転職お役立ちコラム

[細井智彦 メーカー転職コラム 第三回]職務経歴書について

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<細井智彦> 細井智彦事務所代表 転職コンサルタント

大手人材紹介会社にて20年以上転職相談や模擬面接などの面接指導に取り組む。企画し立ち上げた面接力向上セミナーは12万名以上が受講する人気セミナーとして現在も実施中。採用企業の面接官向けにも研修・講義を開発し、人事担当から経営者まで、260社、面接官3000人以上にアドバイスをしている。2016年3月に独立し、フリーな立場から、引き続き個人と企業の面接での機会創出に取り組んでいる。著書『転職面接必勝法(講談社)』ほか多数


職務経歴書について

1.職務経歴書を作成するプロセスにメリットがある
2.職務経歴書はなんのために作成するのか
3.書類作成は面接準備でもある
4.書くことが壁打ち効果を生む
(参考)印象を下げない書類の書き方

1.職務経歴書を作成するプロセスにメリットがある

自ら応募する人なら、ほぼ100%提出しなければならなくなるのが職務経歴書。履歴書のようにJIS規格があるわけでもないので、はじめて書くのでちょっと面倒くさそうだし不安。

だからなのかはわかりませんが、私の出した本のなかでも、職務経歴書の書き方本が一番売れています。(ちなみにおかげさまで10万部も売れました!)。

実は「職務経歴書」そのものの作成は、今はそんなに難しくありません。Webから様式の見本が入手でき、そこに経歴を埋めていけば、見やすいそれなりの経歴書が作成できるようになったからです。

自己PRとかも構文の型(テンプレート)みたいなものがあって、そこに自分のケースを埋めていくだけで、そこそこのものが出来てしまいます。

私も書類作成を支援するために、過去にWebに掲載する経歴書の見本を70通り以上作成したこともあります。便利な世の中になりました。(←なんともじじくさい言い回しですね)。あまり考えなくてもいいものが安楽に作れてしまう。

しかし、自分で見本を作っていて言うのも気が引けますが、これちょっとヤバイな、と思うのです。

書類作成には、そのプロセス自体にとても大きなメリットがあるからです。

見本の構文に埋めていきなり清書するだけだと、自分の棚卸しが不充分で、企業選びやその後の面接で苦労します。自分と向き合って、書いて、書いて、悶絶しながらまとめたほうが絶対に身につくものは多いし、あとの面接で差が必ずでます。

それに「職務経歴書」がその名称に忠実な定義のものであればそれでもよいのですが、実際は、見本の様式にペタペタ経歴を貼り付けて埋めていくだけではあかんのですわ。

2.職務経歴書はなんのために作成するのか

みなさんならなんと答えますか?
自分の経歴を伝えるため?
それとも
自分を売り込むため?
違います。

「面接に行くため」です。

書類を提出することは「応募手続き」と言われることが多いのですが、実に紛らわしい言葉です。手続きというとなにか事務的な手順のように思いがちですが、応募は学校への願書の提出ではありません。そこで選考が行われるのです。

だから、読み手の立場になって、面接に招きたくなるような内容になっているか、どうかを考えて仕上げる必要があります。

誰かに書類を出すときには、誰に、何のために、何を、どう、伝えるのか、読み手は何を期待しているのだろうか、などを考えて作成しますよね。職務経歴書づくりも同じです。

職務経歴書にあてはめると、誰(書類選考者)に、何のため(面接に行くため)に、何(会いたくなるような情報)を、どう(客観的な経歴を軸に)、伝えるための書類ということになります。

私は、転職活動で一番大事なことは、自分と企業との「接点」を見つけることだ、と思って、セミナーなど機会がある度に、その重要性を訴えているのですが、書類もまさに、自分と応募先との接点となる情報が、盛り込まれているかどうか、言い方を変えれば、選考者が会いたいと思うような、先方のニーズに応える要素や興味を抱かせるひっかかりを盛り込むほうが通過率はあがります。

だから、相手のニーズを満たす情報があれば、走り書きのようなメモでも書類は通ります。もっと極端に言えば、そもそも書類自体が本来不要かもしれません。

私の担当じゃありませんでしたが、ある企業のピンポイントのニーズに、経験がドンピシャの方がエントリーされて来られました。

本人に了解を得て、企業にプロフィールを電話で伝えたら、すぐ会いたいってことになりました。ただ、面接にあたって社内での手順が必要なので、一応応募書類を出して欲しい、ということになり、出張先から、部署名と仕事内容を数行程度書いたものをFAXで提出し面接に臨んだ方がいました。

つまり、経歴書というものは、どんなに丁寧に作成しても、相手が会いたいと思う内容が入ってなければ、目的は達成できないし、逆に相手のニーズをわしづかみする内容があれば、たった一行の手書きのメモのような情報でも、目的は達成できる、ということです。

