転職お役立ちコラム

[細井智彦 メーカー転職コラム 第十回]「饒舌」より「情熱」

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<細井智彦> 細井智彦事務所代表 転職コンサルタント

大手人材紹介会社にて20年以上転職相談や模擬面接などの面接指導に取り組む。企画し立ち上げた面接力向上セミナーは12万名以上が受講する人気セミナーとして現在も実施中。採用企業の面接官向けにも研修・講義を開発し、人事担当から経営者まで、260社、面接官3000人以上にアドバイスをしている。2016年3月に独立し、フリーな立場から、引き続き個人と企業の面接での機会創出に取り組んでいる。著書『転職面接必勝法(講談社)』ほか多数


「饒舌」より「情熱」

これは、私が面接に臨む人たちにセミナーなどで話す際に、締めのメッセージとしてお話していることばです。この言葉を思いついたとき「お、韻を踏んでてちょっとええ感じちゃうのん」とひとり心のなかでクリーンヒットを打った気分になったものでした。

お願いされると人は考える。

こんな話があります。ある人が採用され、入社後になんで自分を採用したのか面接した上司に飲み屋で聞いたら「◯◯くんだけが『よろしくお願いします!』って頼んできたからだよ」と言われたそうです。

最近は面接官向けの研修のときにも「饒舌より情熱」を使います。勤務地や収入面でのハンデがある会社が、採用競合と欲しい人材の取りあいになったとき、結局は理屈じゃなく熱意をもって接するしかない、ってことを伝えるためにです。

香港に日本企業がどんどん進出していたころ、現地で中国系の人材を採用する際、同じく採用を強化してきた欧米系企業とバッティングし、高い報酬を用意する彼らに、本社の縛りがあるなどで待遇面で不利な日本企業がどう戦うかって話をしてたとき、現地エージェントの中国系のボスからでたのは「ドライなように思われがちなので意外に思うかもしれないけど、私達も転職先を選ぶ際は、いっしょに働いて欲しい!という熱意に心が動くのです。」ということばでした。

人の心を動かすのは理論じゃなく心

こうやって書くと、なんか平凡で当たり前のことですが、面接に臨む人はいつしかこの原点を忘れがちで、うまく答えよう、うまく説明できるようにしよう、ということに関心が集中しがちです。

プレゼンテーションの成否を決めるポイントは「伝えること」ではなく「動かすこと」。人を動かすという点では転職活動も同じってことです。

採用マッチングの世界でAI導入が注目されていますが、日本電産の永守社長が能力はすぐ何倍にはなれないけど、人のやる気は簡単に100倍にも1/100にもできる、というようなことを言っておられました。AIが熱意をどう料理するか興味津津です。きっと、やる気のある状態とない状態の行動パターンや思考を学習させるのかな?AIに携わるエンジニアの方どうお考えですか?

では、意欲ややる気はどうすれば伝わるのか。自分がやる気に満ちている、という気持ちで臨め、と言われてもみなさんはどうですか。私はやる気を伝えろ!的なことがとても苦手です。饒舌より情熱はわかるが、ほとばしる情熱を伝えるなんてどうすればいいのか。

なにやら展開が「やる気の伝達理論」というパラドクスのようになってきましたが、実際、初対面の人から「やる気あります!信じてください」と言われても、悲しいかな現代の企業人はそう簡単には信用できなくなっています。現実的には「やる気」の見える化の必要性とコツをつかんでおくことも転職面接を成功させるためには大事なことです。

やる気 = やりたい、本気、好き、のいづれか

やる気あるのか!と思わず言いたくなるのはどんな場面でしょうか。逆に、めっちゃやる気やな、と思うときは?やる気のある状態を言い換えると「やりたい!」「本気だ!」「好きやなー!」と思えるときではないでしょうか。これらのいづれかが感じられると、やる気は伝わりやすくなります。

自分がどれだけ、やりたいか、本気か、好きか、そんな状態のときにどんなことをしているか、を考えてみてください。そこにやる気の伝え方のヒントがあります。それと同じことをして話せるようにしておけば、やる気は見える化できます。

対象について「いつまでも飽きずに見続けられる」「勉強する」「練習する」「実行計画を立てる」「誰か詳しい人にコンタクトする、話を聞く」などなどいろいろ思いつくはずです。

転職活動では、これらのアクションを応募先に向けて実践すればよいのです。その業界や仕事のことを勉強してみる。誰か詳しそうな人を探す、など、自分がその仕事に就くためになにをどうすればよいかを考えて、なれるようになるための計画を考えてみる。企業研究はホームページを読み込んでおくことではありません。好きなものを調べる感覚で、本気だ、と思われるようなリサーチを!

<細井智彦 メーカー転職コラム>

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