日本電気硝子株式会社の事業内容や中途採用について、ディスプレイ事業本部の執行役員様・部長様・課長様にお話を伺いました。

執行役員 ディスプレイ事業本部 薄膜事業部長 金井敏正様
ディスプレイ事業本部 薄膜事業部 製造部長 大森民也様
ディスプレイ事業本部 薄膜事業部 担当課長 伊村正明様

メーカー専門の転職サイト「タイズ」に求人を掲載している日本電気硝子株式会社の執行役員様、部長様、課長様に、日本電気硝子株式会社の事業内容や中途採用について、コンサルタントがインタビューさせていただきました。

日本電気硝子インタビューTOP

■日本電気硝子株式会社の概要
代表者:代表取締役社長 松本元春様、本社所在地:滋賀県大津市、創立:1949(昭和24)年12月1日、従業員数:1,644人(2017年12月末現在)

来年、創立70周年を迎える『特殊ガラス』の世界的専門メーカー。世界トップクラスの技術力でユニークな商品を生み出す同社は、「ガラスリボン」や「見えないガラス」など、素材とプロセス開発による新しい製品を創出。「世界一の特殊ガラスメーカー」を目指しています。

■製品紹介
「ガラスの常識を超えるガラス」で、産業や暮らしに貢献する同社では、どんな技術や製品が生み出されているのか、一部ご紹介します。

「G-leaf」
厚さはわずか30ミクロン。くるくる巻けるガラスです。耐熱性や耐久性、水や空気を通さないガスバリア性、薬品などに対する化学的安定性といったガラスならではの特性を持ちあわせたとても優秀な素材。ガラスの優れた特性に加え、しなやかさ・滑らかさ・軽さなど多くのメリットをもつガラスリボンは、これまでにない素材として新たな分野を切り拓く可能性に満ちています。

gleaf

G-Leaf≪超薄板ガラス≫(公式HPより)

超耐熱結晶化ガラス」

バーナーの炎で熱したガラスに冷水をかけると、普通はすぐに割れてしまいますが、同社は800℃もの高温に熱した直後に冷水をかけても割れない、驚きのガラスを開発。調理器トッププレート用として実績を誇る同社製品 「StellaShine」は、IHやガスコンロなどの調理器トッププレートに最適なガラスとして30年以上の実績をもち、国内シェアも約8割を誇るなど高い支持を得ています。

IHコンロ用ガラストップ

IHコンロ用ガラストップ(滋賀高月事業場の製品展示場にて撮影)

「結晶化ガラス〈ネオセラムN-0〉ランプリフレクター」

耐熱衝撃性が高く、高温時の軟化変形が少ないため、高温環境下で使用される高出力ランプのリフレクターとして使用されます。

プロジェクターランプリフレクター〈ネオセラムN-0〉

プロジェクターランプリフレクター〈ネオセラムN-0〉(滋賀高月事業場の製品展示場にて撮影)

インタビュー

執行役員 ディスプレイ事業本部 薄膜事業部長 金井敏正様
執行役員 ディスプレイ事業本部 薄膜事業部長 金井敏正様
ご経歴:1985年入社。ブラウン管のガラスのプレス工程の技術者を経て、
以降薄膜関係の業務に従事。

薄膜事業部の仕事内容や取り組みについて教えて下さい

薄膜事業部では、ガラス表面に金属や化合物の薄膜をつけることで新たな機能を加えるような仕事をしております。特殊ガラスに膜をつけてコーティングするためには、様々な装置が必要です。その装置の性能が、製品の品質に関わってきます。そこで当社では、成膜装置メーカーから購入した装置を自社で改造し、その装置で、当社にしかできないオリジナルの膜を作ることに取り組んでいます。

「薄膜事業部」の組織体制について教えて下さい。

全体で約130名の事業部になります。組織としては、大きくわけると「製造部」と「技術グループ」にわかれております。彼(製造部長 大森民也様)は製造部部長ですが、業務としては、「品質保証」も含めて、製造部全体を見ます。製造部は現行装置の改造・保守メンテを担当しながら、製造に関わる全てを担っています。一方、彼(担当課長 伊村正明様)は技術グループのグループリーダーですが、業務としては、数年先の事業に役立つような技術開発・研究を行っております。また、大学との共同開発案件や海外の研究所、海外大学とのコンタクトのキーパーソンとしても活躍してます。

社内で「薄膜事業部」が設立した背景を教えて下さい

もともと、膜を取り扱う専門的な事業部はなく、当時は各事業部単位で、それぞれの膜の研究開発などを行っていました。「薄膜事業部」が設立した一つのきっかけとしては、取引先である大手家電メーカーがプラズマディスプレイを製造していた当時、プラズマディスプレイ内の「ITO膜」※を全面的に当社が受注したことに始まります。この事業は、かなり大きな事業になりまして、その時に「薄膜事業部」として独立しました。

