「防衛技術で人と社会を護る」──古野電気 航空・防衛事業部 開発の現場とは

「防衛技術で人と社会を護る」──古野電気 航空・防衛事業部 開発の現場とは
左から
株式会社タイズ 担当コンサルタント 西村 雪乃
古野電気株式会社 航空・防衛事業部 開発部 部長 兼 製造課長 兼 情報技術課長 唐木 繁様
古野電気株式会社 理事 航空・防衛事業部 事業部長 宮﨑 健志様
古野電気株式会社 航空・防衛事業部 開発部開発1課 課長 五百藏 淳様
株式会社タイズ 担当コンサルタント 中本 鋼希

古野電気は世界で初めて魚群探知機の実用化に成功した企業で、センシング・情報処理・情報通信という3つのコア技術に、事業で培った知識・スキル・ノウハウを統合することで社会の役に立つソリューションを提供しています。

世界トップシェア製品の舶用レーダーをはじめとする舶用機器事業、医療機器やGPS(GNSS)、ITS機器を扱う産業用事業、そして防衛省向けの装備を担う航空・防衛事業を手がけています。

航空・防衛事業は、もともと強みとして持っていた船舶用の測深・超音波技術などのコア技術を応用し、航空機用機器へと展開したのが始まりでした。
現在、航空・防衛事業部では、防衛省・自衛隊向けの航空機や艦船に搭載される電子機器を幅広く開発しています。

今回は航空・防衛事業部のお三方に、防衛分野ならではの開発プロセスややりがい、求める人物像についてお話を伺いました。

01. 三者三様のキャリアが支える航空・防衛事業部

三者三様のキャリアが支える航空・防衛事業部

――まずは、皆様のご経歴をお聞かせください。

宮﨑様:1990年に古野電気へ入社し、長崎支店の営業として漁船やプレジャーボート向けの舶用機器販売からキャリアをスタートしました。その後、分社化でフルノ西日本販売株式会社に異動、その後に異動した国内営業部では営業開発課に所属し、主に全国のマーケティングを担当しました。

東北支店長として東北6県を管轄したのち、フルノ九州販売株式会社では九州・沖縄・西中国エリア10拠点の統括部長、続いて代表取締役社長も務めました。漁業市場が右肩下がりの中で、官公庁市場や養殖市場、商社的手法など、新しい領域で成長戦略に挑戦してきた経験は、今の官公庁・防衛分野にもつながっていると感じています。

2023年からは航空・防衛事業部に移り、現在は理事・事業部長として、事業部全体の運営と組織づくりを担っています。

唐木様:1989年に入社し、最初はハンディターミナルと、それと通信するアクセスポイントの設計開発を担当していました。2013年に航空・防衛事業部へ異動し、2014年に開発課長、2017年に開発部長となり現在に至ります。開発部は設計・開発だけでなく生産や修理までを担う組織で、私は組織運営や工程予算の管理、人財募集などを統括しています。

五百藏様:私は2000年に古野電気へ入社し、官公庁システム事業部で航空機搭載機器の開発に携わりました。2006年に舶用機器事業部で無線機の開発を担当した後、2010年に航空・防衛事業部へ異動し、航空機全般の開発に従事しました。2023年に開発課長となり、現在は航空機搭載機器および艦船向け機器の開発を取りまとめています。

02. “一から設計できる”技術力と実績、信頼関係で選ばれる古野電気の航空・防衛開発

“一から設計できる”技術力と実績、信頼関係で選ばれる古野電気の航空・防衛開発

――航空・防衛事業部で手がけている製品について教えてください。

唐木様:防衛省・自衛隊様向けの電子機器を幅広く開発しています。分野は航空機から艦船まで多岐にわたります。比率としては、海上自衛隊様向けが6割、航空自衛隊様向けが3割、陸上自衛隊様向けが1割ほどです。
航空機向けではコックピットに搭載される装置や後方に積まれる電子機器、艦船向けでは艦橋に設置される海図表示機器や水中音響(ソナー)などを開発・製造しています。

――航空・防衛事業部ならではの製品の特徴や強みについて教えてください。

唐木様:もともとソナーの分野は、古野電気としての大きな強みです。民需とは異なるスペックが求められる領域において、一から設計できる技術力こそが、当社の最大の強みだと考えています。
防衛向けの機器は、極端な高温・低温や激しい揺れ・衝撃といった、より過酷な環境で使われることが前提になります。そうした耐環境性に加えて、性能面でも民生品より一段階高いレベルの精度が求められますね。

――近年の防衛予算拡大やニーズの高まりで、事業部として変化はありましたか?

