企業インタビュー
[ 三菱電機エンジニアリング株式会社 静岡事業所 ]
主体性を発揮し、形にして見届けるエアコン設計――三菱電機エンジニアリング株式会社 静岡事業所 ルームエアコン技術部

左から
三菱電機エンジニアリング株式会社 静岡事業所 ルームエアコン技術部 ルームエアコン技術一課 グループリーダー 相羽様
三菱電機エンジニアリング株式会社 静岡事業所 ルームエアコン技術部 ルームエアコン技術一課 課長 横田様
三菱電機エンジニアリング株式会社は設立以来、三菱電機株式会社の技術パートナー企業として優れた開発設計力を有し、幅広い分野の製品・システムの開発・設計を担ってきました。生活に身近な家電から航空宇宙分野に至る「家電から宇宙まで」をキーワードに、高度な技術力と独自のアイデアを活かした多彩なエンジニアリングを展開しています。
当社の中核となるのは三菱電機向けエンジニアリング事業で、製品の構造設計・回路設計、プラントやビル設備のシステム設計などを担当しています。また、そこで培った技術を活かし、自社製品の開発設計も行っております。
三菱電機 静岡製作所は、空調冷熱事業を担う主要拠点です。
同じ敷地内にある当社 静岡事業所では、業務用エアコン・家庭用エアコン・冷蔵庫・給湯器の機械設計、制御設計を行っています。また、電子冷蔵庫などの自社ブランド製品も開発しています。
国内はもちろん、海外市場向けの製品開発にも携わることができます。デザインや機能要求を、どのような機構・構造で実現するかを追求しながら、最先端の製品づくりに貢献しています。
今回は、主にエアコンや冷蔵庫の筐体設計を担当しており、製品に関する幅広い知識はもちろん、板金・樹脂といった材料特性や金型技術、生産技術を理解した設計を行うことで、モノづくりの中心的役割を担っている、静岡事業所 ルームエアコン技術部 ルームエアコン技術一課のお二人に、自分が設計したものが形になるやりがいや、主体的に働けて雰囲気の良い職場の魅力、充実した研修制度についてお話を伺いました。
01. エアコン設計に至るまでの、お二人のキャリア
――まずは、お二人のご経歴と現在携わっている業務を教えてください。
横田様:大学では機械工学を学び、最終的には熱流体を研究していました。2007年に新卒で三菱電機エンジニアリング静岡事業所へ入社し、以来ルームエアコン室内機の筐体設計を担当しています。多い機種で150を超える部品がありますが、3D-CADで形を作るところから評価まで一通り経験してきました。先行開発に携わった時期もありますが課長になった今も軸足は同じ領域です。
相羽様:大学では物質工学科で化学を学び、最終的にリチウムイオン電池の研究をしていました。前職は自動車関連で、樹脂部品の構造設計を4年間担当しました。2016年に当社へ入社し、ルームエアコン技術一課で室内機の筐体設計を2年、異動してパッケージエアコンの室内機設計を5年、Air to Waterという欧州向け給湯機器の室外機設計を1年経験し、現在は技術一課に戻って3年目です。
今は三菱電機のインド新拠点の立ち上げに関わり、現地で生産する室内機の設計に加えて、工場システムや設計ルール整備、現地メーカー活用の仕組みづくりまで担当しています。静岡事業所と長崎事業所で連携し、7名ほどの体制です。その中で、私は室内機開発の取りまとめとして、仕様決定、構造判断、拠点間調整を担っています。
――入社のきっかけを教えてください。
横田様:地元である静岡で就職先を探す中で、規模の大きな企業も受けてみようと思ったのがきっかけです。大学で熱を扱っていたこともあり、仕事内容に面白さを感じました。
相羽様:私も地元が静岡で県内志向でした。前職では自動車用エアクリーナーを扱っていて、フィルターや空気の流れ、樹脂設計などの経験がエアコンにも活かせると考えました。
02. 静岡事業所が担う役割と、次の成長に向けた取り組み
――静岡事業所の事業上の位置付けについてお聞かせください。
相羽様:空調冷熱事業は三菱電機の中でも大きな事業で、売上の1/4ほどを占めています。三菱電機静岡製作所は家庭用および業務用エアコンの室内機・室外機、冷蔵庫を製造しており、当事業所はそれら製品の筐体・生産設計を担う重要な拠点です。
