企業インタビュー
[ 関西電力株式会社 ]
日本の未来、その「あたりまえ」を守り、創る。関西電力原子力事業本部が担う使命とは

左から
関西電力株式会社 原子力事業本部 原子力企画部門 原子力企画グループ・マネジャー 福岡 大志様
関西電力株式会社 原子力事業本部 原子力企画部門 原子力企画グループ・チーフマネジャー 石川 達雄様
関西電力株式会社 原子力事業本部 原子力企画部門・原子力企画部長 前原 啓吾様
株式会社タイズ 担当コンサルタント 松岡 千代之介
株式会社タイズ 担当コンサルタント 柳 貴一朗
日本のエネルギーインフラを最前線で支え続ける関西電力株式会社。東日本大震災後、他社に先駆けて徹底した安全対策を講じ、早期再稼動を実現した同社は、現在国内で稼動する原子力発電所の約半数を占める7基を運用しています。カーボンニュートラルの実現に向け、原子力の重要性が再認識される今、同社が果たすべき役割はかつてないほど高まっています。
本記事では、原子力事業の中枢である原子力事業本部原子力企画部門にて、戦略策定やDX推進、組織構築に携わるお三方にインタビュー。業界を牽引する圧倒的な技術力と、未経験からプロフェッショナルへとステップアップできる教育体制、そして福井県若狭地域というフィールドで実現する豊かなワークライフバランスについて、お話を伺いました。
01. 日本のエネルギーを最前線で支える ―― 三者三様のキャリアと原子力への想い
――まずは皆様のご経歴と、エネルギー分野を志したきっかけについてお聞かせください。
前原様:私は1998年に入社以来、原子力安全やリスク評価を皮切りに、原子燃料サイクル、エネルギー事業全般の戦略企画など、多角的な視点で事業に携わってきました。文部科学省への出向を通じた研究炉等の国際案件の取りまとめも経験しています。社外出向は、当社の事業を客観視し、多様な価値観に触れ、人脈を広げる貴重な機会でした。現在は原子力企画部門の責任者として、ビジョン策定から要員確保・人財育成まで、組織運営の根幹となる仕組みづくりを担っています。
原子力に興味を持った原点は、小学2年生の頃に読んだ学習雑誌です。膨大な量の化石燃料に匹敵する電力を、ごくわずかなウラン燃料から生み出せるという図解を見て、「これからは原子力の時代だ」と子供心に直感しました。大学では同分野を専攻し、地元兵庫のなじみ深い関西電力で、原子力に携わりたいという一念で入社しました。
石川様:2005年に入社以来、原子力発電所の設備メンテナンスに関する業務に従事し、特にプラントを長期にわたって安全に稼動させ続けるための高経年化対策を専門としてきました。世界原子力発電事業者協会や原子力エネルギー協議会へ出向し、国内外の関係者と協働して革新軽水炉導入の検討に携わりました。
現在は原子力企画グループにて事業戦略の検討や推進を行っており、特にDXやAIを活用した業務変革に力を入れています。
学生の頃から、「社会の役に立つ仕事がしたい」と漠然と考えていました。大学で燃料電池を研究していたこともあり、就職先を検討する中で、社会の根幹を担うエネルギーインフラという選択肢が自然と浮かび上がりました。その後、インターンシップで触れた当社の温かい社風に惹かれ、入社を決意しました。以来、一貫して原子力事業に携わっていますが、日本のエネルギー供給を根底から支えるやりがいは非常に大きく、日々充実感を持って業務に臨んでいます。
福岡様:私は2010年に入社しました。機械系の専攻を活かし、発電所でのメンテナンス業務や、原子力事業本部において発電所を後方支援する形で保修業務に携わってきました。入社直後に東日本大震災を経験し、新規制基準への適合に向けたプラントの再設計に深く関わったことが印象的です。
その後、本店にて全社の電源戦略立案や市場分析を担当し、現在は原子力事業本部にて組織体制の最適化に取り組んでいます。
02. 歴史の教訓を、未来の使命へ。エネルギー安定供給への揺るぎない信念

――震災後、御社は国内最多となる7基の再稼動を成し遂げられました。トップランナーとして、迅速に再稼動を実現できたのはなぜでしょうか?