唐木様:防衛向けのビジネスは大量生産するタイプではありませんでしたが、近年は要求される生産数量が増加したり開発スケジュールが前倒しになったりする変化があります。

宮﨑様:受注量の増加に合わせて、事業部としても体制強化を継続して進めているところです。人員の増員に加えて生産拠点・開発拠点のスペース確保を行っています。

――御社の航空・防衛事業部が選ばれている理由は何でしょうか?

唐木様:一つは専門性の高さです。商船向けブリッジで高いシェアがあり、衛星測位システム(GNSS)やソナーにも長年取り組んできました。これらの分野に対応できる技術力が強みだと思います。
もう一つは、お客様や関連企業の皆様と、長年かけて築いてきた実績と信頼関係です。

宮﨑様:もともとの技術を活かして新しい分野に一緒に取り組まないかとお声がけいただけるのも、信頼関係あってこそだと思います。「古野さんならできる」と思っていただけているのが嬉しいですね。

――「新しい分野」とは具体的にどのような領域でしょうか?

宮﨑様:まったくゼロからの新規事業というより、今の事業から広がる周辺分野です。
例えば、これまで艦船向けに使っていたソナー技術について「無人の水中ドローンを作りたいので、そのソナーに対応できますか?」といったご相談をいただくようなイメージですね。
お声がけいただいた以上できるだけ応えたいですが、無理はせず、“背伸びすれば届く範囲”にきちんと取り組むようにしています。

03. フィージビリティから量産移管まで──防衛装備が形になる開発プロセスの全体像

フィージビリティから量産移管まで──防衛装備が形になる開発プロセスの全体像

――開発の流れを教えてください。

五百藏様:シンプルな表現になりますが、まずは防衛産業の関連団体の場に各メーカーが集まり、技術を持ち寄って「防衛省のニーズにどう応えるか」「何年あれば実現できるか」「この機能はどう実現するか」といった議論を重ねます。いわゆるフィジビリティスタディのようなフェーズですね。

その結果として、各社が「自社ならここまでできます」という報告書を提出し、それをもとに防衛省側が「最終的にどういう装備を作るのか」を言語化します。その後、正式な入札・契約を経て、社内での本格的な開発がスタートします。

開発は、開発リーダー・電気・機構・ソフトの4名を基本としたチームで、V字モデルに沿って仕様検討・設計・検証・評価を行い、製品化して製造部門へバトンを渡します。開発期間はおおよそ2年ですが、航空機向けのようにシステムとしての検証や部隊での運用フォローが必要なものは、その後4〜5年かけてフォローし、トータルでは5〜6年に及ぶ長期プロジェクトになることもあります。

長い年月をかけてユーザーの方の希望とすり合わせながら開発していくからこそ、リリース時に感謝の言葉をいただけると嬉しいですし、やりがいを感じます。

――社内の他部署との連携について、開発側が携わる範囲を教えてください。

五百藏様:開発は、本当に最初から最後まで関わります。
実際に手を動かすのは各専門部署ですが、どの部品・材料を使うかを決めて発注し、どう作るか・どう検査するかという方針も開発側が決めて各部署に伝えます。
そのうえで、上がってきたアウトプットを確認するところまで担当しますので、“製品の流れを最初から最後まで見届ける立場”と言えると思います。

――航空・防衛事業部で身につくスキルや歩むキャリアを教えてください。

五百藏様:ここでは、かなり幅広いキャリアパスが描けます。大きく分けると「全体をまとめるマネージャータイプ」と「技術を突き詰めるスペシャリストタイプ」の2パターンですね。

マネージャー志向の方には「開発リーダー」というポジションがあり、製品開発全体を見ながらマネジメントスキルを身につけていくことが可能です。

一方、技術を深めたい方にはスペシャリストの道があります。例えばGNSSなら、「どう信号処理すれば、より速く・高精度に位置を出せるか」といったアルゴリズムをとことん追求し、その成果が特許になった例もあります。

中途入社の方は、これまでの経験を活かして専門性を高める道に進むことが多く、新卒や若手は希望に応じてどちらの方向にも進めます。全体としてはスペシャリスト志向がやや多いので、むしろジェネラリストやマネージャー志向の方が活躍できる余地は大きいと感じています。

04. 技術もマネジメントも──プロジェクトを最初から最後までやり切るリーダー像

技術もマネジメントも──プロジェクトを最初から最後までやり切るリーダー像

――組織の構成についてお聞かせください。

唐木様:事業部の中には、営業・管理・開発の3部門があり、事業部長の下に各部の部長、その下に課長が8名います。役職者は40〜60代が中心です。
開発部は「開発1課」「開発2課」に分かれ、その中に航空機向け、艦船向け、ソナー、GNSSの4グループがあり、各グループをグループ長が統括している形です。

――エンジニアは案件をどのような流れで担当するのでしょうか?

