“はかり”で産業を支えるー大和製衡自動機器技術部の挑戦

大和製衡株式会社は、計量機器のプロフェッショナル集団です。食品や自動車、重工業といった産業分野はもちろん、商業用のはかりや、体組成計・体重計といった健康機器まで、幅広い分野で開発から製造・販売までを一貫して行っています。

その中でも自動機器技術部では、食品工場の生産ラインで使われる「組合せ計量機（データウェイ）」や「自動重量選別機（オートチェッカ）」、「箱詰め機（ケースパッカ―）」などの開発・設計を担当しています。

これらの機械は、食品の計量、異物や重量のチェック、箱詰めといった工程を自動で行うことで、現場の生産性や品質を大きく支えています。

ーー大和製衡に入社された理由を教えてください。

末道様：「ものづくりがしたい」――それが私の原点です。

入社説明会で、当社の“データウェイ”と呼ばれる組合せ計量機の原理や仕組みについて説明を受けたときは、まさに衝撃でした。袋詰めされた製品をあんなに高速で、しかも正確にはかる機械で、「一体どうなってるんだ？」と、技術の奥深さに一気に引き込まれました。

学生時代からものづくりへの興味は強くありましたが、この計量機の世界に触れたことで、さらに技術を極めたいという思いが強まり、迷わず入社を決めました。

川野様：父が技術職だったこともあり、子どもの頃からものづくりには自然と興味がありました。家には専門的な資料もあって、「こういう仕事ってかっこいいな」と思いながら、気づけば自分も理系の道へ。プラモデルやラジコンを組み立てるのも大好きで、機械に触れるのがとにかく楽しかったですね。

就職活動中に、研究室のOBが大和製衡にいると知って話を聞いたのですが、「この会社、派手さはないけど、確実に良いものをつくっている」と感じました。地に足のついたものづくりというか、そこに誠実さを感じたんです。

落ち着いた雰囲気も自分に合っていると感じ、「ここでなら自分らしく挑戦できそうだ」と思い、入社を決めました。

ーー現在の仕事でどのようなやりがいを感じていますか？

末道様：ものづくりがしたい、という気持ちは今も変わらずずっと根底にあります。設計開発を中心に担当しています。他社では設計と開発が別の担当者であることも多いのですが、当社では、設計と開発を分業せず、設計したものを自分の手で組み立て、評価まで一貫して携わることができます。

もちろん、思い通りにいかないことも多いですが、お客様に喜んでいただけたときの達成感は格別です。あの瞬間に勝るものはありません。

社内には試作や実験ができる環境も整っており、実際に手を動かしながら機械に向き合えることも魅力です。最近はチームをまとめる立場になりましたが、若手社員には「とにかく手を動かし、機械に触れて覚えること」を大切にするように伝えています。

川野様：私が強くやりがいを感じたのは、自分が開発した計量機が海外で販売許可を取得し、実際に現地の工場で稼働している姿を見たときです。

国によっては計量に関する法律（計量法）が異なり、それをクリアしなければ販売はできません。自分で設計・評価した製品を審査機関に持ち込み、英語でやり取りをしながら何度も改良を重ねて、ようやく認可が下りたときの達成感は本当に大きなものでした。

後日、その計量機が海外の工場で問題なく稼働しているのを見て、「自分の技術が世界で活かされているんだ」と実感できた瞬間は、開発者として非常に誇らしく、何より嬉しい経験でした。

ーー自動機器技術部の役割とやりがいについて教えてください。

川野様：自動機器技術部は、社内にある3つの事業部の中でも、特に忙しい部署です。というのも、私たちは開発案件や特殊なご要望にも積極的に応えようとする姿勢が強く、その分、多くの仕事を引き受けているからです。

末道様：会社全体の中でも、自動機器技術部は「エンジン」のような存在だと思っています。ここがしっかり動かないと、会社全体が止まってしまう。それくらい重要なポジションです。部内のメンバーには「この事業部が止まったら会社が止まる。それくらい責任は大きいけれど、その分やりがいも大きい」とよく伝えています。

本当に難しい案件が来たときでも、「この仕事が会社を支えている」という意識を共有しながら、チームの士気を高めて取り組んでいます。

川野様：大和製衡はあまり表に出るタイプの企業ではありませんが、私たちの技術部が手がけた製品は、実は食品業界で広く使われています。たとえば、スーパーやコンビニに並ぶ身近な食品の多くが、私たちの機械で計量・検査されているんです。

