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2018.10.31【関西ニッチトップメーカー特集】~世界のブランド「安心と信頼の北海の鏡板」~株式会社北海鉄工所 代表取締役社長の林孝彦様にお話を伺いました。

株式会社北海鉄工所 代表取締役社長 林孝彦様

メーカー専門の転職サイト「タイズ」に求人を掲載している株式会社北海鉄工所の代表取締役社長 林孝彦様に、株式会社北海鉄工所が鏡板のニッチトップメーカーとしての地位を確立するに至った背景、同社の中途採用や今後の事業展開などについて、コンサルタントがインタビューさせていただきました。

■株式会社北海鉄工所の概要

代表者:代表取締役社長 林孝彦様、本社所在地:大阪府岸和田市、設立:昭和21年(1946年) 4月28日、従業員数:137名
今年で創業72年を迎える鏡板専業メーカー。世界最大規模の圧力容器用鏡板を製造し、国内占有率50%を誇ります。モニュメントなどの景観関連商品や鉄道関連商品にも力を入れる同社は、今後100年企業を目指して、さらに新たな分野の商品開発・市場開拓にも積極的に取り組んでいます。

北海鉄工所の鏡板(公式HPより)

■同社の創業から現在まで

創業当時は、造船を中心として溶接全般を請け負う製缶業者だった同社。鏡板をユーザーの立場として使っていましたが、当時の鏡板メーカーは、品質が悪い、納期が不安定、値段が高いなど、多くの問題を抱えていました。そこで、「鏡板を我が社で製作するぞ!」と日本産業発展のため立ち上がったのが、創業者の林泰俊様(以下、先代社長)です。今では、国内シェア半分以上の実績を誇り、「すべてはお客様のために」という先代社長の起業精神のもと、エネルギー関係や食品関係など、幅広い分野で活躍する同社の鏡板。ニッチトップメーカーとしての地位を確立するまでには、一体どのようなストーリーがあったのか、同社の今日までの歩み・製品の開発技術力に迫ります。

インタビュー

北海鉄工所 代表取締役社長 林孝彦様

御社の鏡板について、教えてください

鏡板は、使用される用途や目的に応じたさまざまなニーズがありますが、平たく言うと、金属容器(圧力容器)の中にある、様々な液体や気体を閉じ込めるため、端部に蓋として、使われます。鏡板が使用される分野は幅広く、例えば火力発電のボイラーや原子力発電所などのエネルギー関係、また、ビールの醸造タンクや飲料水、乳製品(牛乳、ヨーグルト)などの食品関係や薬品関係にも使用されます。
もともと、「鏡板(かがみいた)」と呼ばれるようになった一つの説として、鏡板を伏せると、お正月の鏡餅に似ているところから、名前の由来がきていると言われております。例えば、蓋の役割をするだけだからと言って、平たい円盤状の形の鏡板を使用してしまうと、圧力で中が膨張したときに、逃げ場がなくなり、蓋は破損してしまいます。しかし、当社がつくる鏡板は、放物線曲線で、鏡餅の形状に似ている特殊形状部材ですので、圧力を逃がすような機能を持ちながら強度を保つことができ、お客様が要求される仕様に応じた設計が実現できます。当社の鏡板は、素材の厳選、徹底した品質の管理を行い、「安心と信頼の北海の鏡板」として、昔から材料も形も変わらず、様々なシーンに使われ続けています。

創業時は「製缶業者」だった御社が、「鏡板専業メーカー」になったきっかけ、背景を教えて下さい。

元々当社は、林溶接工業所として創立。主な事業は造船を中心とした、溶接全般を請け負う製缶業(圧力容器用タンク製造)でして、燃料を入れるためのタンク(石油タンクなど)を作るメーカーでした。ですから、当時は鏡板を使うユーザー側の立場で、鏡板メーカーから鏡板を入手していました。当時の鏡板の加工方法は「熱間加工」でして、円盤状の鉄を真っ赤に焼いて900度近くまで加熱。それをプレス機で押しながら曲面をつけて、その端部を機械で回転させることで、鏡板の形状を作っていました。加工方法が手作りでしたので、加熱した鉄が冷めると、縮み方にバラつきがでてしまいます。ですから、オーダーした鏡板は、社内で再度手直しする必要がありました。さらに、納期が不安定(指定できない)、値段が高いなど、他にも問題を抱えており、今後タンク製造事業を行うにあたって、一番重要な部材の鏡板を、いつまでも他社から供給するわけにはいかなくなりました。これをきっかけに、「鏡板を我が社で製作するぞ!」と先代社長は立ち上がりました。

従来の熱間加工から、どのように冷間プレス(常温加工)技術を開発したのでしょうか?