前原様:最大の要因は、当時の経営層が示した「原子力はこれからも日本のエネルギーに不可欠である」という揺るぎない信念と強いリーダーシップにあります。東日本大震災による福島第一原子力発電所事故を受け、日本の原子力業界が先行きの見えない不安に包まれる中、トップが「今、何をすべきか」という確かな指針を提示し続けたこと。それによって、現場も迷うことなく新規制基準への対応に邁進することができました。
「資源の乏しい日本において、いかなる状況下でも電力を安定供給し続けなければならない」経営層が発信し続けた決意が組織全体に浸透していたからこそ、全社が一丸となって早期再稼動という極めて高い壁を乗り越えられたのだと確信しています。
石川様:1970年の美浜発電所1号機の営業運転開始以来、日本の原子力業界を牽引してきたという自負も大きかったですね。日本のエネルギーインフラを根底から支えているという誇りが現場の一人ひとりに根付いており、自分たちの手でこの局面を打開するという当事者意識が、未曾有の事態を突破する原動力となりました。
福岡様:入社当時から、関西電力は日本の原子力をリードする存在だと教わってきました。震災後には、「我々がやらねば誰がやるんだ」という強い使命感が社内にあり、その熱量を私自身も肌で感じていました。また、原子力に携わる多くの人々から、その役割を担う存在として期待されているという自覚もありました。リーダーたちが明確な方向性を示していたことで、会社全体が同じ目標に向かっていました。
――原子力部門だけでなく、会社全体として取り組まれたのですね。
前原様:おっしゃる通りです。決して原子力部門だけで再稼動を成し遂げたわけではなく、他部門からの多大な支援がありました。会社全体で再稼動を進めていくという強い一体感や組織力が、現在の7基体制につながっているのだと思います。
03. プラントを動かし続けてきた実績を礎に。運用の高度化を牽引するリーディングカンパニーの矜持

――他社と比較した際、御社の原子力事業における技術的な強みや特徴はどこにあるとお考えでしょうか?
石川様:最大の強みは、長きにわたってプラントを動かし続けてきた実績にあります。1970年の営業運転開始以来、現在も40〜50年を超える発電所を安定稼動させており、社内には極めて長い運転保守の経験と高度なノウハウが蓄積されています。
また、経営トップから現場の隅々に至るまで「安全最優先」の意識が徹底されている点も強みです。安全を絶対的な大前提とした上で、運用をいかに高度化していくか。そこに全力で取り組む姿勢こそが、私たちの大きな特徴だと考えています。
――技術者として、原子力事業に携わる社会的意義をどのように捉えていますか?
前原様:電気は生活や産業の根幹を成すインフラであり、それを絶やさず提供し続けること自体に、極めて大きな意義があると考えています。その上で、私たちが担う「原子力」には独自の役割があります。
一つは、燃料輸入の影響を受けにくい「準国産エネルギー」として、日本のエネルギー安定供給に貢献できること。もう一つは、発電過程でCO2を排出しない、地球環境に優しいエネルギーであることです。安定供給と環境への配慮という両面から社会インフラを支え、貢献できることこそが、この仕事の最大のやりがいだと感じています。
――社外から、貴社の技術力はどのように評価されていると感じますか?
福岡様:電力に携わる社外の方々から「関西電力さんはどう思いますか」と意見を求められる機会が多く、技術力への期待の大きさを感じます。メーカーからの提案を待つだけでなく、私たちから能動的に対策を立案し、プロジェクトを牽引していく風土が自然と根付いています。
石川様:当社は国内初の加圧水型軽水炉を導入し、最も長く運用しているからこそ、常に業界の先頭で技術的課題に向き合っています。未知の事象に対しても、メーカーと一丸となって対策を練り上げ、解決策を提示し続ける。牽引する立場にあること自体が、当社の大きな強みです。
――自ら未知の領域を切り拓いていくのですね。具体的なエピソードはありますか?
前原様:震災後、新規制基準が策定される前に実施した「ストレステスト」が象徴的な取り組みです。当時は「地震と津波の重畳(重ね合わせ)」という課題に対して既存の評価手法が存在しておらず、メーカーにも明確な答えがない状況でした。その中で、私たちは安全性をどのように評価すべきかを検討し、評価手法の提案や技術的な整理を進めていきました。
発電所の運用を熟知しているからこそ、設計段階から深く関与し、技術的な課題解決に主体的に取り組める。日本の原子力をリードする立場として、前例のない課題にも挑戦できることに、技術者として大きなやりがいを感じています。
――徹底した安全対策が求められる中、現場ではどのような取り組みをされているのでしょうか?
