企業インタビュー
[ 株式会社豊田自動織機 ]
物流の課題に挑む、ソリューション提案の現場――豊田自動織機 物流システム部の挑戦

豊田自動織機は、1926年に創業者・豊田佐吉氏が設立した「トヨタ自動車の源流」となる企業です。繊維機械からスタートし、現在ではフォークリフトや自動車部品、繊維機械など幅広い分野で事業を展開。特にフォークリフト、カーエアコン用コンプレッサー、エアジェット織機は世界トップシェアを誇ります。売上高は約4兆円、従業員数は7万人以上とグローバルに成長し、世界各国の産業と暮らしを支えています。「発明と挑戦」のDNAを受け継ぎながら、環境配慮や自動化といった新しい時代のニーズに応える技術開発を続けています。
トヨタL&Fカンパニー物流事業室物流システム部では、お客様に最適な物流システムを提案し、受注につなげることが最大のミッションです。今回は、物流システム第二室の室長 本江 真之様と、第二室の第2グループ長 林 伸匡様に、物流業界の技術営業として働くやりがいや職場環境、働き方についてお話を伺いました。

左から株式会社豊田自動織機 トヨタL&Fカンパニー物流システム部物流システム第二室 室長 本江 真之様
株式会社豊田自動織機 トヨタL&Fカンパニー物流システム部 物流システム第二室 第2グループ長 林 伸匡様
01. 「使う側」から「売る側」へ|物流業界での挑戦
――まずは自己紹介をお願いいたします。
本江様:大学院で機械工学を専攻し、2008年に入社しました。入社後は人事研修・工場実習・技術研修を経て、東京の物流ソリューション部門に配属されました。以来、全国の販売店と一緒にお客様を訪問し「技術営業」を経験。その後は室長としてマネジメントも担ってきました。2023年1月からは高浜工場に異動し、現在は企画管理室と物流システム第二室の室長を兼任しています。
林様:2012年に鉄鋼メーカーへ入社し、約10年間、生産技術を担当しました。生産ラインの生産性向上や品質改善、新設備の導入・改造など、プロセス改善のプロジェクトに幅広く携わり、メーカーと共同で設計から立ち上げ、さらに改善を重ねていく──そんな業務に従事してきました。
その後、2022年5月に豊田自動織機へ転職し、現在はシステム第二室の第2グループ長として勤務しています。
――前職とは業界も仕事の内容も異なる豊田自動織機への転職を選んだ理由をお聞かせください。
林様:物流は人手不足を背景に、自動化のニーズが急速に高まっていると感じていました。一方、前職の鉄鋼メーカーは国内需要の縮小に伴い事業が厳しい局面を迎えていました。そこで、より将来性のある分野に挑戦したいと思ったのがきっかけです。
また、設備に関わる仕事には「使う側」と「売る側」があります。前職で設備メーカーと関わる中で、ノウハウはやはり“売る側”に蓄積されていくことを実感しました。特に物流業界ではその傾向が強く、メーカー側で働くことに魅力を感じ、使う側から売る側へと転身しました。
――もともと生産技術ご出身ですが、技術営業の仕事を選ばれた理由を教えてください。
林様:大きく変わったように見えるかもしれませんが、自分にとっては自然な流れでした。前職でも仕様を検討し、電気・機械・IT関連の担当者と連携しながら設備を立ち上げてきました。今は“売る側”として、使う人の視点に立ち、仕組みを組み立てて提案しています。立場は変わりましたが、これまでの経験がそのまま活きています。
――キャリアを積み重ねる中で、今の仕事のやりがいはどんなところにありますか?
林様:現在は大規模な案件をお客様と一緒に進めており、その一つは社内でも重要案件として承認されています。お客様と一体となって取り組めるのは、この仕事ならではの醍醐味ですね。
前職では関わる相手が限られていましたが、今は多様なお客様と接し、それぞれの考え方や強みを知ることで自分の引き出しが増えています。「このお客様にはこういう提案ができる」と経験を積み重ねながら成長できることに、大きなやりがいを感じています。転職して3年ですが、その経験を提案に活かせる手応えを実感しています。
02. 柔軟でフラットな組織文化が根づく物流システム第二室