※ 透明導電膜。ディスプレイ,タッチパネル,太陽電池などの幅広い分野で使用される。

ディスプレイ事業本部 薄膜事業部 製造部長 大森民也様

ディスプレイ事業本部 薄膜事業部 製造部長 大森民也様
ご経歴:1991年入社。液晶用のガラス加工の技術者を経て、以降薄膜関係の業務に従事。

御社全体の売り上げが大きい製品分野について教えて下さい

身近なところでは、液晶テレビのガラスや自動車用の熱加工樹脂、また自動車の内側に使われているガラス繊維強化プラスチックのシェアが非常に高いです。なかでも今、一番売上が大きい製品分野はディスプレイ関係の液晶ガラス及び強化ガラスですね。具体的に、自動車で使われる樹脂部品の耐久性や強度を高めるガラスファイバーのシェアで世界トップの30%強を誇ります。また、液晶ガラスは、当社を含む世界3社で世界シェアの9割以上を占めています。

ガラスに特殊な膜をつけた製品には、例えばどのようなものがありますか?

「G-Leaf」という超薄板ガラス製品があります。厚さ0.2mm(200um)以下と大変薄く、フィルムのようにしなやかに巻けるほど、柔軟性に優れたガラスです。しかし、ガスバリア性や耐熱性、耐候性、化学的安定性といったガラスの優れた特性はそのままなので、より幅広い分野で技術や製品の進化に貢献できます。

この「G-Leaf」ですが、非常に薄いのに、目に見えますよね。なぜ見えるかというと、一般的なガラスの視感反射率(人が感じる反射率)は片面4%程度で、この反射が映り込みとなって、人は透明なガラスの存在に気がつくからです。

そして、表面反射をほぼなくした製品が、こちら「見えないガラス」です。「見えないガラス」は、視感反射率を約0.08%にまで抑えることに成功したガラスです。

―――――本当にみえないですね(笑)

このように、視感反射率を0.1%以下に下げると、反射や映り込みをほとんど感じさせない 「見えないガラス」になります。その秘密というのは、当社独自の薄膜技術にあります。髪の毛の何万分の1ほどという非常に薄い反射防止膜を、ガラスの両面に何層も均一に成膜する高度な技術です。いろんな厚さ・屈折率の薄膜を組み合わせることによって、反射を極限まで抑える「見えないガラス」が誕生しました。

執行役員 ディスプレイ事業本部 薄膜事業部長 金井敏正様2

他にも、例えば今カメラをお持ちですが(取材班のカメラを見て)、そのイメージセンサを保護するカバーである「イメージセンサ用カバーガラス」には、当社のガラスが使われていて、「見えないガラス」に近い反射防止処理が施されています。また、当社のこの「イメージセンサ用カバーガラス」は、イメージセンサを保護するだけではなく、光信号を正しく精緻に伝えるため、高度な技術で製造された、光をありのままに伝える高品位ガラスです。高級一眼レフのイメージセンサの7-8割くらいは、当社の「イメージセンサ用カバーガラス」が使用されているのではないかと思います。

―――――圧倒的シェアですね

当社はこんなふうに、色んな特殊ガラスの表面に、特殊な処理を施しています。

御社の成膜装置・成膜技術の強みや、他社との優位性について教えて下さい。

例えば、カメラのイメージセンサ用カバーガラスですが、なぜ当社のガラスが企業様に多く採用されているかというと、基本的に性能が安定していて、欠陥が少ないからです。良い品質で、欠陥が少ない。あとお客様からの開発してほしいという要望に対してのレスポンスにも速く対応するよう心掛けていますので、そういったところが評価いただいているのかなと思います。

「薄膜事業部」の今後の事業展開について教えて下さい

当社では、3年間の中期計画を事業部ごとに打ち出しています。私たち「薄膜事業部」は中期計画で、「センサ」、「車載」、「医療」の3つの分野を補強し、売り上げを伸ばして行くことを目指しております。

今後、特殊ガラスはどのような分野で活躍すると思われますか?

最近注目している分野は、センサ関係です。たとえば、一眼レフや車載カメラのイメージセンサなど、センサは色んなところで使われているので、今後確実に伸びる分野だろうなと。それから、医療関係の分野にも注目しています。例えば「内視鏡手術」のような、モニター画面をみながら行われる手術では、非常に高精細度な画面で3D映像をみながら手術を行うので、画面には「全面反射防止処理」が施してあります。医療関係は当社としても、まだまだウェイトの小さい仕事ですので、今後大きくしていきたいですね。

「目指すべき企業像」は『世界一の特殊ガラスメーカー』とありますが

はい、当社は『世界一の特殊ガラスメーカー』を「目指すべき企業像」としております。現在の世界第一位はアメリカのコーニング社ですが、 将来的には、当社が特殊ガラスの分野で、世界一の企業になることを目指します。そのためには、本来メーカーから仕入れている装置を、自社で開発して販売できるくらいの実力をつけていかないといけないです。だから、装置を開発する人が必要だと感じております。

成膜装置の開発では、どんな人物を採用したいですか?