石川様:ハード面では、これまでよりも地震の想定を大幅に引き上げ、耐震補強や防潮堤の設置、電源喪失に備えた可搬型設備の配備など、多様な安全対策を講じています。また、設備を整えるだけでは十分ではありません。いざという時に確実に対応できるよう、現場では日々訓練を積み重ね、ソフト面からも安全性を高めています。
――非常に重い責任が伴う仕事ですが、そのやりがいをどのように捉えていますか?
福岡様:放射性物質を扱う以上、極めて高い技術力と厳格な判断が求められます。プレッシャーの大きい仕事ではありますが、自分たちの判断や取組みが発電所の安全に直結し、電力の安定供給を支えているという実感があります。「当たり前の暮らしを支えている」という実感こそが、我々にとって大きな誇りであり、やりがいになっています。
04. OJTと充実の設備でプロフェッショナルへ ―― 未経験からでも成長できる教育体制と多様なキャリア
――入社後、技術者としてどのようなキャリアを歩んでいくのでしょうか?
前原様:まずは第一線職場である発電所の運転業務からのスタートです。24時間365日、電力を送り続ける現場を知ることがすべての基本になるからです。その後は、保修部門である電気・機械や放射線管理、燃料管理といった各分野で、専門的な技術や運用ノウハウを深めていきます。さらに、原子力事業本部での戦略立案や国との調整業務などを経験しながら、段階的に視野を広げていきます。現場の「技」と経営の「視点」、その両方を備えた人財を育成する仕組みが整っています。
――異業種からの転職や、原子力を専門としてこなかった方でも活躍は可能ですか?
前原様:もちろんです。どのようなバックグラウンドの方でも、原子力のプロへと育てる準備と心構えが当社にはあります。事実、ここにいる石川や福岡も学生時代の専攻は原子力ではありませんでしたが、今や立派なプロフェッショナルとして活躍しています。
福岡様:人財育成はOJTを基本としていますが、未経験の方にとっては専門性の高さに不安を感じられることもあると思います。その点、当社では自社の研修施設を保有しており、例えば、運転業務では発電所の中央制御室と同じ仕様のシミュレーターで訓練を積むことができます。基礎から応用まで、段階的にスキルを上げられるプログラムが整っており、メーカーと同等の高度な技術や知識を習得できる機会もあるため、安心して挑戦していただきたいです。
――御社だからこそ経験できる、独自のプロジェクトや成長機会についても教えてください。
石川様:高経年化プラントの長期運転知見、プラントの廃止措置、さらにはメーカーと共同で進める革新軽水炉の開発など、非常に多層的なプロジェクトが同時に進行しています。海外の事業者や研究機関と連携する機会も多く、特定の領域に特化した深い技術力から、幅広くマネジメントを行う能力まで、多彩な経験を積むことができます。
福岡様:年に1回、10年先までを見据えたキャリアについて上司と対話し、自律的なキャリア形成を組織全体で支援する制度も、当社の特徴の一つです。
――プロフェッショナル職の方のキャリアパスについて伺います。美浜・高浜・大飯の3拠点を異動しながら、経験を積んでいくのでしょうか?
福岡様:将来的に現場のエキスパートを目指していただく上で、3拠点それぞれの設備や運用を経験していただくことが重要だと考えています。複数の現場を経験することで、設備や業務に対する幅広い知識や多角的な対応力を養っていただきたいと思っています。
前原様:これはプロフェッショナル職に限らず当社全体に共通していますが、ステップアップの過程では勤務地や担当業務を変えながら、新たな環境でキャリアを積む仕組みを採っています。多様な現場を経験し、それぞれの特性を深く理解していくことが、結果として社会インフラを支える確かな技術力につながると考えています。
05. 転勤のない福井で実現する、圧倒的に豊かな生活

――原子力事業本部での勤務は福井県(若狭地域)が中心となりますが、実際の働き方や生活環境はいかがでしょうか?