――物流システム部の組織体制や人数構成について教えてください。
本江様: 物流システム部は第一室・第二室・第三室の3室で構成されています。全体として販売店対応を担っており、第一室は東日本を担当(東京拠点)、第二室は中部・四国・九州を担当、第三室は大阪拠点で近畿や中国地方を担当しています。
人数構成としては、全体で48名になります。そのうち第二室には23名が在籍しています。
そして部長を含め、キャリア出身者が多く在籍していることも部署の特徴です。物流システム部全体では3〜4割がキャリア採用で、社内異動を含めれば半数近くに上ります。また、当部署に限らず会社全体で増えている状況です。
――物流システム部第二室の役割について詳しく教えてください。
林様:第二室は中部・九州エリアを担当し、販売店からの案件をベースに、物流システムを提案しています。内部は1〜3グループに分かれ、3グループは企画開発系なので、ここでは1・2グループを説明します。
1グループは一般ユーザーを中心に担当。
2グループはトヨタグループ関連企業向けの商談を担当しています。社内案件も多く、非常に高いQCDが求められるため、グループ全体で知見を共有しながら対応しています。
――部署としての課題や今後のビジョンについて教えてください。
本江様:物流自動化のニーズは急速に高まり、年間で数千件もの依頼をいただいています。ただ件数が多いため、要望に応えることに集中してしまうことも。本来は私たちからお客様の現場に足を運び、気づかれていない課題を見つけ、より深く踏み込んだ提案をしていきたいと考えています。
また、2030年には現在の倍ほどの規模に部署を拡大する計画を立てており、そのためにキャリア採用を進めています。
――キャリア入社者の受け入れにあたって、どんな点を大切にされていますか?
林様:キャリア入社者だけでなく社内異動も多いため、「この組織で身につけるべきこと」を明確に伝えるようにしています。経験の浅いメンバー同士で自然に情報交換する雰囲気があり、仲間と一緒に学べる環境です。入社時も「同じ状況の人がいる」と安心してスタートできますよ。
――立場に関係なく意見を言いやすい雰囲気があるとも伺いました。
本江様:現場で働く全員が仲間ですから、情報はフラットに共有しています。私自身もデスクに座るより現場を回り、積極的に声をかけるようにしています。
林様:最前線でお客様と向き合う私としても、先輩や上司はオープンで話しやすく、意見を伝えやすい雰囲気です。
03. 「次も任せたい」と指名をいただける信頼関係がやりがいに

――物流システム部のミッションについて教えてください。
本江様:私たちのミッションは、販売店さんと一緒にお客様から受注をいただくことです。最大のKPIは「受注金額」。他の指標もありますが、まず販売店と協業し受注を獲得することが物流システム部の大きな役割です。
――物流システム部では、営業部門や設計部門とはどのように連携しているのでしょうか?
本江様:まず営業活動は販売店さんが担当します。販売店さんがアプローチし、その後に私たちが提案に加わり、一緒に進めていくスタイルです。日々、販売店と同行し提案しています。
引き上げ段階では、図面も担当します。大枠のレイアウトや機器配置を決めるのが私たちの役割で、部品単位の詳細設計は設計部門が担当します。こうして営業から設計まで一貫して橋渡しを行うことで、お客様に最適な物流システムをスムーズに提供できる体制を築いています。
――技術的な知見も必要だと思いますが、バックグラウンドは技術系の方が多いですか?
本江様:理系出身の方はキャッチアップが早いですが、文系出身でも学ぶ姿勢があれば十分活躍できます。ただ、図面や電気回路図の読み取りなど専門的な要素も多いため、技術系の素養がある方のほうがより活躍しやすい環境です。特に機械・電気・制御・ソフトといった幅広い知識を持つ方が強みを発揮できます。
林様:うちのメンバーは、設計出身の方や生産技術出身の方など、幅広いバックグラウンドを持っています。前の上司も機械設計出身ですし、自社製品の設計経験がある人も多いですね。
――業務の流れを教えてください。受注後の対応も含めて担当されるのでしょうか?
林様:受注獲得が中心ですが、その後の仕様展開や設計段階で要望が反映されているかを確認するのも私たちの役割です。施工は施工管理部門、アフターサービスは専門チームが担当しますが、完成・納入時には再び窓口となり、発注通りに仕上がっているか確認します。
本江様:基本的に「引き上げから納入まで」同じ担当者が関わるため、お客様に安心感を持っていただけますし、私たち自身も「取った仕事は最後まで責任を持って納めたい」という思いを大切にしています。
――一貫対応だからこその信頼関係も生まれそうですね。
本江様:案件規模は数千万円から十数億円に及ぶことも多く、決裁者が経営層ということもあります。そうした方々と共に取り組み、最後に「ありがとう」と言っていただける瞬間は大きなやりがいです。
さらに「次も林さんにお願いしたい」とお客様から指名をいただけることもあり、責任感ももちろんありますが、大きなやりがいにつながっていますね。
――エリアごとに室が分かれていますが、担当の割り振りはどのようにしていますか?
林様:お客様単位で一貫して対応できるようにしています。お客様にあわせてご要望や性質が異なるため、それぞれに合わせて担当を決めています。
――自動車業界を担当する第2グループならではの大変さはありますか?
林様:案件の規模にもよりますが、自動車業界では「DR(設計審査)」や社内承認、安全審査など厳格なプロセスがあります。その中で、お客様の要望と自社の仕様をすり合わせ、リスクをコントロールしながら進める必要があります。
――転職後、新しく身についたスキルはありますか?
林様:図面を読み込む力や、仕入れ先への依頼方法は大きく成長しました。前職は決まった業者とのやり取りが中心でしたが、今は案件ごとに相手が変わるため、共通認識をどう築くかを工夫しながらコミュニケーションを取っています。
また、自分のグループ内で「荷物が出てから受け入れられるまで」の流れを実感できる点も、この仕事ならではです。物流全体を俯瞰して関われる感覚があります。
――鉄鋼業界から物流業界に転職して良かった点があれば教えてください。
林様:鉄鋼業界は24時間止まらない現場でした。物流も止めてはいけないのは同じですが、必ずしも24時間稼働ではありません。その分、生活や家族と過ごす時間が格段に増えました。これは転職して本当に良かった点の一つです。
――ご転職されてから、一番やりがいを感じる瞬間を教えてください。
林様:「頼むよ」と任された案件をやりきり、お客様から「ありがとう」と言っていただけたときです。人によっては受注時に喜びを感じる方もいますが、私は納めて現場で稼働しているのを見たときにやりがいを実感します。形に残る仕事であることが、この仕事の大きな魅力だと思います。
販売店や営業とも関わりますが、最終的にお客様の前に立ち、社内へ展開するのは私たちです。厳しいお客様もいらっしゃいますが、信頼関係を築けたときの達成感は非常に大きいですね。
04. 自由度の高い働き方 在宅勤務やフレキシブルなスタイル