従来の熱間加工では、「精度のバラつき」、「加熱するための燃料コスト」、また加工方法が手作りでしたので、鏡板1個あたりの製作に半日かかるなど、問題がいくつかありました。そこで先代社長は「素材を加熱せずに、常温で加工を行えば、時間と費用が削減できるのではないか?」という発想のもと、冷間プレス成型で鏡板をつくる実験に取り掛かりました。

一番の問題は、日本国内で製作されている鏡板は、 常温で加工すると割れてしまうということでした。そこで、「世界にも類のない鏡板製造装置を造ろう」と立ち上がった先代社長は、当時、資本金3000万円の会社で、新しい鏡板の開発をするための機械に、3億円の設備投資を行いました。また、冷間プレスを行うための、適正な材料もなかったので、色んな材料メーカーに足を運び協力依頼を行いましたが、どこも門前払いでした。そんな中で唯一、先代社長の願いを聞き入れて、真剣に対応して下さったのが、当時の川崎製鉄株式会社(現:JFEスチール株式会社)初代社長です(以下、川崎製鉄様)。先代社長の思いに共感して下さるだけでなく、技術者を当社の工場に派遣、新しい鏡板の材料には、どういうものが必要なのか、毎晩テストを行い、共同研究をしました。結果、3年の月日を経て、材料の開発に成功。また、当社が初代の6000トン複動油圧プレス機を自社設計開発したことにより、世界ではじめて冷間プレスによる鏡板の成形を成功させました。

結果、加工時間は従来工法の30分の1、生産性は30倍になりました。金型を使用したプレス加工を行うので、品質は画一的になり、「受注後3日で納入」「価格は従来の50%」「品質保証」をお客様にお約束することができました。これは鏡板製造の商品革命とまでいわれました。この偉業は、冷間プレスを行うための材料がなかったら成り立たなかったことです。先代社長の熱い思いを受けて下さった川崎製鉄様の御恩は忘れられません。今後も、この感謝の気持ちを忘れずに、仕事をしていきたいと思っております。

6000トンプレス機(公式HPより)

冷間プレス(常温加工)加工を確立してからは、順調にシェアを拡大されたのでしょうか?

当初は、「信用がない」という理由で5年間まったく売れませんでした。そんな時、アメリカ三大タンクメーカーの一つ、ユニオン・タンク・カー様が当社の噂を聞きつけ、視察にこられました。そして、当社の鏡板の信頼性試験を行った結果、「北海の冷間鏡板には何の問題もない」と大量に購入していただくことができました。その後も継続して、ユニオン・タンク・カー様に鏡板の輸出を行いましたが、最終的には、「鏡板の製造装置本体を売って欲しい」とオーダーいただきまして、7000トンプレス機をアメリカへ輸出しました。

「北海の鏡板が、国内では売れてないのに、アメリカで使われはじめた。」その事実が国内に広まり、当社の鏡板は信頼性を取り戻します。それをきっかけに、少しずつオーダーが増え、口コミが広がり、最終的には受注が追い付かないくらい、爆発的に売れました。まったく売れなかった5年間の累損も、数年で一掃。ユニオン・タンク・カー様の存在は、当社の大きなターニングポイントになったと感謝しています。

鏡板の出荷量はどのくらいですか?

当社では、鏡板の製品ベースで500トンを毎月出荷しています。これで国内シェアの半分ですから、国内の鏡板の需要は1000トンくらいしかありません。ところが、当社が一番多く鏡板を作っていた時代は、毎月2000トン近く出荷をしていました。当時は、オリンピックや新幹線など、経済成長の時代でして、あらゆるインフラを整備するための、エネルギー発電装置が必要でした。そして、そこには必ず鏡板の需要もありました。当時、日本中の製鉄メーカーの自社内には、鏡板の小口の生産設備がありましたが、先代社長は「今後、鏡板の製造は中小企業に任してください、当社が集約してやらせていただきます、その代わり今までよりもコストを下げて皆様に供給します」という提案を行い、鏡板の販売価格を半額に設定することで、受注を増やしていきました。こうした経緯もあり、国内シェア半分を獲得するに至りました。

シェア拡大により、鏡板の出荷量が増えて行く中、御社はどのように鏡板の「即納」を実現されたのでしょうか?

従来は、オーダーを頂いてから、納期を決めていましたが、当社はリスクを取り、在庫を持ちました。市場調査を行い、「どのサイズがどれくらいの頻度で出るのか」を、全部マーケティングリサーチして、それに適った在庫を置きました。また、当時の新聞に「即納」をアピールする広告も出しました。

さらに、鏡板のJIS規格化にも参画しました。鏡板は当時、メーカーによってサイズがバラバラでしたので、「鏡板の形状と寸法に関する企画案」を当時の通産省に提案、当社が作った規格がそのまま採用されました。自社の大型プレス機で鏡板を製作していた大手メーカー様にも、「各社で設計する時代じゃない、標準品があります、電話1本頂ければすぐにお届けします」という提案を行い、当社からの調達に切り替えていただくことができました。

北海鉄工所の鏡板(スモールサイズ)

海外展開について教えてください

1994年に中国に現地法人を設立しました。生産コストを下げるため、また当社の持っている技術を中国の経済発展に役立てたいという、先代社長の思いから、中国に工場進出を決心。1994年、株式会社北海鉄工所が永年にわたって研究・開発してきた生産設備、生産技術、品質管理技術などを投入し、当時、中国国内最大規模の鏡板生産工場を設立。現在では、全土に広がった販売組織から高品質の鏡板が提供され、中国産業界の生産設備近代化に貢献しています。

