専門家が集う現場から生まれる技術力――豊田自動織機 コンプレッサ事業の競争力の源泉

専門家が集う現場から生まれる技術力――豊田自動織機 コンプレッサ事業の競争力の源泉
株式会社豊田自動織機 コンプレッサ事業部 技術部 宮野俊行様

株式会社豊田自動織機は、1926年創立の「トヨタグループの源流」となる企業です。繊維機械からスタートし、現在ではフォークリフトや自動車部品、繊維機械など幅広い分野で事業を展開。特にフォークリフト、カーエアコン用コンプレッサ、エアジェット織機は世界トップシェアを誇ります。売上高は約4兆円、従業員数は7万人以上のグローバル企業として、世界各国の産業と暮らしを支えています。「発明と挑戦」のDNAを受け継ぎながら、環境配慮や自動化といった新しい時代のニーズに応える技術開発を続けています。

コンプレッサ事業部では、コンプレッサの設計から製造までを一貫して行い、カーエアコン用コンプレッサが主力製品です。近年は電動車の普及により電動コンプレッサに求められる機能が多様化しており、バッテリーなどを冷却する熱マネジメントの重要性が高まっています。
今回はコンプレッサ事業部 技術部の宮野様に、コンプレッサ事業の概要や今後の開発方向性、挑戦を歓迎する事業部の風土ややりがいについて、お話を伺いました。

01. 豊田自動織機を選んだ理由|安定感と挑戦できる環境

――まずは宮野様のご経歴についてお伺いします。

私は2005年に新卒で豊田自動織機に入社し、今年で勤続20年目になります。入社時はメカ系エンジニアとしてキャリアをスタートし、最初の約10年間はベルトコンプレッサ、つまりモーター駆動ではなくエンジンで駆動するタイプのコンプレッサの設計・開発を担当していました。

その後、海外トレーニー制度を利用して約1年間アメリカに赴任し、現地のお客様と直接交渉しながら製品の仕様を決めていく役割を担いました。帰国後は約5年間、「音」の専門家として騒音・振動に関わる開発チームを率い、その経験を経てマネジメント側へとキャリアの軸足を移しました。現在は、経営層の方針と開発現場の取り組みをつなぐハブとして、組織全体を見渡しながらプロジェクトを推進する役割を担っています。

――入社を決めた理由を教えてください。

当時は正直豊田自動織機についてほとんど知らなかったです。自動車部品の市場に対する安心感が大きく、生活が安定しそうだという印象を持っていましたね。
また、豊田自動織機のコンプレッサなら製品のサイズ感がコンパクトなので、開発から生産まで携われて製品全体を見渡せる点が、やりがいにつながるように思っていました。

会社訪問ではやりたいことを突っ走っても受け入れてもらえる雰囲気を感じました。いい意味で「パリッとしている」風土ではなく、私もその空気に惹かれて入社しました。飾らずにいられそうだという期待が一番大きかったです。

入社してからもその雰囲気は変わらず、好きなことをさせてもらえていると感じています。

――就職活動中の軸として、チャレンジしたいという気持ちはもともとあったのですか?

性格的にもそうですね。部署全体としても挑戦志向の人が多いです。萎縮する雰囲気がないので「これをやったら怒られるかな」「失敗したらどうしよう」と考えることがまずない。止められることもありますが、発信する怖さはほとんどありません。

02. 年間3,000万台規模──圧倒的シェアを生むコンプレッサ事業とは

年間3,000万台規模──圧倒的シェアを生むコンプレッサ事業とは

――コンプレッサ事業の概要について教えてください。

我々のコンプレッサはエアコンに使われる製品で、重要性がどんどん高まっています。車室内やバッテリーの冷却や暖房などの用途ですね。
事業としては、コンプレッサの設計から製造までを社内で一貫して行っています。

――御社のコンプレッサ事業の競合優位性や強みは何でしょうか?

当社の強みは、ほとんどの自動車メーカーと取引がある点です。市場全体のニーズを的確に把握できるうえ台数規模も大きく、全メーカー合計で3,000万台規模にのぼります。そのため部品を顧客ごとにカスタム対応でき、費用対効果の高いものを提案することが可能です。「シェアがあること」が当社の最大の強みですね。

――その上での差別化ポイントを教えてください。

自動車のような大規模製品では難しいとされることも、当社では可能です。当社では製品全体を俯瞰し、個々の部品や職種の個別最適化にとどまらず、製品全体視点での最適化を実現します。これを支えるのは、各分野の専門家が同じフロアにいて即断即決で動ける体制であり、当社の競争力の源泉です。

――即断即決で動ける体制について、具体的なエピソードはありますか?