福岡様:大きな特徴の一つは、全国を転々とするような転勤が少なく、腰を据えて将来設計を描きやすい点です。特急サンダーバードを利用すれば敦賀から大阪まで約1時間半、車でも大阪・京都まで2〜3時間程度と、関西圏へのアクセスも良好です。そのため、自宅を都市部に構え単身赴任という形で勤務されている社員も約3割います。
また、通勤環境も整っており、事業所までは観光バス仕様の社有バスが運行されています。満員電車に揺られることもなく、通勤時の負担は少ないと感じています。
石川様:北陸新幹線の延伸もあり、東京や金沢へのアクセスもさらに向上しましたね。
――住環境のサポートについてもお聞かせください。
福岡様:単身者向けの寮や、ご家族で入居できる社宅を整備しており、社有バスも近くまで運用されています。住居費などの負担を抑えながら、生活基盤を整えられる環境です。
また、持ち家の方は、発電所や原子力事業本部近郊の地域に住まわれているケースが多い印象です。
――ご家族と一緒に若狭地域で生活されている方にとって、子育て環境などはどのような印象ですか?
石川様:私は福井にゆかりがありませんでしたが、豊かな自然環境や暮らしやすさに惹かれ、こちらに家を建てました。近所には大きな公園があり、子供をのびのび遊ばせることができますし、休日には近場でキャンプや海釣りを楽しめます。地域ならではの新鮮で美味しい魚も味わえます。また、自治体による医療費助成など、子育て支援も充実しており、住みやすい地域だと感じています。
前原様:教育面でも、福井県は全国的にも学力水準が高いことで知られており、教育環境の充実にも力を入れています。実際に子供を地元の小学校に通わせる中で、教育環境の質の高さを実感しました。
――休日のとりやすさについてはいかがですか?
福岡様:定期検査の時期などの繁忙期はあらかじめ予測できるため、計画的に業務を進めながら、休暇を取得する文化が定着しています。有給休暇の取得は全社的に強く推奨されており、取得状況が悪いと上司が指導を受けるほど徹底されています。忙しい時期は集中して業務に取り組み、落ち着いたタイミングではしっかり休む。オンとオフのメリハリをつけ、心身ともに健やかに働き続けられる環境が整っています。
06. チームで挑み、人間としての信頼を築く ―― 共に未来のインフラを創る仲間へ

――今後の日本のエネルギー産業において、原子力事業はどのような役割を担うとお考えでしょうか?
石川様:2025年2月に策定された「第7次エネルギー基本計画」では、エネルギーの安定供給と脱炭素の両立に向け、特定の電源に依存せず、バランスよく組み合わせていく方針が示されました。その中で原子力は、優れた供給力と脱炭素化への貢献が期待される「持続的に活用すべき電源」と明確に位置づけられています。
当社においても、原子力は安定供給・脱炭素の要であると確信しており、揺るぎなく事業を推進していく方針です。
――キャリア採用において、どのようなマインドを持つ人財を求めていますか?
石川様:原子力発電所は、当社社員だけでなくメーカーや協力会社の方と一緒にチームとなって支えていく職場です。現在、多様なバックグラウンドの方々が活躍していますが、共通して求めているのは「チームで協働する力」です。
当社が掲げる「公正・誠実・共感・挑戦」という価値観を大切にしながら、公正で誠実な姿勢で、しっかりと安全を守っていける方。周囲と共感しながら一つの目標に向かって取り組める方。そして社会の皆さまのためになることに挑戦し続けられる方を、心から歓迎します。
前原様:私たちの事業は、社会への大きな貢献につながる一方で、非常に重い責任を伴います。会社として社会の信頼に答え続けるためには、社員一人ひとりが周囲から信頼される存在でなければなりません。だからこそ、単なる技術者としてのスキルだけでなく、人として誠実に信頼を積み重ねていける方と一緒に働きたいと考えています。
――最後に、応募を検討されている方へメッセージをお願いいたします。
前原様:原子力事業は、エネルギーの安定供給と脱炭素社会の実現という観点で、我が国にとって欠かせない存在です。私たちが日々向き合う業務は、社会インフラを構築し、我が国の未来の暮らしを創り上げるという極めて大きな使命に直結しています。
日本のエネルギー供給の最前線に立ち、私たちと共にこのやりがいを感じながら、「あたりまえ」を守り、創っていく。そんな志を持つ仲間からのご応募を、心よりお待ちしております。