そして露骨に言えば、ある程度仕上げたら、それ以上経歴書に凝りまくっても、通過率が大幅にアップするか、といえば正直そんなに変わりません。労多くして効少なしの側面があります。面接ほどには努力と通過率は比例しにくいというのも現実です。

特にエンジニアの転職の場合は、相手が知りたい情報は、ほぼいままでの経歴の記載内容がすべてで、自己PR欄とかはあまり真剣には読まれていません。

だから一社づつ自己PRを変えたいと数行程度の変更をするために、時間をかけるより、汎用的なものを作成し、タイミングを逃がさないようにいつでも応募できるようにしておいたほうがよいのも現実です。

3.書類作成は面接準備でもある

では努力して、経歴書を仕上げることはあまり意味がないのか、というと決してそんなことはありません。

ご自身にとって転職活動最大のメリットがあるのです。なぜかというと「書いて、自分で見て、考えて、また書く」ということができるから。これが今回一番知ってほしいことです。

模擬面接をしたあと「いやー、頭ではわかっていたつもりでも、いざ話せ、と言われたらなかなか難しいです」って感想を話す人はとてもたくさんおられます。そうなんです。

いざ、話そうと思っても、なかなか思い通りには話せないものなのです。特にエンジニアの方は自分の興味のある技術のことには雄弁でも、ご自身のことをちゃんと説明することはとても苦手な方は少なくありません。

こういったときは前もって書いて、それを読んで、修正しまた書いて、それをまた読んで、を繰り返しながら自分の言葉にしておけばきちんと話せるようになります。

4.書くことが壁打ち効果を生む

転職のご相談を承っている時や、模擬面接後のアドバイスの際、話を聞いていて「思っていることが整理できずに、とにかく話してしまっておられるなあ」とか「もっと他に伝えたほうがよいことがあるのに」、と思うことが多くあります。

それを整理しあらためて言葉にして説明すると、とてもスッキリされた顔で、「頭のなかが整理できた」とか「言うべきことがはっきり見えてきた」という言葉をよく頂戴します。私は何をしているか、というと、主に問いかけ役をしています。

本人に問いかけ、考えてもらい、なにか言葉を生み出していただき、それに対しさらに、その言葉でしょうか?こういったほうが正確ではありませんか、というように問いかけを続けていきます。

大事なことは考えて、言葉にして吐き出すことです。

それで自分の思っていることが整理でき、思ってもみなかったことに気づくこともできます。これを私たちは「壁打ち」といいます。

転職コンサルタントのような壁打ち相手がいなくても、まず自分でできる壁打ちになるのが、職務経歴書の作成です。

ちなみに、転職活動に関係なく、自分の成長を振り返ろうと思ったら、転職後も職務経歴書を書いてみるといいですよ。この半年で、新たに職務経歴書にどんなPRが書けるようになるか、という観点で仕事に取り組んでみるのです。

書類を書くという行為そのものの「アウトプット」することが、転職活動ではとてもメリットが大きいということを理解いただければうれしいです。

<まとめ>
職務経歴書を書くことは、壁打ち効果が生まれるので自分にとっても大きなメリットがある。
書いて、読むを繰り返すことで壁打ち効果があがるので面倒だけど、まず書いてみよう。


最後に、下手なことを書いて印象を下げないために、気をつけといたほうがよいポイントを紹介しておきます。せっかく一生懸命に作成した書類も読み手からみたら、逆効果になってしまうのはとてももったいないので、参考にしてください。

思いよりは、まず事実

自分のがんばりを知ってもらいたい気持ちが先走り、思いや気持ちをつらつら記入される方がおられますが、これは危険です。相手が知りたい情報は、まず経歴という事実です。頭のなかで使えそうなものがあるかどうか、というフィルターを通し接点となるキーワードを探しながら、経験を読み込んでいきます。

だからまずは経歴ありきなのでどんなに頑張ってきたかと、いうことを形容詞まみれで書いてしまうと、引かれてしまいがちなので注意しておいてください。

「あります」表現は要注意

コミュニケーション能力があります。信頼関係づくりには自信があります。ストレスに強いタフな人間です。など、自己PR欄に、企業の求める人材要件を満たしていることをそのまま書きだてくる方がおられます。

読み手からすると、書くことはだれでもできるけど、「ほんとかよ?」と思ってそれだけではまず効果はありません。そういった場合は仕事の環境とセットにして、「あります」よりも「鍛えました」のほうが、イメージが湧きます。

例えば、
「主体性があります」
なにごとにも当事者意識をもって仕事に取り組んできました。
よりは、
「主体性を鍛えました」
丁寧な指導体制やマニュアルのない環境だったので、自分からつかみにいく主体性を鍛えることができました。
というように、です。

書類にも第一印象がある

あと、書類上の些細なミスでとても印象を悪くする選考者は少なくありません。年号のミス、おかしな文章、誤字脱字など細かなところは意外に目立ちます。「自信」が「自身」になっていることが時々ありますので気をつけましょう。

<細井智彦 メーカー転職コラム>

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