「どうやって測るか」だけでなく、より良いプロセスの設計や、自動化の方法、部品の選定、さらには納品後のアフターフォローまで――考えるべきことは多くあります。それだけに、責任もやりがいも大きい仕事です。

新しく入ってくる社員の方にも、製品の社会的な価値をしっかり伝えるようにしています。それが働くモチベーションにつながり、実際、離職率も以前より大きく改善されました。

ーー離職率の改善も含めて、以前より意識的に取り組まれていることを教えてください。

末道様：以前の離職の大きな要因は、コミュニケーションの不足だったと思います。今はたとえ短時間でも、意識的に声をかけるようにしています。声をかけることで、「自分は気にかけてもらえている」と感じてもらえる。それが、安心感にもつながっていると感じます。

また、かつては「はかりが社会に役立っている」という実感を持つ前に、日々の業務に追われて気持ちが折れてしまう社員も少なくありませんでした。目の前の仕事だけでやりがいを見出すのは、正直限界があります。

だからこそ最近は、実際に現場で自社製品がどう活用されているのかを見に行く機会を設けるようにしています。実際にはかりが動いている様子を見て、「自分の仕事が世の中の役に立っている」と肌で感じてもらうこと。これは本当に大事だと考えています。

川野様：自分が設計・製造に関わった部品や製品が実際にどう使われているかを見ることなく辞めていった社員もいたと思います。自分の手がけた技術が最終的に製品として動いている姿を見ると、やっぱりモチベーションは大きく変わりますよね。

末道様：私自身、初めて組み合わせはかりを見たとき「ずっと見ていても飽きないな」と感じるほどの衝撃を受けました。あの感動は、ぜひ新しく入社する方にも体感してもらいたいと思っています。

ーー組み合わせはかりへの情熱が尽きないのはなぜですか？

末道様：それは、まだ“完成形”ではないからです。たとえば、現場での部品の取り付けやすさ、洗浄のしやすさなど、改善できる余地がまだまだあります。

「もっと良くできる」という余白があるからこそ、飽きることがありませんし、だからこそ情熱を持ち続けられるんだと思います。

ーー現在のミッションについてお聞かせください。

末道様：私たちのミッションは「オンリーワンのはかり」を作ることです。組み合わせ計量機、オートチェッカ、ケースパッカ―といった全ラインナップで、他にはない唯一無二の製品を開発し、業界シェアNo.1を目指しています。

川野様：私は開発分野に特化したマネジメントを担当しており、常に新しい技術を取り入れて他社に先駆けて新製品を世の中に送り出すことが、個人としての大きなミッションです。

――業界シェアNo.1を目指すうえで、“新しさ”を追求する際に意識していることはありますか？

末道様：やはり、新しさを追求することは一番難しいです。ゼロから何かをつくるというよりも、既存のアイデアや技術をどう組み合わせて、これまでになかった価値を生み出せるか。まさに、技術と発想力の勝負です。

そのためには、はかりの枠を超えて、他の産業機器や技術からもヒントを得ることが重要です。常にアンテナを張って、どう自社製品に応用できるかを考えています。

川野様：若手にも、積極的に展示会などの外部の情報に触れてもらっています。新しい技術や素材、設計手法――そうしたものに出会ったときに「これを自分たちの製品に活かせないか？」と考えられることが、技術者としての成長にもつながります。

新しいものをどんどん取り入れ、カタチにしていく。その姿勢こそが、私たちの製品を進化させ続ける力だと信じています。

自動機器技術部で手がける組合せ計量器「データウェイ」

引用：大和製衡ホームページ|製品情報

ーー御社のはかりは世界でも使われているとのことですが、設計者が現地に行く機会も多いのでしょうか？

末道様：はい、特に海外向けに開発した製品の場合は、実際に現地に機械を持ち込み、開発者自身が同行して動作確認を行います。現地で正常に動作するか、輸送時に不具合が起きていないかなどを含めてチェックします。輸送試験の意味合いも含まれていますね。

川野様：設置後にトラブルがあれば、基本的にはサービス部門や各国の代理店・子会社が一次対応にあたります。ただ、それでも解決できない場合は日本から技術者が直接対応に行くこともあります。

私も現地に行ったことがありますが、「ここで解決しなければ大問題になる」というプレッシャーの中での対応は非常に緊張感がありましたね。現地のお客様からすれば、まさに“最後の砦”という存在です。