――組織として取り組んでいるミッションをお聞かせください。
横田様:静岡事業所は三菱電機製のエアコンの筐体・生産設計全般を任されており、室内機・室外機・特殊形態まで幅広く担当しています。現在はそれに加えてDXや自動化生産といった分野にも踏み込もうとしており、三菱電機の製品価値をさらに高めていくことに取り組んでいます。
――自動化生産について具体的に教えてください。
横田様:今は人手に頼っている部品搬送やネジ締めなどの工程を、AGVやロボットで置き換えができないか、構造的な視点で考えています。今後日本では労働人口が減っていくので避けて通れない分野です。海外はまだそれほど自動化が切迫していませんが、日本で得た知見を順に展開していくことで貢献できる余地は大きいと思っています。
――インド工場立ち上げの状況と、海外向け製品開発の特徴を教えてください。
相羽様:インドは2025年10月に量産が始まった新拠点で、現在は立ち上げ段階です。システムや生産設備、人材育成など課題は多く、設計自動化も含めてこれからが重要なフェーズです。
品質要求は日本と変わりませんが、言語や文化の違いは大きいですね。図面情報が多すぎても少なすぎても現地で対応できない場合があるため調整が必要ですし、働き方や時差、距離がある分、要件を明確に伝えることが重要だと感じています。
横田様:インドでは「三菱電機の製品は壊れない」というイメージがあり、エアコンは中間層から富裕層に多く普及しているようです。品質を強みにしつつ、過剰品質でコストが上がらないようバランスを取ることが重要ですね。
03. 完成品を見据えて積み上げていく、設計のプロセスとやりがい

――ルームエアコンだと霧ヶ峰をCMでよく見かけます。どのような機能の強みがありますか?
横田様:最大の強みはセンサーです。1つのセンサーで部屋を何千という区画に分けて、人やペットの位置、姿勢を捉えながら快適な風を届けます。最近では人のバイタル情報を取得できる「エモコテックセンサー」なども搭載され、快適性をユーザー目線で突き詰めている点が特徴ですね。
――相羽様ご自身は設計者として、どこにこだわっていますか?
相羽様:壊れにくさに加えて、据付けのしやすさを重視しています。例えばマンションなど同一機種を大量に取り付ける現場では、1台あたり数分の短縮が全体効率に大きく影響します。配管を曲げても壊れにくい構造にして、引っ越し時に持っていけるようにするなど、長く使ってもらう視点も意識しています。
――筐体設計で、ほかに意識されている点はありますか?
相羽様:使いやすさ、掃除のしやすさですね。設計に関わっていない方にも触ってもらい、フィルターの脱着性や羽根の開閉しやすさを確認します。また、ユーザー検証では新機種の他に、他社機や過去モデルも並べて意見をもらうことがあり、その声を設計に反映しています。
――御社ならではの設計思想はありますか?
相羽様:私たちは組み立てる人の安全も考えて、角が出にくい金型設計や、丸みを持たせる形状にこだわっています。
また、最近はリサイクルの意識も高まっているため、外しやすい構造やネジ削減などの工夫をしています。回収・再資源化まで含めて、製品のライフサイクル全体で考えるべき時代になってきたと感じています。
――開発中の試作から店頭に並ぶ完成品まで、実際に「カタチになったもの」を見る場面は多いですか?
相羽様:はい。試作の節目ごとに作業性確認や外観に違和感がないか、想定通りの性能が発揮されるかを確認します。実物を評価しながら、更に完成度を高めていくイメージですね。海外拠点でも試作段階で日本に送り現物を確認、製品評価をするので、完成品に触れる機会はかなり多いですね。
横田様:BtoB領域から転職してきた方の中には、「自分が関わった製品を家庭や量販店で目にできることにやりがいを感じる」と話す方も多いです。
相羽様:実際、店頭で見ることもありますし、私も自分が設計した機種を自宅で使っています。息子に「これパパが作ったんだよ」と言ったら、「パパのエアコン」と言ってくれて、嬉しかったですね。
――三菱電機と同じフロアで設計されている中で、どのように役割分担されていますか?
