企業インタビュー
[ 株式会社豊田自動織機 ]
トヨタの源流企業で挑む、アフターサービスの最前線――豊田自動織機CS部サービス室の挑戦

豊田自動織機は、1926年に創業者・豊田佐吉氏が設立した「トヨタ自動車の源流」となる企業です。繊維機械からスタートし、現在ではフォークリフトや自動車部品、繊維機械など幅広い分野で事業を展開。特にフォークリフト、カーエアコン用コンプレッサー、エアジェット織機は世界トップシェアを誇ります。売上高は約4兆円、従業員数は7万人以上とグローバルに成長し、世界各国の産業と暮らしを支えています。「発明と挑戦」のDNAを受け継ぎながら、環境配慮や自動化といった新しい時代のニーズに応える技術開発を続けています。
その中で、導入後のアフターサービスを担うのが CS部サービス室です。システムを止めないための「予防保全」と、万が一の「緊急対応」という二本柱で、お客様に“安心”を届け続けています。
今回は、サービスエンジニアとしてのやりがいや成長の機会、仲間との関わり、そして「豊田自動織機に任せてよかった」と言っていただけるための取り組みについてお話を伺いました。
左から株式会社豊田自動織機 トヨタL&Fカンパニー 物流システム事業室 CS部サービス室 室長 小林 大祐様
株式会社豊田自動織機 トヨタL&Fカンパニー 物流システム事業室 CS部サービス室 水落 雅貴様
01. 図面を描く仕事から“現場で支える役割”への転換
小林様:私は1993年に新卒で入社し、最初の3年間は生産技術部門で勤務しました。その後、物流システム事業室で電気設計を担当し、さらに物流システム部では約20年間システムエンジニアとして提案や受注に携わりました。最後の6年間は室長を務め、2年前からサービス室で室長を務めています。
入社のきっかけは、「受けてみては」と勧められたこと。社員を大切にする風土や整った福利厚生、そして“トヨタの源流企業”という誇りもあり、入社して本当に良かったと感じています。
水落様:私は大学院卒業後に鉄道車両関係の企業でメンテナンス設備の設計を担当し、8年以上勤めました。その後、豊田自動織機の物流機器サービス職に応募し、現在の部署に配属されました。
入社を決めた理由は大きく3つあります。まず、労働人口減少の中で自動化がますます重要になると感じ、その分野に挑戦している点に魅力を感じました。次に、フォークリフトで世界シェアNo.1を誇るなど事業基盤が安定しており、将来性に安心できたこと。そして、愛知県を拠点に生活したいというライフプランと勤務地が合致したことです。待遇面も含めて総合的に考え、最も魅力的だと感じたのが豊田自動織機でした。
前職の設計職からサービスエンジニアへ転職したのは、物流機器が自身の経験に近しく、知識を活かせると考えたからです。図面を描くことはありませんが、お客様の声を聞く際に前職の経験が役立ちますし、今後必ず必要になる自動化分野に貢献したいという思いもありました。
02. 予防保全と緊急対応、二本柱で守るお客様の安心

――サービス室の役割についてお聞かせください。
小林様:導入したシステムのアフターサービスでは、お客様が実際に使い始めてからの工程に関わっていきます。最も大切にしているのは、システムを止めないこと。止まってしまうとお客様に大きな迷惑をかけてしまいますからね。だからこそ、それを防ぐことが私たちの大きな柱なんです。
取り組みは大きく二つあります。ひとつは定期点検やメンテナンスを通じて故障を未然に防ぐ「予防保全」。もうひとつは、トラブル発生時に迅速に復旧を目指す「緊急対応」です。
この二本柱で「トヨタに任せてよかった」と言っていただけるよう導入して終わりではなく、その後にこそ価値を届けるのがアフターサービスの真価だと思います。
――サービス室としても、今後範囲を拡大していく中で「日本のアフターサービスの質の高さを守る責任」や「自分たちのミッション」を強く感じていらっしゃいますか?
