにもなっています。

佐藤様:講師の失敗談や実務でのノウハウを学べるのも大きいです。「ハードウェア設計時に高周波特性で失敗しないための配線ノウハウ」など、現場の知見が盛り込まれています。中途入社者にとっても、即戦力化に向けた非常に役立つ場になっていますね。

――エンジニアのキャリアパスや、マネジメント・スペシャリストそれぞれの育成支援について教えてください。

中西様:当社ではマネジメント職とスペシャリスト職の2コースを用意し、毎年のキャリア面談に基づき育成を支援しています。

スペシャリスト志向の場合、社外学会での発表や論文執筆のほか、先述の「社内塾」で講師を務めるなど、技術的影響力を広げる機会を提供します。一方、マネジメント志向の場合は、段階的なリーダー研修やアセスメントを通じ、マネジメント能力を着実に高めていきます。

佐藤様:マネジメントでの成長機会としては、海外拠点(中国・欧州等)でのプロジェクト推進や、事業部横断の「タスクフォース活動」などがあります。開発DXや人材育成といったテーマで集まったメンバーがリーダーシップをとって変革を推進しています。

――マネジメント層になってからも現場の技術に関わったり、他部門と一緒に作り込んだりする機会はあるのでしょうか?

佐藤様:非常に多いです。私自身、不具合の現場調査やお客様へのセキュリティ方針の説明などに直接対応しています。コントローラ開発はハード・ファーム・ソフトが複雑に絡み合うため、現場で異分野の技術やトラブルに触れるたびマネージャーとしての知見が広がります。

また、ファームウェアの視点から言えば、コントローラはセンサやサーボ(駆動系)を束ねる司令塔であり、常に他部門とのインターフェース設計やすり合わせが発生します。単なる事務的な調整ではなく、他分野の技術者と対話しながら一つの製品を作り込む経験を重ねることができます。

中西様:マネジメントには技術の「深さ」に加え、領域を横断する「広さ」と「目利き力」が求められます。リーダーからマネジメント層へ上がるにつれ、自領域だけでなく他機器や他部門への影響まで俯瞰して判断する必要があります。その判断の根幹にはベースとなる技術知識が不可欠なため、立場に応じた形で常に技術に向き合い続けています。

05. 「領域を超えて繋ぐ」姿勢と+αの探究心――妥協なきモノづくりに挑む求職者へのメッセージ

「領域を超えて繋ぐ」姿勢と+αの探究心――妥協なきモノづくりに挑む求職者へのメッセージ

――「上流設計に携わりたい」「一貫して開発したい」という求職者へ、どのようなキャリアややりがいを提示できるでしょうか?

中西様:大規模プロジェクトゆえに1人で全工程を担うわけではありませんが、経験を重ねて他領域の技術者と連携が取れるようになると、上流の仕様決定にも自分の考えを反映できるようになります。大規模な市場に出る製品に知恵を注ぎ込む達成感は格別です。

佐藤様:まずは小規模テーマで開発の一巡を経験し、徐々にシステム設計や大型コントローラ開発へとステップアップしていきます。経験を重ねることで、徐々に上流へ関わる領域を広げていける環境です。

――中途入社の方が直面しやすいギャップや、壁にぶつかりやすいポイントがあれば教えてください。

佐藤様:中途で入社される方は専門分野の技術力が非常に高いと感じています。ただ、当社のコントローラ開発においては、単一の専門技術に特化しているだけでは不十分なケースがあります。
コントローラづくりには、ハードウェアの知識はもちろん、機器同士の接続や内部の異なるソフトウェア同士を連携させる「密なすり合わせ」が不可欠です。そのため、自分の専門領域だけに閉じてしまうと、周囲との連携に難しさを感じることがあります。

隣の担当者がどんなハードやソフトを開発しているのかに興味を持ち、お互いの専門性をぶつけ合いながらアイデアを形にしていく姿勢が求められます。「異なる技術や人とつながり、掛け合わせることで新しい価値を生み出す」という意識を持てることが、当社で活躍する上で大切なポイントです。

――どのようなスキルセットを持つ人材が求められていますか?

中西様:私たちが実現したいのは「現場(ハード)」と「IT」をシームレスにつなぐことです。両方の領域を深く理解している必要はありませんが、双方の架け橋となる「つなぐ技術」を持つことが、オムロンの強みである質の高いデータを生み出す鍵となります。ベースの技術を持ちつつ、領域を超えてシームレスにつなぐ挑戦ができる方を求めています。

佐藤様:情報ソフトウェア開発部では、まずベースとなるC言語などの組み込み制御・ファームウェア技術を確実に経験されていることが前提となります。その土台の上に、データサイエンスや安全規格、セキュリティなどの最先端技術や知識を+αで掛け合わせられる人材を求めています。

――技術的なスキルに加え、選考において重要視しているマインドや姿勢について教えてください。

中西様:経験やスキルのマッチングはもちろんですが、それ以上に「向上心や探究心」「より良くするための工夫」を重視しています。

出された仕様通りに設計して終わりではなく、「もっと使いやすくできないか」「将来の機能改善やバージョンアップがしやすい構造にするにはどうすべきか」といった課題意識を持ち、粘り強くアプローチできるか。与えられた枠組みを超えて、モノづくりをより良くしていこうとする熱量を持った方と一緒に働きたいですね。

――最後に、オムロンへの転職を検討されている方へメッセージをお願いいたします。

佐藤様:私からは3つの姿勢を期待したいと考えています。1つ目は、進化する技術や市場変化を自ら学び続けられるキャッチアップ力。2つ目は、お客様の真の課題やニーズを理解しようと懐に飛び込む姿勢。そして3つ目が、課題や意見のぶつかり合いがあっても最後までやり抜く強い貫徹力です。こうした姿勢の方と一緒に働きたいですね。

中西様:オムロンには、人当たりが良く高い技術力を持った仲間が集まっています。中途入社であっても周囲から刺激を受けながら、自身の技術をさらに高めていける環境です。チームで大きなモノづくりに挑む中で、自分の強みを活かす探究心と、「より良い製品を作りたい」という熱意を持った方からのご応募を楽しみにしています。

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タイズマガジン編集部

株式会社タイズ

タイズは、2005年の創業以来、メーカー専門で転職支援を行っている転職エージェントです。15年以上の転職支援実績を元に記事を執筆しております。

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  • 関西メーカー専門転職エージェント総合満足度NO.1(ゼネラルリサーチ調べ)
  • リクルートキャリア主催 GOOD AGENT RANKING ユーザー満足度部門入賞
  • パナソニック株式会社様 ベストエージェント賞 受賞

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