以前、コンプレッサ音低減の相談があり、音の解析を担当していた私は原因がモーターにあると特定しました。モーターとCAEの専門家が詳細に分析した結果「モーター支持部の形状を変えれば改善するはず」という結論に至りました。

その場で設計担当者に声をかけ、形状変更を相談。製造面での制約や加工の影響を即座に検証できたため、1時間足らずで大枠の開発案がまとまりました。スピード感ある最適化を実現できたという当社の強みの好例です。

――これまでの開発で挑戦的だったテーマを教えてください。

我々は世界一のシェアを持ち、優れた専門家を揃えているという自負はあります。しかし、コンプレッサという技術は非常に奥深く、まだ完全に理解できているわけではありません。感覚的には、100点満点のうち、まだ40〜50点しか把握できていない状態です。なぜこれほど効率が良いのか、なぜこういう音が出るのか──そういった点は完全には解明されていません。

そこで“40〜50点”を引き上げるため、理解を深める取り組みを約3年間行いました。従来の定説をいったん取り払い、ゼロベースで原因を突き詰めて積み上げるというチャレンジです。資金や人員、設備投資が必要であるため、限られた環境でしかできない仕事であり、私にとって刺激的で大変やりがいがありました。

――御社のコンプレッサについて技術的な面白さや革新を教えてください。

昔はエンジンが回っていて、エンジンに引っ張られて様々な部品が動いていました。ところがエンジンがモーターに置き換わると、中で実際に動いている部品は数えるくらいになってきます。そうなると、“動く部品”の性能や制御が、車全体の良さに直結してくるんです。
だからこれからの戦いは、コンプレッサの動きや制御をいかにして車の価値に変えるか、ということだと思っています。

――自動車メーカー各社から寄せられる要求にはどのような難しさややりがいがありますか?

自動車メーカーごとに考え方や優先順位が異なるため、意見が分かれる場面は少なくありません。たとえば環境規制で使えない物質が出てくると、どう対応すべきかという点で各社の対応が割れます。

一方で、私たちはコンプレッサメーカーとして、市場全体の動きを俯瞰しながら「今後主流になっていく方向性」をある程度予測することができます。その見立てに基づいて新しい製品を提案すると、中には「自社の考え方とは違う」と受け止められ、最初は反発されることもあります。

お客様の要望にただ従うのではなく、「なぜこの方向性が市場全体や将来の環境規制を見据えると望ましいのか」を丁寧に説明し、納得して採用いただくまで粘り強く提案する。ここに難しさもありますが、一番おもしろく、やりがいを感じる部分でもあります。

単に市場の流れに追随するのではなく、「市場をどうつくっていくか」という視点でお客様と議論しながら進めていけるのが、この仕事の大きな魅力だと感じています。

――現場で最先端の知見に触れる瞬間や、その経験が得られる背景を教えてください。

我々のお客様は自動車メーカーの専門家で、既に非常に高度な領域にいます。ただ、コンプレッサの「どこからどう音が出ているか」を映像で可視化する装置や、圧力容器の内部を直接観察する技術はほとんどありません。先方が高い水準にある以上、我々もコンプレッサに関する知識に加え、各技術領域の最先端の知見を持っておく必要があります。学会や発表会で情報を収集するだけでなく、トヨタグループ内の研究成果も取り入れて知見を蓄えています。

また、コンプレッサは主要部品であるため、最先端プロジェクトに関わることができます。製品側と車両側、両方の最先端に接することで「車がこれからどう変わるか」を先取りでき、結果として製品技術と車両技術の両輪で最先端に関わり続けられると感じています。

――コンプレッサとして今後注力していきたい技術テーマについて教えてください。

当社はハードを扱っているので、原理原則の深掘りが不可欠だと考えています。材料技術や流体力学といった領域はまだ解明できていないことが多く、今分かっているのは“40点”に過ぎません。残りの60点を徹底的に掘り下げて更に「これが最適だ」と自信を持てる製品にできるようにしていきたいです。

03. ロジックよりスピードを優先――「まずやってみる」組織風土

ロジックよりスピードを優先――「まずやってみる」組織風土

――コンプレッサ事業部ならではの特徴を教えてください。

堅苦しくなくて、いい意味で“適当”です。ロジックに時間をかけるよりもスピード感をもって進めていく人が揃っています。

もともとコンプレッサ事業はごく小さな事業だったのですが、スピード感をもって挑戦的な製品開発を続けたことで、事業を拡大してきました。そうした文化が脈々と受け継がれて、今の風土や空気感になっているのだと思います。

――挑戦する人を支える仕組みや、意識していることはありますか?