小林様:そうですね。私たちのシステムは、一度導入するとお客様に10年以上使っていただくケースがほとんどです。だからこそ、その期間ずっとお客様に寄り添い、安心して使い続けてもらえるようにサービスを提供する――それが大きな使命だと思っています。
もし対応が悪ければ、次の商談にはつながりませんし、場合によってはメーカーを切り替えられてしまうこともありえます。だからこそ「トヨタに任せてよかった」と思っていただき、ファンになっていただくことが何より大切なんです。
対応ひとつで事業の存続にも直結してきます。常にその意識を持って、ひとつひとつの業務に臨んでいます。
――「トヨタファンになっていただく」という言葉がとても素敵だと思いました。実際にお客様からいただいた嬉しいお声や、ファンになってくださった方とのエピソードがあれば教えてください。
小林様: 運用上のトラブルにとどまらず地震や台風による震災時などでもお客様への被災状況の確認をすみやかに実施し、総力をつくして復旧の対応を実施します。直近の例では能登の地震の際には1月2日より正月休み返上で対応を進めました。お客様からは正月に迅速に対応してくれたのはトヨタだけだと感謝されました。
もちろん、究極は”すぐ直す”ことですが、現実的にはそうならないこともあります。それでもお客様が見ているのは、「放置せず、必死に駆けつけて直そうとしているかどうか」です。
人と人との仕事だからこそ、誠意が伝わることが大切です。「いざとなったらトヨタは必ず対応してくれる」――そんな信頼をいただけるように、まずはその姿勢を大切に、誠心誠意対応することが何より大事だと思っています。
――お客様第一の姿勢は御社の社風でもあるのでしょうか?そうした姿勢は、どのようなところから生まれているのか、お聞かせいただけますか?
小林様:「お客様にご迷惑をかけない」という意識が全社に根付いています。サービス部門だけでなく設計や施工など他部署も協力し、部署を越えてみんなで「この案件を一気に解決しよう」という文化はありますね。
部署ごとの縄張り意識(セクショナリズム)はない会社です。困った時は別の部署に気軽に相談できる、そういう部署間の風通しの良さは大きな特徴かもしれません。おおらかでギスギス感のない社風が支えになっていると思います。
03. プロパーとキャリアの垣根なし――フラットな文化

――サービス室の人数や年齢構成について教えてください。
小林様:現在、サービス室には37名が在籍しています。年齢構成は60代が2人、50代が8人、40代が7人、そして30代が20人。なかでも30代が最も多く、職場全体に活気があります。
今はキャリア採用を積極的に進めており、特に人数が多い30代のうち17人はキャリア入社です。多くのキャリア人材が加わり、フラットな雰囲気で働いています。
――実際に転職してこられて、そのような印象をお持ちですか?
水落様:同じ年代のキャリア入社の方が多いので、わからないことも気軽に相談できます。本当に安心できますし、やりやすいと感じています。入社前は、「どんな人がいるんだろう」「職場の雰囲気はどうなんだろう」と不安でしたが、実際はとても働きやすい雰囲気だったので、入社して本当に良かったです。
――プロパー入社とキャリア入社の違いはありますか?
小林様:当社はキャリア入社の方が多いこともあり、「プロパーかキャリアか」という区別自体、そもそも発想としてあまりないんです。なので、処遇面も含めてみんながフラットな職場ですね。
――キャリア入社され、製品も大きく変わる中でキャッチアップが大変な時期もあったと思います。そこへのフォロー体制や、どのように技術を習得されたのかを教えてください。
水落様:最初の1ヶ月は研修を通じて基礎知識を身につけました。その後の半年は、副担当という形で、主担当の方に業務を振っていただいたり、一緒に現場に同行したりしながら仕事を覚えていきました。
そこから主担当になって約1年になりますが、同年代の方も多く、すぐ隣に似た業務をしている人がいるので、気軽に相談できます。元技術職のベテランの方も同じデスクにいるので、深い内容についても相談できる環境です。
みなさん本当に話しかけやすく、相談しやすい環境なので、とてもありがたいですね。
――立場に関係なく意見を言いやすい、相談しやすい環境があるとよく伺います。サービス室でもそのように感じていらっしゃいますか?