ーー海外出向のご経験について教えてください。

末道様：私はドイツの子会社に2年間出向しました。最初は、現地のエンジニアとの価値観や働き方の違いに戸惑うことも多かったですが、最終的には協力しあえるようになりました。日本人とヨーロッパ人との間にはやはり考え方の違いがあるんだと実感しましたね。

川野様：私はアメリカに2年間出向しました。現地の販売代理店がお客様との窓口になるため、日本との橋渡し役として対応することが多かったです。英語で状況をヒアリングし、それを日本に正しく伝えることに苦労しました。

また、開発に直接関わっていなかった製品の問い合わせにも対応する必要があり、調べながら理解を深めていくことも多かったですね。大変でしたが、振り返れば貴重な経験でした。

海外拠点にいる間は、本社で進行している開発プロジェクトやアプリケーションの情報が断片的にしか入ってこないこともありました。置いていかれるような不安を感じることもありましたが、出向には明確な期限があるからこそ踏ん張れた側面もあります。

帰国後も、現地のエンジニアから「この問題に対応してほしい」「お客様がこういう機能を求めている」といった情報を直接もらえる関係が続いています。現場の声を直接受け取れること、そして頼りにしてもらえる関係を構築できることが出向の魅力だと思います。

ーー現在も開発部門の方の海外出向の機会はあるのでしょうか？

川野様：はい、現在はドイツに1名、アメリカに2名が出向中です。基本は2〜3年の任期ですが、マネージャークラスになると現地責任者として任期を設けずに駐在するケースもあります。

ーー若手社員の海外出向はどのように決まるのでしょうか？

末道様：何よりも大切にしているのは、本人の「行きたい」という強い意志です。そのうえで、現地で一人でもやっていけるように、語学力よりもまず技術力をしっかり身につけてもらいます。語学は現地に行けば自然と身につきますが、技術がないと対応できませんから。

国内での開発や出張でしっかり経験を積んでもらい、その上で出向を検討します。英語の社内研修制度や通信教育の補助もあり、出向が決まれば半年ほどの英語研修を受けてから赴任します。

特に26〜28歳くらいで意欲のある方は、選ばれる可能性が高いですね。成長が見込まれる若手には、積極的にチャレンジしてもらいたいと思っています。

ーー出向先の国は選べるのでしょうか？

末道様：いいえ、出向先はその時々のニーズによって決まります。ドイツに人が必要であればドイツへ、アメリカならアメリカへといった形です。

出向のタイミングも重要で、チャンスを逃すと次の機会は2年後。それまでに国内で重要なポジションに就いてしまうと、動きたくても動けない状況になることもあります。だからこそ、「行けるときに行く」のが大切ですね。

ーー新しいことに取り組む姿勢は、会社全体の文化なのでしょうか？

末道様：そうですね。大和製衡には「できない」と言わず、まずはやってみよう――という前向きなチャレンジ精神が根づいています。

私が入社した頃から、お客様が困っていることに対して真摯に向き合い、まずは何ができるかを考える姿勢が当たり前のようにありました。

川野様：もちろん、「挑戦する」だけで終わらせることはありません。お客様は私たちの製品に大きな期待を寄せてくださっています。「この会社ならうまくやってくれる」と信じてご依頼いただいている以上、私たちは絶対に失敗できません。

その信頼に応えるために、まずは現場や製品の状況を丁寧にヒアリングし、社内で何度もテストを重ねてから納品しています。必要であれば部品の作り直しも厭わず、準備にしっかり時間をかける。それが、私たちのチャレンジの“本気度”です。

この徹底した姿勢こそが、他社にはない強みであり、信頼の源だと感じています。

末道様：ただし、すべてに時間をかけられるわけではありません。納期もある中で、スピードも求められる。だからこそ、ときには「勢い」で前に進む判断が必要な場面もあります。

私自身、以前に開発した機械が海外でうまく立ち上がらなかったことがありました。現地で苦戦していたとき、当時の上司がすぐに現地に駆けつけて、サポートしてくれたんです。その姿が本当に心強くて、今でも鮮明に覚えています。

その経験は、私にとって技術面だけでなく、人としても大きな学びでした。だから今は、当時の上司のように「困っている仲間を全力で支える存在」でありたいと思っています。

ーーどのような人が活躍していますか？また、どんな方に入社してほしいですか？

末道様：やはり「自律的に動ける人」ですね。最初は誰もが指導を受けながらのスタートですが、ゆくゆくは会社のルールを理解した上で「自分はこうしたい」と自分の意見を発信できる人が大きく成長しています。当社の“チャレンジしやすい風土”とも相性が良いですね。