当社では「チームでやる」「一人が苦しかったら全員で助ける」という姿勢を徹底しています。しんどい顔をしていると絶対に誰かが話しかけに来てくれて、私自身も、放置された経験は一切ありません。会社としても人をとても大事にする風土で、こうした安心感が挑戦できる環境の土台になっているんだと思います。

――研究設備や開発環境についての特徴はありますか?

建物や設備の規模感が大きく、必要な設備を全て揃えているのが特徴です。一般的には外注するような試験も社内でできるほどです。試験中に気づいたことがあればすぐ専門家を呼んで試すことができるので、その場でアイデアが生まれることもありますね。

――若手にも裁量は与えられるのでしょうか?

はい。私が入社して間もない頃の話ですが、中に小さな部品が入っている製品を担当していました。実験しているうちに「この形状、良くないな」と直感的に思うことがあり、自分で加工して形を変えてみたのです。半分は遊び心でやったことでしたがそのまま採用されて、2年ほどで市場に出せました。

命じられて動く会社ではなくて、やりたいことやより良い形を示せば実現につながっていく、という文化があります。裁量が大きいというよりも、いいものを作れば年次や立場に関係なくどんどん採用される、フラットな環境です。
試行錯誤しながら挑戦していくのを楽しめる、技術者志向の方にはぴったりだと思いますね。

――自動車のコンプレッサ未経験者へのサポート体制や教育体制を教えてください。

いつでも研修を受けられる環境です。コンプレッサ向けの教育資材も充実しており、オンデマンドで録画した講座を見ることもできます。
とはいえ、それ以上に心強いのは「周りに専門家がいる」ことです。分からないことはすぐに聞けて、丁寧に教えてもらえます。

04. 世界市場で正面から勝負する――自ら“ドアを開けにいける”あなたと共に

世界市場で正面から勝負する――自ら“ドアを開けにいける”あなたと共に

――自動車業界以外では、どんな業界からのキャリア入社の方が多いのでしょうか? また、異業界から来られた方は、どんな理由で当社を選ばれたのでしょうか?

家電業界や機械系メーカーからの転職者が多いですね。
志望の決め手は大きく分けて次の3点です。1点目は扱う台数が1桁〜2桁多いという規模感、2点目は試験や研究に十分な予算が回り、開発をどんどん進められること、3点目は製品全体に関われることです。
このような点が、他業界の技術者にとって魅力になっているようです。

――一緒に働きたい方の人物像を教えてください。

何よりも重視しているのは、「躊躇せずに自分でドアを開けにいける人」です。前例にとらわれず道を切り拓ける――そういうキャラクターを一番求めています。
マインド面では責任感と主体性、スキル面ではコミュニケーション力。この3つがそろっている方は、当社で活躍しやすいです。

現在は即戦力採用を重点的に行っているので、家電分野などで圧縮機に関わった経験がある方を歓迎します。ただ、コンプレッサ固有の技術については社内に専門家が多数そろっているので、入社後に育てられる自信があります。

コンプレッサは車の電動化の流れの中で逆に存在感が大きくなるメカ部品の代表格で、“メカメカしいもの”に関わりたい方にとって楽しい製品だと思いますね。

――キャリア入社者のご活躍について、具体的なエピソードを教えてください。

能力と人柄が伴っていれば、入社1年を待たずにリーダーとして、メンバーをマネジメントする立場に抜擢されるケースもあります。5~20名ほどが所属するチームでリーダーが中心となってメンバーを巻き込みながら、テーマの推進や課題解決をリードしていきます。

また、類似製品のご経験をお持ちの方であれば、即戦力の設計担当としてプロジェクトに参画いただくことも多く、入社直後から改善アイデアを次々と提案し、前に進めてくださっている方もいます。

――最後に、応募を検討されている方にメッセージをお願いいたします。

事業環境だけを見れば、今後の海外メーカーの台頭は大きな脅威ですし、自動車業界そのものも大きな転換期を迎えています。私たちにとっても、これまでと同じ戦い方では生き残れない、決して楽な状況ではありません。

だからこそ、世界市場で正面から勝負できる体制をつくっていきたいと考えています。その挑戦の流れに飛び込んで、一緒に戦ってくださる方をお待ちしています!

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タイズマガジン編集部

株式会社タイズ

タイズは、2005年の創業以来、メーカー専門で転職支援を行っている転職エージェントです。15年以上の転職支援実績を元に記事を執筆しております。

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  • 関西メーカー専門転職エージェント総合満足度NO.1(ゼネラルリサーチ調べ)
  • リクルートキャリア主催 GOOD AGENT RANKING ユーザー満足度部門入賞
  • パナソニック株式会社様 ベストエージェント賞 受賞

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