水落様:そうですね、本当に相談しやすい環境です。私はキャリアで異業界からの入社でしたが、一から丁寧に教えていただきました。サービス室だけでなく、技術の方や営業の方とも気軽に話ができるので、とても良い文化だと感じています。
――ほかの室とサービス室との違いがあれば教えてください。
小林様:一番の特徴は、比較的若い世代が多く在籍している分、職場に活気がある点ですね。
サービス室には3つのグループがあり、それぞれ異なる分野を担当しており、隣のグループと交流する機会が少ないんですよね。そこで交流のきっかけを作るために、毎日の朝礼を当番制にして、趣味やプライベートの話をしてもらっています。お互いに親しみが湧き雑談が生まれ、人間関係の幅も広がっています。
仕事をしていると落ち込むこともありますが、雑談も交えて和気あいあいとした雰囲気を大切にしています。責任を一人で背負うのではなく「みんなで一緒に乗り越える」文化が根付いているので、安心感のある職場環境になっています。
――現在、サービス室で抱いている課題や、今後の展望について教えていただけますか?
小林様:私たちは「2030年ビジョン」で売上倍増を掲げています。それに伴い納入件数も増えるため、スピードに追いつける体制整備が課題です。人材や組織体制をきちんと整えて、お客様にご迷惑をおかけしない体制を作っていかなければなりません。だからこそ、即戦力となるキャリア採用が非常に重要なポイントになっていますね。
――今後、売上拡大に向けて取り組みたいことや、新たなビジョンがあれば教えてください。
小林様:私たちが更に力を入れていきたい取り組みは「予防保全」です。トラブルを未然に防ぐことは、お客様にとっても私たちにとってもWin-Winの関係を築けると思っています。
また、2030年に向けた売上拡大を実現するためにも、点検や壊れる前の部品交換、予防保全、整備といった提案をしっかり行い、取りこぼしなく実行していくことが重要です。
ただ、現状では予防保全の取り組みがまだ100%できているとは言えません。前向きな提案活動はもちろん、ITツールの活用範囲を広げさらに予防保全を強化していきたいと考えています。
04. 安心して長く働けるワークスタイルが整う職場
――普段の1日のスケジュールや出張について教えてください。
小林様:私は少し早く出社し、自分の時間として仕事を進めています。8時の始業後は会議や相談、打ち合わせを行い、夕方は軽めの業務を行って18時に退社する流れです。
出張は月4〜5回ほどで、全国の販売店を訪問し情報共有や会議に参加します。海外出張も年に1〜2回あり、現地の販売会社やディストリビューターに日本の事例を展開し、サービス体制の強化に取り組んでいます。
水落様:私は中国・四国エリアを担当し、販売店の窓口業務を担っています。広島には当社スタッフ4名が常駐しており、そのサポートも私の役割です。実際の作業は販売店や広島のスタッフが行い、私はサービス室として全体を支援しています。
1日の流れは、8時に出社して朝礼に参加し、メール確認や庶務を済ませた後、9時から10時は全国エリアの担当が集まるサービス進捗会議に出席。その後は販売店関連の業務を進めます。設計職のように決まったルーティンではなく、日々違う業務があるのが特徴です。トラブル対応の検討や重整備交換・予備品保有の提案資料作成など幅広い仕事に携われるので、楽しみながら新鮮な気持ちで働けています。
出張は1ヶ月に3回ほど、担当エリアである中四国地域に行っています。基本は日帰りですが、朝から調査がある場合は前泊することもあります。1週間など長い期間の出張はないですね。
――夜間・休日の緊急対応や残業時間はいかがでしょうか?