基本的に、装置に関わる技術を担当していただくので、装置を開発したご経験がある方が望ましいです。

今、当社の設備のほとんどは、量産されているような設備を使って開発をしてますので、この設備をいかに改造して、当社のオリジナルの膜をつくっていけるか、一緒に手伝ってもらえるような方を募集しております。

ご入社していただいてからは、今、一つの課題になっている「成膜装置の中のプラズマ発生装置の改良」を担当していただきたいなと思っております。具体的に、スパッタリング法で成膜をした場合、薬品を使わず真空中でプラズマを飛ばし、膜をつけます。ですので、装置のマッチングや、どの電源をどう使うかというところの知識・経験がある方だとありがたいですね。また、当社の成膜製造技術は、スパッタリング法がメインですが、それ以外の成膜プロセスに強い方も、ご応募をお待ちしております。

ディスプレイ事業本部 薄膜事業部 担当課長 伊村正明様

ディスプレイ事業本部 薄膜事業部 担当課長 伊村正明様
ご経歴:2006年中途入社。現在まで薄膜生成のプロセス開発を行う。

中途採用でご入社された方のお話を伺いたいです

実は、私が中途入社です。(伊村様)私は2006年に中途採用で入社、前職では電子部品メーカーに勤めてました。薄膜の研究は大学の頃からしておりまして、前職でも開発グループで薄膜に携わる仕事をしてました。しかし、前職では途中から開発テーマが変わってしまい、私としては薄膜の分野を続けたくて、転職を決意しました。転職先に当社を選んだ理由は、仕事内容です。自分が今まで研究してきたことを活かせる仕事だと思い、入社を決めました。入社後は、薄膜生成のプロセスの開発を行っております。具体的に、数年後に何か事業に結びつくような、薄膜の研究開発をずっと一貫して担当しております。また、他にも大学関係との共同研究開発、海外の研究所・大学とのやり取りも担当しております。今年で入社してから12年が経ちますが、今後の目標としては、会社の事業に貢献できるような成果を、はっきりとした形で出していきたいと思っております。

中途採用で求められる人物像について教えて下さい

「世の中にないものを一緒に創り出していく」をテーマに、大学や研究機関と連携しながら、開発した製品を量産にのせて行くことを目指します。そのプロセスの根幹に関わってくるのは「装置」です。どんな装置を使うかが、製品の品質に関わってきますので、そこを一緒に開発していける方が望ましいです。

中途採用者にメッセージをお願いします。

当社の採用HPには、「少数精鋭体制」と書かれていますが、本当に裁量をもって自由にやりたいことがやれる会社だと思います。「こういう研究開発がしたい」「こういう装置が作りたい」という風に、ご自身がやりたいことに積極的に挑戦していきたいという方、是非お待ちしております。

日本電気硝子 創始者長崎準一様が信条とした “環境との共生・地域との調和”を具現化したモニュメント

日本電気硝子 創始者長崎準一様が信条とした
“環境との共生・地域との調和”を具現化したモニュメント

本日は貴重なお時間ありがとうございました。

-担当コンサルタントより-

日本電気硝子において事業の中核を担う、事業拡大の鍵となる薄膜事業部の方々から貴重なお話を聞かせて頂きました。

今まで技術の発展を続けられてきたからこそ、今日の様々な用途展開があるのだと感じました。そしてガラスにはまだまだ様々な可能性が秘められており、今後の展開も非常に楽しみであると感じました。

手を挙げれば、やりたい事に積極的に挑戦できる少数精鋭部隊。今回の取材で皆様は非常に優しくて親しみやすく、和やかな雰囲気でお話をさせて頂きましたが、仕事に対する誇りや情熱も同時に強く感じ、皆様のお人柄にも非常に魅力を感じました。

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この記事を書いた人

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田熊 聖樹

株式会社タイズ

  • 関西メーカーへの高い合格率に自信あり。メーカーへの深い知見、太いパイプを活かした転職のご支援をさせていただきます
  • 「勤務地・給与」といった条件だけではなく「働きごこち・忙しさ・社風」など転職の軸を丁寧にヒアリングさせていただきます。
  • 転職成功者の満足度は92%! ※当社経由でご転職に成功された方へのアンケートより

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