横田様:ルームエアコンの設計に関しては、三菱電機が仕様やスペック、気流、熱交換効率などの機能的な設計を担当します。当社はその要求を受けて「どう形にするか」を具体化する役割です。理想を実際の構造・形状に落とし込むのが仕事ですね。
相羽様:仕様に加え、三菱電機のデザイン研究所から外観面の要件も入ります。機能とデザイン双方の要求を調整し、製品の形にまとめていくのが私達の役割です。
横田様:デザイン要件を、製造工程や金型条件まで踏まえて成立する形に落とし込みます。また、要求を実現するための複数の手段の中からコストや調達面なども考慮して最適な手段を選択し、提案も行っています。
――三菱電機とのコミュニケーションはどれくらい取っているのですか?
相羽様:ほぼ毎日やり取りしています。どちらか一方だけでは進まないため、三菱電機側から実現性を相談されることもあれば、こちらから構造面の条件を踏まえた提案をすることもあります。


静岡事業所が手掛ける家庭用エアコン
04. 学びやすく話しやすい、静岡事業所の魅力

――組織規模や体制についてお聞かせください。
横田様:ルームエアコン技術部全体で約150名です。ルームエアコン技術一課は約40名おり、主査、グループリーダーのほか、担当メンバーで構成された5~15名程度のチームで働いています。
――グループリーダーとして、意識していることはありますか?
相羽様:「分からなかったら聞く」は前提で、理論的に説明してもらうよう意識しています。「自分でこう考えて、こうしました。どうですか?」という聞き方を促すなど、考える力が身につく環境づくりをしています。
――三菱電機エンジニアリングの魅力や文化を教えてください。
相羽様:研修やOJTが整っている点が魅力ですね。ルームエアコンの知識は入社後にしっかり身につけられますし、自分が伸ばしたい分野は伸ばしていけます。そして異業種で培った知識や技術を活かすこともできます。中途・新卒の垣根がないのは良い文化だと思います。
横田様:年齢もバックグラウンドも幅広いので、キャリア入社の方でも気兼ねなく働ける環境ですね。
――職場の雰囲気はいかがですか?
相羽様:とても良いです。新しい建屋で、1000人くらいがいる広いフロアで働いていますが、三菱電機のチームも近く、すぐ声を掛けられる距離感ですね。試作場や製造ラインも所内の非常に近い場所にあり、現場・現物を確認しながら進められます。静かに黙々というより、活気がありコミュニケーションを取りながら進められる雰囲気ですね。
――前職も踏まえて、入社して「ここが良かった」と感じる点はありますか?
相羽様:相談できる人が多いことです。前職は頼れる先輩が少なく、一人で抱え込んで調べる場面が多かったのですが、今は有識者に相談して進められるため、業務のスピードが上がりました。雑談もしやすく、他人行儀ではないところが好きですね。
横田様:業務外の会話にも有益な情報が隠れていることが多いので、雑談はむしろ推奨しています。人が話をしているのを聞くだけでも学びがある、それがこの職場の良さだと思います。
――組織を引っ張る立場として、コミュニケーションを大事にしている理由はどういったところにありますか?
横田様:日頃からコミュニケーションが無い環境だと問題が起きても話せなくなるからです。その人がどのレベルで理解し、どう行動するか分かっていないと急には話がしづらいですし、不測の事態が起こったときは尚更だと思います。また職場は長い時間を過ごす場所でもあるので、1日の中で少しでも会話が生まれるように、こちらから声をかけるようにしています。
――自身の成長を実感したエピソードや、それを後押ししてくれた環境について教えてください。
相羽様:コロナ禍で、業務用エアコンのヘルスエア搭載の新製品開発を任せてもらったときですね。当時は樹脂の構造設計の経験しかなかったですが、電気部品や板金、電気集塵機など、未知の領域に踏み込んだことです。手探りでしたが、有識者に聞きながら進めたことで知識の幅が一気に広がりました。
横田様:三菱電機エンジニアリングは全国31か所に事業所があり、そこに様々な知見を持った人が居ます。「詳しい人がいる」と情報が入れば拠点の垣根を越えてコンタクトを取り、相談することもありますね。
――新しい開発テーマが立ち上がった際など、定期的な情報共有の場は設けられているのですか?