水落様:夜間や休日の緊急対応については、私は経験がありません。もし現場対応が必要になった場合には、現地スタッフや販売店スタッフにお願いする形になりますね。
小林様:サービス室の役割は、現場で修理をしてくださる方々へのサポートや支援、指示出しが中心です。ですので、緊急対応で直接現場に行くことは基本的にはなく、事務所から支援する立場になります。そういった意味でも、安心して働ける職場だと思います。
また、残業時間は20~30時間が平均ですね。多くても40時間以内に抑えるという形です。
05. 愚直にやり切った先に生まれるやりがい
――これまでのご経験の中で、やりがいを感じたのはどのような瞬間ですか?
小林様:突発的なトラブルに素早く対応し、お客様から感謝の言葉をいただけたときが一番やりがいを感じます。修羅場を一緒に乗り越えて正常な状態に戻し、「ありがとう」と言っていただけるのは本当にうれしいですね。
最も大変だったのは、自動倉庫のシステムが止まり機械が動かなくなったときです。ダンボールへの商品投入やラベル貼りが自動でできなくなり、事業室のメンバー総出で人力によるピッキングを行いました。こうした事態はめったにありませんが、お客様に迷惑をかけないためには泥臭くても愚直にやり切ることが大切だと思います。本来はトラブルを未然に防ぐことが使命ですが、起こってしまったときには責任を持って最大限対応する姿勢を大事にしています。
水落様:販売店やお客様のお困りごとを受け、自分で考えてアクションを起こし、解決に導けたときに「ありがとう」「助かったよ」と言っていただけるのが一番のやりがいです。
特に大変だったのは、担当エリアで“絶対に止めてはいけない機械”が故障したときです。どう直すのか、どんな対策を取るのかをお客様や販売店、設備メーカと話し合い、自分が中心となってまとめて進めなければならず、大きな責任を感じましたね。
――これまでのご経験を通じて、豊田自動織機に転職したからこそ身についたスキルがあれば教えていただけますか。
水落様:私は担当窓口としての役割を任されており、その下には4名の現地スタッフがいます。彼らから日々様々な相談を受ける中で、「自分で対応すべきか、誰かに相談して進めていくべきか」を判断する力が求められます。どう線引きするかという判断基準を自分で考え、決断する力は豊田自動織機に入社したからこそ身についたスキルだと思いますね。
06. “Go Further Go Together!!” 仲間とともに高い目標へ挑戦

――キャリア採用で求める人物像について教えてください。
小林様:まず「やってみる」という姿勢を持っている方に来ていただきたいですね。100点じゃないと不安、というよりも、60点ぐらいの完成度でもまずは進めてみよう、という気概が大事だと思っています。そこから見えるものも多いですし、失敗については絶対にとがめません。失敗を恐れず、前向きにチャレンジできる方に向いている職場だと思います。
また、お客様や販売店、社内の関係者や協力会社など、多くの人と関わりながら進める仕事です。きちんとコミュニケーションが取れることも大切ですね。
前職の経験でいうと、生産技術やサービス、機械設計のご経験がある方は、特に活躍しやすいと感じています。
当社で活躍している社員には、モチベーションが高く、責任感が強い方が多いですね。そして、比較的謙虚な方が多い印象です。
水落様:人当たりがよくて、話しやすい方が多いのも共通していると思います。
――他社にはない、豊田自動織機ならではの魅力とは何でしょうか。
小林様:やはり「トヨタ」というブランドを背負って仕事をしている点です。その分、期待されるレベルも高いですが、その中で誇りややりがいを持って働けるのは魅力だと思います。給与や福利厚生がしっかりしていて安定しているのも大きな強みですね。
水落様:私が感じるのは「働きやすさ」です。残業時間の上限が明確に決まっていますし、年休も必ず消化する文化があります。そのため、自然と「どう効率よく働くか」を意識して改善に取り組む雰囲気があり、それが働きやすさにつながっていると思います。
――応募を検討されている方にメッセージをお願いします。
小林様:“Go Further Go Together!!”――遠くまで行きたいなら、みんなで一緒に行こう!一人ではなく力を合わせ、仲間とともに遠い目標に向かって楽しく頑張りましょう!