唐木様:1つの製品とは4〜5年単位で付き合いますが、設計期間自体はそこまで長くありません。エンジニアは「A機種が終わったらB、次はC」という形で、グループ内の案件を順番に担当していきます。

――中途採用の中で、特に中核を担っていただくことを期待している層を教えてください。

宮﨑様:現在、特に30~40代の豊富な経験をお持ちの方々に、ご入社いただきたいと考えております。
全社的に見ますと、55歳以上のベテランの方が多い一方で、30~50代前半の中堅層が少なく、組織構成が薄くなっています。今後、事業の継続的な発展を見据え、バランスの良い年齢構成にしていく必要がありますね。

――組織としての課題と今後の展望について教えてください。

唐木様:事業規模の拡大に伴い、事業部全体で、直近数年は年間20名ペースで人員が増えており、リーダー1人あたりの管理範囲や関わる案件が広がってきています。今後は部門や課の数を増やしてマネジメント層も厚くし、より細やかにマネジメントできる体制へ再編していきたいと考えています。

――中途の方に、どのようなリーダー像を期待されますか?

宮﨑様:当社は技術を突き詰めるスペシャリスト志向の方が多く、プロジェクトをまとめるマネージャータイプの方が足りていません。
1つのプロジェクトに最初から最後まで関わって完成させたときの達成感は非常に大きいです。マネージャーに挑戦したい方にもぜひ来ていただきたいですね。

――マネジメント志向の方の育成やサポート体制について教えてください。

宮﨑様:入社後はまず、ご自身の専門分野のエンジニアとしてプロジェクトメンバーに入り、OJTで全体の流れや防衛特有の開発プロセスを学んでいただきます。
そのうえで、タイミングを見てプロジェクトリーダーを任せ、実務の中でマネジメントを身につけていくイメージです。

会社全体としては共通の教育制度が整っており、役職が上がるごとにリーダーとして必要な考え方を学ぶ研修を段階的に受講できます。

――リーダーになるまでの期間はどれくらいでしょうか?

五百藏様:個人差はありますが、例えば中途入社した40代の方は、3〜4年でサブリーダー、その2年後にリーダーとなり、今は幹部としてグループ長を務めています。
30代でソフトウェアエンジニアとして入社した方も、複数プロジェクトを経験したのち、主任として活躍しています。

05. “さん付け”文化で距離が近い、フラットな開発組織の雰囲気

古野電気株式会社の若手社員の皆様古野電気株式会社の若手社員の皆様2

若手社員の皆様

――職場の雰囲気について教えてください。

宮﨑様:防衛と聞くと「縦社会で厳しそう」というイメージがあるかもしれませんが、開発部は技術系ということもあって、かなりフラットです。当社全体として役職名ではなく“さん付け”で呼び合う文化があり、距離感も近いですね。困ったことがあれば、気負わず相談できる雰囲気です。

五百藏様:防衛分野ですので、安全に関わる部分は日々しっかり議論します。一方で、技術的なテーマについては他事業部とも横でつながっており、行き詰まったら事業部をまたいで相談することも多いですね。
開発は予定通りに進まないことも少なくないため、「一人で抱え込まず、グループや課で持ち寄って解決する」というスタイルが根付いています。

唐木様:テーマとしては航空機・艦船・ソナー・GNSSの4グループに分かれていますが、技術分野としては電気・機械・ソフトという専門ごとに仲間がいるので、グループを越えて気軽に相談し合える環境です。
ソナーやGNSSなど分野別の社内委員会もあり、当社全体で技術ディスカッションができる場があるのも特徴ですね。

――若手でも意見は言いやすいですか?

五百藏様:はい、年齢に関係なくフラットに意見を出せる文化です。技術的な悩みはもちろん、働き方の改善提案も遠慮なく言える雰囲気だと思います。

――防衛産業全体が忙しくなっている中で、平均残業時間が20時間前後に収まっている工夫を教えてください。

五百藏様:国に関わる仕事なので、プロジェクトは年単位で決まっています。期初に年間の開発スケジュールを作り担当をアサインすることで、忙しい時期と余裕のある時期の見通しを立てることができます。
働き方も、在宅勤務とフレックスタイム制を組み合わせたハイブリッド型を採用。メリハリをつけやすいようにしています。その結果、波はあっても、年間平均では月20時間前後の残業に収まっている状況です。

唐木様:3年先くらいまでの予定がある程度見えているので、無理な計画を立てないことも残業時間の抑制につながっていると思います。

――実際に航空機や艦船を見る機会はありますか?

