【クラボウ(倉敷紡績株式会社)】環境メカトロニクス事業部長に自社製品の強みや社風についてインタビュー!

クラボウ川野様①

倉敷紡績株式会社 取締役 常務執行役員 環境メカトロニクス事業部長 川野 憲志様

01. 会社概要

1888年、地域産業の振興を目指し、岡山県倉敷市に「有限責任倉敷紡績所」として誕生したクラボウ。

以来、基盤となる技術を磨き、応用しながら事業を多角化してきたクラボウは、繊維から化成品、エンジニアリング、エレクトロニクス、バイオメディカルなどさまざまな事業分野へ進出。社会のニーズを鋭敏にとらえ、自社の技術が活かせる分野を見極めながら、事業開拓を続けています。また、若手にも責任ある仕事や大きなプロジェクトを任せ、「人を大切にし、育て伸ばす」社風が受け継がれています。創業130年以上の歴史があって堅実でありつつ、チャレンジングな人財にできる限りの努力を惜しまない、そんな会社です。

02. ご経歴について

川野様のご経歴や入社の経緯についてお聞かせください。

1985年にクラボウに新卒で入社しました。志望動機は、クラボウは繊維の会社だったからです。興味を持っていたファッション関係の事業をしているというイメージがありました。入社案内には、倉敷の「アイビースクエア」の写真も載っていて、おしゃれな会社だなと思いました。また、グローバル志向もあったので海外駐在もしたいと考えていましたし、営業は自分で企画して販売できる仕事だと説明を受けたことも大きな志望動機となりました。

入社して最初の配属はユニフォーム関連の部署になりました。基本的に現場の作業服を扱っており、入社前にイメージしていたファッションとも無縁のビジネスで、国内の営業のみでグローバルなビジネスでもなかったので、志望動機とはまったく真逆の業務内容でした。

入社してすぐに英会話の個人レッスンを始めて、2年間続けました。グローバルな仕事をいつか手掛けたいと考えていたのかもしれません。

ユニフォーム課には10年間在籍しました。この10年の間にユニフォーム事業もグローバルでの生産が始まり、海外拠点を展開するようになりました。また、作業着にもファッション性が求められるようになり、企画提案する要素も増えていき、経営者に直接提案する機会も増えました。営業手法も経営陣のトップダウン、現場からのボトムアップ、その両方に戦略的に企画営業を仕掛けるようになりました。この時の経験が現在も大きな財産となっています。

その後、バンコクに念願の海外駐在として赴任し、帰国後ジーンズ関連の部署に移動し、香港の駐在を経験し、入社時の希望通りにファッション関係のグローバルな業務に就くことができました。

2014年に香港から帰国することになり、繊維以外の業務を志望して、現在の業務をしています。

1978年にクラボウのエレクトロニクス部門が繊維の色を測色して、色を正確に合わせる装置、コンピュータカラーマッチングシステム「AUCOLOR」を開発しており、その装置を初めて見た時に「色を測定するカメラとセンサーは、将来ロボットの目になるんじゃないか」と思ったのです。入社してからずっとそのことを思い続けていて、2014年に異動先の希望を聞かれた時に「カメラとセンサーをやりたい」と希望を出したのです。コンピュータカラーマッチングシステムを見た若い時に思い浮かんだのは「アイカンパニー」というキャッチフレーズで、今それを名刺に印刷しています。

クラボウ川野様②

03. 業務内容について

環境メカトロニクス事業部の成り立ち、沿革についてお聞かせください。

1970年代に色合わせのコンピュータカラーマッチングシステムの部門が発足し、どんどん業容を広げてエレクトロニクス事業部が設置されました。また1970年代は、排水や排ガスによる公害問題がクローズアップされた時期で、環境装置を開発・販売するエンジニアリング部門も立ち上がりました。1990年には、バイオメディカル部門が発足し、DNAやRNAなどの遺伝子抽出装置を開発・販売するようになりました。2016年にこの3つの部門と関連会社で工作機械を製造していた部門を1つの事業部にまとめることになりました。

エンジニアリング事業はバイオマス発電所、バイオメディカルは遺伝子抽出や抗体検査キット、エレクトロニクスは半導体関連、飲料ペットボトルやフィルムの膜厚、道路などのインフラの検査装置が主力商品です。一見関連性がないように見えますが、いずれの装置やシステムのコア技術にはカメラとセンサーがあります。

エンジニアリング事業のバイオマス発電所では、自動化のために燃焼状態をカメラとセンサーでデータを収集し、AI化して省力化を図っています。バイオメディカル事業では血液から遺伝子を抽出するためにカメラとセンサーを利用しています。エレクトロニクスは検査・計測する目の役割をカメラとセンサーが担っています。