これからの北海グループが目指すところを教えて下さい

今年で創業72年。これからの北海グループは、100年続く企業を目指します。主力商品の鏡板は、10年前と比較して現在の生産量は半分、成熟市場ですので、規模が縮小することはあっても増えることはないでしょう。そこで、2つの考えがあります。一つは、鏡板をより高品質な製品に極めていくことです。もう一つは、鏡板以外の新しい事業分野に積極的に取り組み、鏡板に変わるコアな新製品分野を成長させたいです。

中期経営計画について教えて下さい

当社は毎年8月に、中期経営計画の検討会を全役員で行います。今年は、7つのコア戦略が決まりました。①鏡板の高付加価値化を目指す。②鏡板以外の金属曲げ加工を充実させる。③製缶メーカーの新しいビジネスモデルを確立させる。現在、少子高齢化や製造業の人手が足りないという問題から、当社のお客様である製缶メーカー様の事業継続が、難しい状況です。お客様が望むのであれば、当社がお手伝いし、製缶事業の新しいビジネスモデルを確立します。④鉄道車両の加工事業を拡大。⑤景観事業であるモニュメントの推進。今までは事業として注力していませんでしたが、これからはオリンピックや万博、IRなど、需要が伸びると考えております。また、テーマパーク関連も、設備投資が多いので重視しています。これまでにも、テーマパーク内の地球儀やアトラクションのお城の構造を作り提供しました。⑥非鉄金属(ステンレス、チタン、アルミなど)の販売・加工の増加。⑦新事業の開発。この7つを中期戦略として推進していきます。

今年度の重点方針について教えて下さい

「プロ意識で時代を切り拓く!」をテーマに、①顧客ニーズの対応力強化(お客様の期待以上の製品を提供できるよう全力で対応力を強化)②品質向上とゼロ災の継続(不良品ゼロ、事故が発生しない職場づくり)③コスト低減(前年度の経費10%を削減する“イチマル運動”の徹底)④技術革新による新規開発(「傷のない鏡板」の製作や、異種材質加工の取り組み、限りなく正寸に近い精度の実現)、以上4つの方針を掲げて、当社は新たなステージを切り拓いていきたいと考えています。

今後、力をいれていきたいところを教えて下さい

当社にとって、1番大切なのは“人”です。今後は、非常に人材教育に注力しようと思っております。採用に関しては、インターンシップを積極的に行うこと、また、学校機関との連携・結びつきを、強化します。現在も3~4校と連携しておりまして、毎年各校から採用しております。

人材の育成に関しては、来年に社員教育の一環で社内に養成機関をつくる構想があります。当社の社是を具現化・達成するための教育を行うには、当社の教育思想を持っている人が教えないと中々難しいので、養成機関では当社OBや結びつきのある学術機関の方に、技能や基礎訓練、自己啓発についてなど教えていただく予定です。
また、レクリエーション活動なども行い、楽しい会社にしたいと考えております。

中途採用者へメッセージをお願いします

当社では、経験やスキルよりも、仕事へのやる気や熱意を重視します。とにかく、熱い気持ちとピュアなハートですね。それこそ好奇心を持っていただければ、当社が責任を持って期待に応えます。学歴も問いません。未経験の方でも、チャレンジ精神を持って頂ければ1から育てます、という思いです。「モノづくり」に興味がある方、是非お待ちしております。

■代表取締役社長 林孝彦様のご経歴

大学卒業後、新卒で北海グループに入社。当初は株式会社北海鉄工所の子会社「株式会社北海製作所」に就職。入社後、製造現場でプレスや溶接など、すべての工程を3年間学び、管理部門で工程管理(生産管理)を行いました。その後、北海鉄工所の東京工場に3年ほど出向、全体のマネジメントを任されました。東京から戻った後は、モニュメント事業の全体管理を3年間行い、その後2016年4月に、北海製作所と兼任で、北海鉄工所の代表取締役社長に就任。「すべてはお客様のために」という創業者 林泰俊様の起業の精神を受け継ぎ、また社是の精神を胸に、まずは「100年企業を目指して果敢に挑戦していきたい」と、更なる飛躍を願います。

 

―担当コンサルタントより―

「当社にとって、1番大切なのは“人”です」というお言葉が非常に印象的でした。先代社長の想いや理念が、決して飾りではなくしっかりと根付いており、人情味あふれる温かい企業様だと再認識する事が出来ました。採用・教育にも熱い想いをもって取り組んでおられ、社員の皆様が安心していきいきと働ける企業様です。一人でも多くの方に北海鉄工所様と出会って頂き、一緒に100年企業を創って頂きたいと思います。貴重なお時間をありがとうございました。

この取材は私が担当致しました
株式会社タイズ コンサルタント 丹田 真寿美

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    年収 370万円~450万円
    勤務地 大阪府岸和田市(本社)

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