――1日の仕事の流れを教えていただけますか?
林様:朝8時に出社し、午前中はお客様との仕様打ち合わせが中心です。最近はTeamsを使ったオンライン打ち合わせも増えています。午後も打ち合わせがあれば参加し、グループ長としてメンバーと仕様検討やお客様対応について相談する時間も多いです。
自分の担当案件では、仕様打ち合わせや資料作成、見積業務を進めます。打ち合わせは17時頃に終わり、必要に応じて1〜2時間程度の残業をすることもあります。出張がある日は直行・直帰のパターンもあります。
メンバーによっては勤務日の半分が出張です。自動車関連のお客様が愛知県に多いため日帰り中心ですが、九州や北陸を担当するメンバーは出張頻度が高めです。ただし長期滞在はなく、1件あたり2〜3時間、長くても半日程度の打ち合わせを複数件まとめて訪問するスタイルです。
――残業や在宅勤務、休日出勤について教えてください。
本江様:平均で月30時間前後、多くても40時間以内に収まっています。在宅勤務も可能で、上限はなく、生産性が上がるなら自由に活用できます。
林様:働き方は個人の状況に合わせています。例えば打ち合わせが10時からなら、早めに現地近くのカフェで作業する人もいれば、ギリギリまで在宅で対応する人もいます。
また、休日出勤はほとんどありません。前職の生産技術では休日対応が当たり前でしたが、この部署では有休取得や長期連休がしっかり確保されていて、働き方は大きく改善されました。
――キャリア入社の方も多いと伺いました。どのような理由で入社を決められるのでしょうか?
本江様:自社製品に限らず幅広い提案ができる点や、働き方の自由度の高さに魅力を感じて入社される方が多いですね。
05. 成熟ではなく拡大フェーズ。変化を楽しめる人にぴったりの環境

――キャリア採用で入社いただく方には、どんな方に来てほしいと考えていますか?
林様:キャリア採用で来ていただきたいのは、新しいことを学ぶ意欲がある方です。私自身も異業種から転職しましたが、この業界では毎年のように新しい技術や製品が登場します。しかも自社製品にとらわれず幅広い提案ができるので、学びながらお客様に最適な解決策を考えられる方が向いていると思います。
また、成熟しきった組織ではなく、これから拡大していく組織で働きたいという方にもぴったりの環境です。
本江様:加えて、お客様の多くは製造業なので、生産技術やプラントなど、何らかの現場経験がある方は特に馴染みやすいと思います。さらに、好奇心旺盛で新しいことに挑戦したいという方にぜひ来てほしいですね。実際、キャリア採用で活躍している方は、自分の考えや意見をしっかり伝えられるタイプです。役職者にもキャリア採用出身者が多く、積極的に発信して挑戦する方が活躍しています。
――最後に、応募を検討されている方へメッセージをお願いします。
林様:一緒に成長していく組織で、新しいキャリアに挑戦しましょう!
本江様:物流業界はこれから大きな変革期を迎えます。未来をつくる挑戦の舞台で、ぜひ私たちと共に一歩を踏み出してください!