それぞれの事業がカメラとセンサーをコアとした事業を持っており、2016年に1つの事業部にまとめて「環境メカトロニクス事業部」が設置されたのです。

組織体制はどのようになっていますか。

営業部はエレクトロニクス部門、エンジニアリング部門、バイオメディカル部門の3つに分かれています。エレクトロニクス部門は半導体関連検査装置、飲料容器検査装置、電子基板検査装置、色管理やインフラ検査、身の回りにあるあらゆる関連資材の検査装置など検査計測システムを扱うグループ、そしてロボットの目となる「ロボットビジョン」を扱う2つのグループに分かれています。

エンジニアリング部門はバイオマス発電所、バイオマス関連装置、排水・排ガス処理装置をそれぞれ扱う3つのグループに分かれています。

バイオメディカル部門は1つのグループで遺伝子抽出解析事業や抗体検査キットの開発などを担当しています。

また、技術開発部は製品開発を担っており、企画開発製造の3グループとバイオ開発製造の4グループで構成されています。その他、総務部門、財務経理部門、CSR関連部門、6社ある事業会社を管理して経営企画的な業務にあたる業務統括部門があります。

事業部の主力製品と今後、力を入れていきたい分野・商品についてお聞かせください。

主力商品は検査、計測関連装置です。その中でも基板検査装置は、基盤があらゆる製品に使われるようになっており、今後もさらに拡大していくと考えています。半導体関連装置の中では洗浄装置の液体の成分を計る半導体ウェハ用薬液濃度測定装置が主力商品となっています。

現在、注力しているのはロボットの目となる「ロボットビジョンセンサー」です。自動車の工場では多くのFAロボットが高速で動いていますが、あの動きは目で見て判断しているのではなく、あらかじめ定められた空間の座標軸に向かって動いています。しかし、私たちがターゲットとしているのは、目で見て判断するロボットです。例えば、ワイヤーやケーブルのように軟体や不定形で、持つと動くようなものはこれまでのロボットでは扱えませんが、目となる「ロボットビジョンセンサー」を使うことでロボットがワイヤーやケーブルなどをハンドリングできるシステムを開発しました。他にも医療関連など微細なものや無菌環境での作業など、ロボットビジョンセンサーに対する新たな案件も増えており、今後さらに力を入れていきたいと考えています。

エンジニアリング部門が手掛けるバイオマス発電所やCO2削減処理、排水・排ガス処理は、ここ数年でのSDGsをはじめとする環境問題への意識の高まりを追い風に、環境メカトロニクス事業部のフラッグシップとなることを目指しています。

バイオメディカルは事業全体が成長領域にあり、コロナをはじめとするウィルス感染対策に求められる商品開発などを行っていきたいと思います。また、遺伝子関連分野では、和牛の偽装を見抜く商品を開発し、この分野では大きなシェアを持っています。

環境メカトロニクス事業部の経営計画についてお聞かせください。

事業部の基本方針として「強いメーカーになる」ことを掲げ、2016年の発足から6年間は基盤整備に取り組むことにしました。経営計画では売上は3%アップとして、まずは既存事業の取捨選択を行いシナジーのある事業に集約し、収益力の向上を目指しました。結果として3%の増収とROEは10%以上になり約3倍増を達成しました。今後の中期計画では3年間は年あたり売上7%増、その後の6年は10%の増収を目指しています。

環境メカトロニクス事業部の強みについてお聞かせください。

現場の問題をとらえてロボットメーカーとも協業しながら設計開発を行って販売できる。それが私たちの一番強みだと考えています。

コンピュータで制御されて自動化されているロボットはプログラム通りに動くけれども自主性を持っていません。これまでのロボットに足りていなかったのは、目で見て判断する脳機能です。それを私たちはロボットビジョンセンサーシステムで実現しました。

ただし、目となるロボットビジョンセンサーだけを提供するだけでは、お客様の問題解決を実現するのは難しく、ロボットセンサービジョンで見て、判断して、作業するところまで前後左右の工程をつなげるシステムを作って納品することが必要なのです。

最近の例では酪農家向けの「敷料再生装置」を独自開発しました。乳牛や肉牛の寝床となる敷料の原料は木くずやおがくずが使われています。この敷料は衛生面を考慮して、一日で新しいものに入れ替えます。これまで、使用された敷料は肥料として利用していたのですが、肥料を入れるまでの期間保管する必要があり、さらにバイオマス発電所の広がりやアメリカの住宅建設が活発化したため木材が高騰し、酪農家の経営を圧迫していました。敷料再生装置はこの使用済み敷料を繰り返し再生して使用することができる装置なのです。