横田様:はい、定例的に実施しています。例えば新機種開発が決まったら週次以上の頻度でミーティングを実施することもありますし、今はオンラインで国内外とも簡単につながるので、相談や進捗確認は席が隣にある感じで行っていますね。
05. 個々の事情を尊重しながら、学ぶ姿勢を支える風土
――フレックスタイム制や休日など、ワークライフバランスを支える制度はどのように活用されていますか?
相羽様:とても恩恵を受けています。子どもが3人いるので体調を崩す時期が重なることもありますが、共働きで親をすぐ頼れない中、柔軟に対応できる環境は大きいですね。緊急時にも在宅勤務に切り替えやすい体制で、有給休暇も取りやすく、出社時間の調整も認めてもらえるので助かっていますね。
――研修体制について教えてください。
相羽様:非常に充実しています。キャリア入社・新卒入社の区別なく受講でき、この1年間も、本当にたくさん研修を受けました。キャリア入社の方でも学ぶ機会が多い環境だと思います。
実務はOJTが基本で1〜3人の指導役が付いて、分からないことを教えていく形です。業務はチームで動くので、その中でも教わりますし後輩に教えていく場合もあります。
――研修は決まったプログラムと自主学習の両方があるのですか?
相羽様:両方あります。三菱電機の研修でエアコンの基礎を学んだうえで、当社では「静岡事業所で何を作っていて、製品の中身がどうなっているか」といった実務に近い内容を学びます。社内には対面実施の樹脂部品や板金部品などの技術講座がありますし、他にもレベルや都合の良い時間で実施できるeラーニング講座で学ぶこともできます。意欲があれば自分から積極的に学べる環境だと思います。
――英語が必要な場面を教えてください。
相羽様:最近はインド拠点とオンラインで打ち合わせすることもあり、通訳がいないときは英語で説明するときもあります。メールや仕様書は英語がほとんどで、読み書きができると仕事がスムーズですね。会話もできればさらに良いです。
横田様:英語を学ぶ環境としてeラーニングの英語講座を準備しています。また、35歳以下の社員は必須でTOEICを受けることになっています。
――実際に海外拠点に行くこともあるのですか?
横田様:量産立ち上げの際などに1~2週間程度の出張がありますね。また、稀ではありますが3年程度駐在に行く方もいます。各拠点には通訳がいるので困りませんが英語でやり取りできる方がよりスムーズですね。
06. 主体性を持って考え、形にしていける人が活躍できる環境

――求めるスキルやお人柄をお聞かせください。
横田様:明るく、コミュニケーション大切にしている方がいいですね。知識については、最初はゼロでも構わないので、柔軟に動けて学び続ける意欲がある方に来ていただきたいです。そうした方であれば、入社後こちらが責任を持って育てます。
今後は海外拠点との関わりは更に増加すると思われるので、英語が得意、または学ぶ意欲があると活躍の場が広がると思います。
――今後のキャリアで目指している方向性をお聞かせください。
相羽様:知識を吸収し続けて、提案の質を上げたり後輩への教育に活かしたりしていきたいです。視点が増えれば効率も上がると考えているので、短い時間で最大のアウトプットを出して、きちんと終わらせて帰る働き方を目指しています。「幅広い知識」と「業務を効率よく回せる力」を身につけていきたいですね。
――静岡事業所という環境だからこそ経験できる、ものづくりの醍醐味について教えてください。
横田様:先述の通り、ルームエアコン領域では筐体設計をほぼすべて当社に任せていただいており、当事業所では主体性を持って仕事ができます。自分の裁量で考えを作り込み、形にしたものを見られる点が静岡事業所ならではの魅力だと思います。
――最後に、応募を検討されている方へのメッセージをお願いいたします。
相羽様:当社で使う知識は研修とOJTで身につけられるので、エアコンの知識がないことを不安に感じる必要は一切ありません。むしろ異業種での経験は中途入社ならではの貴重な武器なので、自信を持って入社してほしいです。コミュニケーションを大切にしていて、自分から学びに向かう姿勢を持つ方にぜひ来てほしいですね。
横田様:当社には「5ゲン主義」を大事にする文化があります。現場・現物で調べて、現実に目を向け、原理・原則に基づいて対策を導き出す、というのを主眼に置いているので、それらに沿って考えられる方は力をより発揮できると思います。横のつながりも強く、国内外に活躍の場が拡がっており「積極的に挑戦したい」「自分が手がけた製品を世に送り出したい」という方にぜひ来ていただきたいです。