唐木様:「防衛産業エンジニア向けの部隊研修」に参加できる機会があります。航空機や艦船を間近で見学したり部隊の方と意見交換をしたり、とても貴重な場です。自分が携わった製品を目にすると本当にやりがいを感じますね。

――防衛分野への関心が強い方が多いのでしょうか?

五百藏様:「防衛だから」「自衛隊や航空機が好き」という方もいますが、少数派です。多くは「ものづくりや設計がしたい」「高い技術レベルの製品に関わりたい」というエンジニア志向の方で、結果としてそのフィールドが防衛だった、というイメージに近いですね。

“さん付け”文化で距離が近い、フラットな開発組織の雰囲気

06. 「防衛技術で人と社会を護る」使命に向き合い、技術と志で一緒に挑戦してくれる方へ

「防衛技術で人と社会を護る」使命に向き合い、技術と志で一緒に挑戦してくれる方へ

古野電気株式会社Communication Bridge(展示スペース)「防衛技術で人と社会を護る」使命に向き合い、技術と志で一緒に挑戦してくれる方へ

Communication Bridge(展示スペース)

――中途で入社される方に求めるスキルや経験をお聞かせください。

五百藏様:ベースとしては、電子機器の設計やソフトウェア開発などのコアスキルをお持ちの方がマッチしやすいと思います。航空機・艦船・ソナー・GNSSといった分野に近いご経験があれば、よりスムーズですね。そのうえで、入社後にスペシャリスト寄りかジェネラリスト寄りか、ご自身の志向に合わせてキャリアを選んでいただけます。

唐木様:開発は社内外の関係者と一緒に進める仕事なので、コミュニケーションを取りながら進められる方が向いていると思います。

――活躍する方に共通する志向性はありますか?

唐木様:一番の共通点は、「新しい技術を取り入れて、自分の専門性を高めていきたい」という前向きさです。新しいデバイスを試したり、精度を上げる工夫を続けたりと、探求心の強い方は、自然と活躍の場が広がっている印象があります。
また、回路設計や信号処理、GNSSの計測など、“好き”な分野をとことん突き詰めるタイプのエンジニアも、防衛という大きなステージで力を発揮しています。

五百藏様:大きな方針は上長と相談して決めますが、細かい進め方は任されることが多いです。必要に応じて軌道修正はしますが、自分で計画を立てて、自律的に動ける方が活躍しやすいですね。

――どんな価値観のエンジニアが合っていますか?

五百藏様:人口減少など10年先の社会を見据えて、今ある技術だけにとらわれず、新しい技術も柔軟に取り入れていける方ですね。防衛は「将来も役に立つ装備とは何か」を考える必要があるので、主体的に学び、工夫しながら技術を磨きたい方にはぴったりだと思います。

――防衛未経験でもキャッチアップできるでしょうか?

唐木様:できます。中途社員のほとんどは、防衛以外のメーカーで開発をしていた方々です。防衛特有のルールやプロセスはありますが、周りがきちんとサポートしますので、経験がなくても十分活躍できます。

――最後に、応募を検討されている方へメッセージをお願いいたします。

宮﨑様:古野電気の経営理念の一つ目には、「会社存立の原点は社会の役に立つことである」とあります。私はこれを、社会課題の解決に貢献することだと捉えています。
航空・防衛事業部のパーパスは「防衛技術で人と社会を護る」。国防に関わる、とても重要でやりがいの大きい仕事です。ぜひ一緒に取り組んでいきましょう。

唐木様:私たちが設計・開発・生産している製品は、最終的に自衛隊の装備品の一部として使われます。一部ではありますが、それがないと装備として成り立たない、重要なパーツです。国民の安心・安全に直結する責任ある仕事ですので、ぜひ一緒に挑戦してほしいですね。

五百藏様:「国を護る」という大きな目的に関わる分、求められる責任感は決して小さくありません。ただ、開発はチームで協力して進めるスタイルですし、スキルアップできる環境も整っています。志を持って一緒にチャレンジしてくださる方に、ぜひ来ていただきたいと思います。

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この記事を書いた人

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西村 雪乃

株式会社タイズ

  • 関西メーカーへの高い合格率に自信あり。メーカーへの深い知見、太いパイプを活かした転職のご支援をさせていただきます
  • 「勤務地・給与」といった条件だけではなく「働きごこち・忙しさ・社風」など転職の軸を丁寧にヒアリングさせていただきます。
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