このように自分たちで問題を発見して、装置やシステムを開発して、それらをつなげてシステムアップできる。それが私たちの強みです。

今後の展望についてお聞かせください。

今、事業部で掲げているのは「メジャーになろう」ということ。これまではどちらかというとニッチな分野で、クラボウが環境メカトロニクス事業部のようなビジネスを行っていることはあまり知られていませんでした。しかし、カメラ・センサー、AI、環境装置、バイオメディカルなどは、今後の主流となるビジネスです。これまでのニッチな市場ではなく、成長領域のメジャーな市場で戦って、「ロボットの目と言えばクラボウ」「環境装置と言えばクラボウ」と言われるようなメジャーな存在を目指したいと思います。

そして、様々な技術で課題を解決して、環境をより良く変えていくことをコンセプトに。地球環境、働く環境、人体環境、医療環境をあらゆる環境を良くしていけるビジネスを展開したいと思います。

クラボウ川野様③

04. 社風について

クラボウの社風についてお聞かせください。

社名に紡績が入っていて、133年の歴史がある企業で非常に「保守的」なイメージを持たれている方も多いと思いますがいい意味で堅実な風土も残っていながら、世代交代も進んでいます。創業時にさかのぼると「やるべし、大いにやるべし」という言葉が残っており、自由闊達な社風に回帰しつつあると感じています。

私の経験では、自主的にきちんと提案を出すと認めてくれて、投資してもらえる社風だと思っています。

28歳の時に、CIブームが起こって工場ユニフォームもオフィスユニフォームも新しいデザインに変える会社が増えました。私は商談をスムーズに進めるために、画像を合成して、いろんなユニフォームを着せ替えることができるシステムをつくりたいとの提案を行い、当時、3000万円を超える金額を決済して、役員が提案を通してくれました。

その後、形状記憶シャツのブームが起きた時も中国の生産拠点に1億円の新しい設備を導入することを承認してもらいました。もちろん、成功したことばかりでなく、失敗したこともありましたが、かなりの数の提案を受け入れてもらいましたね。自主的に考えてきちんと提案すれば認めてもらえる会社だと私は思っています。

05. 中途採用で求める人物像について

中途採用で求める人材についてお聞かせください。

一番はコミュニケーション能力の高い人材です。

私たちの事業部で行動指針として大切にしているのは「想像力をもって個性を発揮する」ということです。自分の想像力を豊かにして、自分で考えて行動することを大切にしています。個性がたくさん出てきても、それぞれの個性が孤立するとチームがバラバラになるので、コミュニケーションをしっかりと取って、全体が融合していくことが重要だと考えています。積極的な人でも保守的な人でも構いません。いろんな個性を持った人材を求めています。攻める人だけではなく、守りができる人も必要なのです。いろんな個性をまとめるためにコミュニケーションをとりながら、それぞれの得意分野で活躍できれば、チームの総合力を最大限に発揮できます。特に30歳代~40歳代でリーダーとなっていただく方には高いコミュニケーション能力を求めていますね。

今ある当社の組織の既成概念にとらわれることなく、自分が思った通りの意見や行動、持っているものをそのままぶつけてほしいと思います。我々の事業領域は人材が流動的で中途入社の人材も多いので、当社でも中途と新卒といった分け隔てはまったくありません。だから、組織に忖度することなく、自ら発想し行動してくれることを中途採用の人材には期待しています。

06. 転職希望者へメッセージ

最後に求職者へのメッセージをお願いいたします。

133年の歴史がある企業で保守的なイメージを持たれる方もいるかも知れませんが、実は形式にこだわらず、自分の自由なアイデアを行動に結びつけやすい風土を持った組織で、どんどん挑戦することができる環境があります。人生の多くの時間を働くことに使いますが、その時間が義務的なものになると楽しい時間は減ります。当社には働くことを楽しめる環境があり、楽しんで働いている人もたくさんいます。自分のアイデアを実現しながら、それを収益に結びつけて長く私たちと一緒に頑張っていきませんか。

クラボウ川野様④

川野様と弊社コンサルタント釜瀬(左)

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この記事を書いた人

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釜瀬 里佳

株式会社タイズ

  • 関西メーカーへの高い合格率に自信あり。メーカーへの深い知見、太いパイプを活かした転職のご支援をさせていただきます
  • 「勤務地・給与」といった条件だけではなく「働きごこち・忙しさ・社風」など転職の軸を丁寧にヒアリングさせていただきます。
  • 転職成功者の満足度は92%! ※当社経由でご転職に成功された方へのアンケートより

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