もちろん、最初から自律的に動ける人は多くありません。そのためにも、やりがいを持ってもらえる環境づくりは会社として大切にしています。セミナーや展示会に参加して新しい技術に触れることで、「面白い」と思えるきっかけを増やしています。

川野様：私が大事にしているのは、きちんとコミュニケーションが取れること、そして困ったときには素直に相談できることですね。何度も同じ失敗を繰り返さないことも大切です。

当社はいろんなことにチャレンジできる環境です。だからこそ、うまくいかなかったことを振り返って検証し、次に活かしていける人。逆にうまくいったことは整理して周囲に共有し、次の成果に繋げようとする人。そういう方と一緒に働きたいです。

最初は与えられた仕事が点にしか見えなくても、それが積み重なれば線になり、やがて面になります。自分の担当する仕事の意味や、他の業務との繋がりが見えてくると、できることが一気に広がるんです。

実際、そうやって「言われなくても動ける人」に成長している社員はたくさんいます。私たちがその土台やきっかけを用意するので、そこから自分で考えて伸びていける人と、ぜひ一緒に働きたいですね。

ーー現在、自動機器技術部にはキャリア採用の方は何名ほどいらっしゃいますか？

川野様：新卒の方・キャリアの方・派遣の方を合わせて127名ほど在籍していて、そのうち社員が約半数です。キャリア採用の方は10名ほどですね。30代のキャリア入社がもっと増えてくると、社内に活気が出て、できることの幅もさらに広がっていくと思います。

ーー新しい技術を使ったオンリーワン製品の開発には、人手も必要なのでしょうか？

末道様：そうですね。特に“基礎研究”には人数が必要です。チームで動く分野なので、人数がいないと十分な時間も取れませんし、研究が進まなければ新しい製品もなかなか生まれてきません。オンリーワンの製品を目指すうえで、今まさに力を入れていきたい部分です。

ーー中途の方は、どのような業界からの転職が多いですか？

末道様：やはり、はかりはメカの塊なので、板金や金型設計など、機械系のご経験がある方が多いですね。異業種からの転職は少ないですが、実は文系出身で完全未経験から入社された方もいます。「ゼロからメカや設計を学びたい」という強い思いを持って、日々頑張ってくれています。

ーー中途の方を教育するうえで意識されていることはありますか？

末道様：中途の方は、前職での経験や知識を持っていますよね。なので、「前にこんなことをやったことがあります」といったアイデアを聞くと、まずは否定せずに受け止めるようにしています。計量機にすぐには応用できないこともありますが、何かヒントになるかもしれない。そう思って可能性を探るようにしています。アイデアを出してくれるのが嬉しいですね。

川野様：やっぱり皆さん何かしらの理由があって前職を辞めて来られているはずです。入社後には、「前職でどういうところが大変だったのか」「嫌だったことは何か」といった点も丁寧にヒアリングしています。同じことが当社で起きないようにしたいと思っています。

たとえば、前職でパワハラで悩んでいた方や、仕事の負担が大きすぎて体調を崩された方には真摯に向き合って、業務量や担当範囲を調整するようにしています。こうした配慮は、会社として必ずできることだと考えています。もちろん、仕事のボリュームが少ないわけではありませんが、安心して働ける環境作りに取り組んでいます。

ーー最後に、応募を検討されている方にメッセージをお願いします。

川野様：当社の製品は、実は皆さんの身近な場所で使われています。たとえば、日常で手に取る食品の計量や検査にも、私たちの技術が使われているんです。

そうした視点で見ていただくと、「あ、こんなところにも関わってるんだ」と親近感を持っていただけると思います。

そして何より、大和製衡は「やりたいことに挑戦できる会社」です。自分のアイデアを活かして、新しいことに取り組んでみたいという方にはぴったりの環境だと思います。

職場の雰囲気もよく、楽しい仲間が多いので、アフターファイブも含めて充実した日々が送れると思いますよ。

末道様：“ものづくり”が好きな方にとっては、本当にやりがいのある職場です。設計から試作、評価、製品化まで、すべての工程に関わることができるので、自分の手で一つの製品を形にしていく面白さを実感できます。

また、当社はグローバル展開にも力を入れており、今後は海外比率もさらに高めていきたいと考えています。日本国内にとどまらず、海外でも活躍したいという思いを持っている方にも、ぜひ仲間になっていただきたいです。「ものづくり」と「グローバル」に魅力を感じる方に、ぜひ飛び込んできてほしいですね。